■昨季は66試合に出場
物議を醸す過密日程とマンチェスター・シティMFロドリのケガの関係性について、『The Athletic』のティム・スパイアーズ記者が持論を展開した。
昨季はマンチェスター・Cとスペイン代表で公式戦66試合に出場したロドリ。シーズン中から「正直言って休みが必要」と訴えていた28歳MFは、先日の会見で過密日程について「(選手のストライキは)近いと思うよ」と警鐘を鳴らしていた。そして22日のアーセナル戦(2-2)に先発すると、21分に膝を痛めて負傷交代に。報道によると、右膝前十字靭帯の断裂により今季中の復帰は絶望と伝えられている。
今回のロドリのケガについて、スパイアーズ記者は「ロドリはスポーツ界が限界に達しているサイン。その責任は我々全員にある」と題し、持論を展開。2019年のマンチェスター・C加入から昨季まで負傷欠場がわずか5試合だったことを指摘し、以下のように続けた。
「なぜロドリが重傷を負わなければならなかったのか? これまでケガしたことがない選手が、中程度のケガ(ハムストリング)からわずか数週間後に重傷を負ったのだ。ロドリが立て続けにケガをしたのは、ここ数年の容赦ない過酷なスケジュールのせいで身体がミンチにされてしまったからだろうか? シティの個人負荷データにアクセスできないので確かなことは言えないし、重傷がワークレートに関係しているとも言い切れない。単に運が悪かっただけかもしれない」
「だが、わかっているのは、試合をすればするほどケガ人が増えているということ。来月のバロンドールで筆頭候補とされた選手の重傷は、周りの懸念をさらに高めるだけだ」
■「我々全員が共犯者」
そして同記者は、ロドリの“ストライキ発言”にはジュール・クンデ(バルセロナ)やティボー・クルトワ(レアル・マドリー)など複数の選手や指揮官が賛同していることも紹介。しかし「監督と選手の意見はほぼ一致している。だが、FIFAやUEFAなどのスケジュール担当者は、試合数を減らす意欲がないようだ」と指摘。また来年始まる新クラブ・ワールドカップの影響で、マンチェスター・Cは今季最大75試合を戦う可能性や、一部選手が最大85試合をプレーする可能性を伝え、「これは間違いなく多すぎる。そして、疲労によるパフォーマンスの低下は避けられない」とし、以下のように訴えた。
「この問題に対して反論する人間は、『選手は週に何十万ポンドも稼いでいるから文句は言えない』という結論に集中することが多い。だが、お気に入りの選手が治療室にいる場合、苦しむのは選手だけでなく我々視聴者もだ。そして、本当に金銭が選手の健康を無視することを正当化するのだろうか? じゃあいくら貰えば無視していいのか? 金額の境界線があるというのだろうか?」
「我々全員が共犯者だ。そうだろう? クラブは選手の健康についてきちんと抗議せず、増加する試合で提供される金銭を喜んで受け取り、金儲けのためにツアーを計画する。そして我々メディアやファンは、試合を見るために金を払い、SNSを探し回り、アプリを何個もダウンロードする。ある意味で共犯者だ」
「止めるのものはあるのか? 選手のストライキがあれば意思決定者が出てくるだろうが、シーズン終わりやウィンターバケーションを長くする以外に方法は思い浮かばない。国内リーグを除けば、拡大する国際大会の規模が縮小することはないだろう。視聴者の減少が勢いを鈍らせる唯一の方法だが、放送局の収益に目に見える変化をもたらすにはとんでもなく時間がかかる」
「いつかは、転換点に達するはずだ。負傷者の大量発生、早期の引退、疲労によるレベルの低下が必要になるかもしれない。それまでは、何よりも金が重要だ。我々全員が、フットボールで金儲けするマシンに餌を与えているのだ。そう、我々全員に責任がある」




