Ruben Dias Manchester City 2020-21Getty

マンチェスター・シティ移籍のルベン・ディアスはラポルテの相棒になれるか?それともマンガラの二の舞か?

フットボール史の中で、5000万ユーロ(約62億5000万円)以上で取引されたディフェンダーは15人しかいない。

そのうち約半数の7件に関わったのがマンチェスター・シティだ。

この事実からは、ペップ・グアルディオラの苦悩が見て取れる。エティハド・スタジアムで展開される魅惑の攻撃に合わせて守備をまとめる必要性に直面しているのだ。

Ruben Dias Laporte Mangala Man City GFXGetty/Goal

そんな守備陣に今夏、新たに加入したのがルベン・ディアス。シティはこのセンターバックの獲得のため、ベンフィカにまず6200万ポンド(約83.7億円)を支払った。さらに、330万ポンド(約4.5億円)を追加で支払う可能性もある。

このポルトガル代表と契約したことによって、シティは18か月間に渡るヴァンサン・コンパニの代役探しに終止符を打つことができた。何しろ今季のシティはレスターに5失点を喫するなど、最終ラインは非常に不安定となっているからだ。

しかし、世界最高額級のディフェンダーを獲得したからといって、必ずしも守備の安定につながるものではないことはシティも十分すぎるほど分かっている。

これまでシティが交わした5000万ユーロを超える6回の契約の中では、確かに成功例もいくつかあった。

フランス代表経験はないものの、アイメリク・ラポルテはシティのDFリーダーになった。しかし先月、新型コロナウイルスに感染し、レスター戦は欠場している。

また、カイル・ウォーカーもトッテナムから移籍して以来、チームに多大な貢献をしている。グアルディオラ政権下で2つのタイトルを獲得することにおいて、主役級の活躍を見せた。

だが、このような成功例がある一方で、残念ながら失敗例の方が多いのも事実だ。

エリアキム・マンガラは2014年夏にポルトから5170万ユーロ(約64.6億円)の移籍金で加入し、契約時はクラブ最高額で取引された選手であった。しかし、プレミアリーグでは見事なまでの大失敗に終わったと言わざるを得ない。

マンガラは移籍後初出場となったハル・シティとのアウェーゲームでオウンゴールを献上。そこから立ち直ることができず、さらにPKも与えてしまう。それ以来5年間で59試合の出場にとどまり、最終的にはフリートランスファーでバレンシアに移籍した。

そしてそれ以外の3件の契約は、ジョン・ストーンズ、バンジャマン・メンディ、ジョアン・カンセロだ。皆クラブに残ってはいるが、グアルディオラの下で調整に苦しみ、コンスタントな出場は果たせていない。

■マン・Cに合った逸材

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ディアスはマンチェスター・Cにとって7人目の高額で加入したDFだ。成功も失敗もこれまでにはあったが、彼がチームにフィットしそうであることを示唆する根拠がある。

それは、コンパニの移籍以来ディフェンスリーダーとなる人材がいなかったこと。ディアスがその穴を埋め、新たな役割でチームに強さと自信をもたらすことが期待される。彼はベンフィカでキャプテンを任されていた経験があるのだ。

また、グアルディオラのこれまでの手札以上にディフェンスの「汚れ仕事」に長けているのも彼の持ち味だ。バルセロナも指揮したペップはそのような手段を戦略として使うことを否定しているが、荒々しいセンターバックを加えておくことで事を有利に運ぶこともできる。

危険にさらされる前に相手の攻撃陣を止めることがグアルディオラの戦術の中で重要な要素だ。しかし、最近の守備陣はこれを実践することができていない。

ストーンズとエリック・ガルシアは、ディフェンス面で誠実すぎる。特に後者は、狡猾な仕掛けを見せたレスターFWジェイミー・ヴァーディに対して及び腰だった。

一方のディアスは相手をプッシュしたり、引っ張ったり、ときには反則を犯すことも辞さない。相手の攻撃が始まる前に止める必要があると思えば、イエローカードを受けながらも賢明な判断を下すことができるのだ。

この点が重要になるのは、グアルディオラが自身の監督キャリアの中で絶えず続けてきた高いディフェンスラインを変えるつもりがないからだ。つまり、このようなリスクの高いスタイルでプレーすることに慣れている選手こそ、グアルディオラが欲する人材だった。

シティと戦った他のチーム同様、レスターも低くブロックを作ってシティの脅威を排除した後、ペースを急に上げてシティの脆いバックラインに穴を開けた。ディアスが求められているのは、素早いカウンターを受けやすくなったディフェンス陣を強固にすることだ。

もっとも、ディアスの貢献はバックラインだけにとどまらないだろう。ディアスはセットプレーで高さをチームにもたらすことができる。ベンフィカ時代には3年間で12ゴールを決めており、これはラポルテ、ストーンズ、ガルシアの3人の合計得点数を上回っている。

しかし、ディアスの最も注目されている点は、もちろん彼のボールさばきだ。

ロングパスで攻撃のポイントを素早くワイドに切り替えることができる能力が、グアルディオラの戦術下でセンターバックに求められる重要な要素だ。これまでのディアスのキャリアを追い続けていた人ならば、彼がチームにもたらすことができる能力と指摘するのはまさにこの点だ。

■ポルトガル出身では…

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一方で、ポルトガルからやってきたディフェンダーでプレミアリーグに順応することは決して簡単ではない。

マンガラとニコラス・オタメンディはポルトで称賛を浴びたが、シティではほとんどの期間を苦しんで過ごした。一方、マンチェスター・ユナイテッドのマルコス・ロホ、ディオゴ・ダロット、ヴィクトル・リンデロフは全員ポルトガル1部のクラブから加入した選手だが、いずれもオールド・トラッフォードのファンからは気に入られていない。

ダヴィド・ルイスは2011年にベンフィカからチェルシーに移籍。成功も経験したが、現在所属するアーセナルでは厳しい時期を過ごしている。一方、プリメイラ・リーガ出身で、チェルシーで最も成功したのはリカルド・カルヴァーリョだろう。2004年にポルトから加入し、誰もが認める大成功を収めた。

ディアスが成し遂げなければならないことは多い。これまでの歴史は見事に逆風だ。イングランドで苦労している元プリメイラ・リーガの選手がたくさんいるだけではなく、アブダビが主導して獲得した総額4億ポンド(約540億円)のディフェンダーの大半は金の無駄遣いであったことが証明されてしまっている。

ディアスは悪しき“伝統”を繰り返すことになるのか、それともシティの新たなDFリーダーとなるのだろうか。

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