イタリア政府が28日に決定した方針により、来月の各クラブの補強への影響が懸念されている。イタリア紙『コリエレ・デロ・スポルト』などが伝えた。
イタリアでは、国外へ流出した“頭脳の復帰”を目指した税制優遇措置を2020年1月から導入。サッカー選手についても、クラブがイタリア国外在住の選手を獲得する際に最大50%の税が削減されたため、セリエAへ優れた選手を呼び寄せることで国外のクラブとの競争力を保つことをより容易にすることが目指されていた。最近では、マルクス・テュラムやロメル・ルカク、タイアニ・ラインデルス、マテオ・ゲンドゥージらの獲得に適用された。
イタリアでは当初、スポーツ分野に関して一定の条件を満たした場合に限り、優遇措置の撤廃を今年12月末から2024年2月29日末まで2カ月延期する見通しだった。だが、28日に行われた閣議において状況は一転。延期案は見送られ、4日後に迫る冬の移籍期間から優遇措置は撤廃される方向となった。
ローマに拠点を置くイタリア紙は「延期のストップでクラブは激怒」と報道。『ガゼッタ・デロ・スポルト』も「メルカートが複雑になる。来年1月のメルカートを視野に、セリエAのクラブにとってとてつもないアシストになるはずだった」と綴り、土壇場での延期の中止に懸念を示した。
延期の中止を強く求めたマッテオ・サルヴィーニ副首相は、「億万長者の外国人サッカー選手の税を削減することは道徳に反する。クラブは下部組織やイタリア人若手選手への投資を考えていくべきだ」と理由を述べた。
一方、レガ・セリエAは政府による「過ち」であると主張。「もし承認されれば、偏見に満ちた決定となる。議会で修正されることを信じている」と声明で強い反発を示した。