bayern-sane(C)Getty Images

サネに何が起きている?バイエルンが費やした70億円は正しかったのか…

昨年、12月19日に行われたレヴァークーゼン戦。68分に第4審がボードを掲げると、ジャマル・ムシアラの42番が灯った。

試合は1-1で推移しており、ハンジ・フリック監督は勝ち越しのために攻撃的なカードを切ったのだった。

Leroy Sane/Hansi Flick Bayern Munich 2020-21Getty

だが、42番の横に灯ったのは「10」。サネにとっては驚きだったろう。なぜなら、前半に負傷したキングスレイ・コマンの代わりに32分から投入されており、プロレベルでは屈辱とされる“インアウト”(途中出場からの途中交代)だったからだ。試合後、すぐにフリック監督はサネの交代について説明した。

「交代するときは、賢明に行わなければならない。後半を見ると、トーマス・ミュラーは欠かせない存在だし、セルジュ・ニャブリも後半は良くなっていた。だからこそ、私はサネを交代させたのだ。他に選択肢がなかったので、あのように対応せざるを得なかった」

指揮官はシーズンを通してサネに厳しい試練を与えてきた。チャンピオンズリーグ・グループステージ第4節ザルツブルク戦では、3-1と勝利したにも関わらず、フリックはサネにこのような言葉を送った。

「彼が試合に出たときには100%の力を発揮することが重要だ。我々はそれに取り組んでいる。他の選手と同じように、ザルツブルク戦では何度か不必要にボールを失ったり、1対1を十分に追えていないケースもあった」

■高額移籍金で加わったが…

Leroy Sane Bayern Munich 2020-21Getty

バイエルンは昨夏、マンチェスター・シティからサネを獲得するために4900万ユーロ(約58億円)を費やした。さらに、追加で6000万ユーロ(約71億2000万円)まで増加する可能性もあり、クラブはチームを一段階上に上げる存在として期待していたのだ。

サネは今季のブンデスリーガ開幕戦となったシャルケ戦(8-0)で1ゴール2アシストを記録。すぐにバイエルン攻撃陣の中心となることが予想された。だが、その後のリーグ戦25試合ではわずか3ゴール。2021年のリーグ戦では全試合に出場しているが、得点を挙げたのは1月3日のマインツ戦が最後となっている。

大ケガから回復し、シーズンに入ったサネ。その後、10月にも負傷したため、11月と12月のパフォーマンス低下は理解できる。だが、現在はフル出場を続けて完全にフィットしており、そのような言い訳はできない。

クラブが70億円以上を支払って手に入れた選手として、チャンピオンズリーグの大舞台でのプレーも大きな期待に応えられたとは言いがたい。

準々決勝ファーストレグ、パリ・サンジェルマンとの一戦(2-3)では、バイエルンはスコア以外のスタッツを支配。計31本のシュートを放ったが、サネが記録したのは2本で、バイエルンの攻撃陣の中では最も少ない数字であった。

逆転を期してセカンドレグに向かう直前、フリックはサネについて「リロイは違いを生み出す選手だよ。ここ数週間、彼はとてもよくやっている。彼にはとても満足している」と自信を与えていた。だが、結果は残酷なものに終わった。

■残り試合で証明できるか

Leroy Sane PSG FC Bayern 04/21Getty Images

サネはセカンドレグではドリブルでキレを見せ、シュートは3本を記録、3つのラストパスを送った。スタッツの上では評価できる数字を残したかもしれないが、ゴールには絡むことなく、チームもアウェーゴール差で敗退が決まっている。

サネ自身も、終了間際に右サイドから決定的なシーンを生み出しかけたが、クロスはGKの手元に直接収まり、サポーターには数字による評価より失望を色濃く印象づけてしまった。バイエルンOBであるメーメット・ショル氏は今後に期待を寄せつつ、試合後には「25歳だが、彼は未完成だ。いつドリブルするのか、どのタイミングでパスをすべきかをわかっていない」と厳しい言葉を送った。

すでにDFBポカールでの敗退が決まっていたバイエルンが残すタイトルはブンデスリーガのみ。9連覇は十分に視野に入れているが、バイエルンのようなビッグクラブにとって今季は成功とは程遠いものとなった。

また、それはサネにとっても同様だ。今季の残り試合数は限られたものとなったが、サネはその価値に見合うだけのプレーをしなければならない。

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