Ritsu-DoanGetty Images

堂安律を巡る去就報道が錯綜…サッカー専門誌番記者が状況整理「フライブルクが納得するようなオファーは届いていない」

フライブルクの堂安律は、一部メディアで報じられるほどフランクフルト移籍が近いわけではないかもしれない。ドイツ誌『キッカー』が現状を分析した。

今夏の移籍が濃厚とされてきた現在27歳の堂安。2022年にPSVからフライブルクへ加入した日本代表MFには、フランクフルトに加え、ここ数カ月間はバイエルン・ミュンヘンやボルシア・ドルトムント、さらにはノッティンガム・フォレスト、クラブ名非公表のプレミアリーグやセリエAの複数クラブからの関心も報じられていた。

そしてここ数日、その報道が再燃している。『ビルト』のフランクフルト番記者は15日付の記事で、「堂安本人はフランクフルト移籍を決断した」と“スクープ”。まだ完全な口頭合意には至っていないものの、今後クラブ間の移籍金交渉に入る流れで、フライブルク側は「およそ2000万ユーロ(約34億6000万円)の移籍金を想定している。一方、フランクフルト側の提示額はそれを下回っており、まだ駆け引きが続く見通しだ」と伝えた。

さらに16日には『シュポルト1』の記者が自身の『X』で独自情報として「堂安律はアイントラハト(フランクフルト)に移籍する!」と報道。「すべての関係者間で完全合意に達した! 移籍金はボーナス込みで約2300万ユーロ(約39億8000万円)」と、すでに取引が成立しているかのように記した。

一方で『キッカー』のフライブルク番記者はその数時間後、堂安の去就はまだ決まっていないことを強調。クラブのクレーメンス・ハルテンバッハSD(スポーツディレクター)やヨヘン・ザイアー取締役が、以前から見合ったオファーが届けば、移籍を容認する姿勢を示していたコメントを紹介し、次のように述べた。

「当然ながら、フライブルクの違いを生み出す選手である堂安律の退団は依然として現実味を帯び続けている。堂安は2024-25シーズン、ブンデスリーガで10ゴール8アシストを記録している。国外クラブからの関心に加え、とりわけフランクフルトが引き続き堂安の獲得に強い関心を示している」

「移籍金に関しては、フライブルクのクラブ首脳陣は明確な条件を設定しており、2000万ユーロを超える移籍金を想定している。これは最近フランクフルトがマインツからヨナタン・ブルカルトを獲得した際の金額と同水準になると見られている。ブルカルトの移籍では、フランクフルトは最低でも2100万〜2300万ユーロの固定移籍金を支払ったとされる」

また、フランクフルトの財政状況については「ブルカルト獲得で多額の支出をしたため、まずはさらなる資金を確保しないと堂安獲得に本格的に動くのは難しい状況にある」と指摘。同クラブは堂安の代案として、本職は攻撃的MFながら右サイドでも起用可能なマンチェスター・シティのジェームズ・マカティにも関心を寄せている。一方で、ウーゴ・エキティケの売却によって得られる移籍金が「堂安獲得の攻勢につながる可能性は十分にある」としている。

現在フライブルクの恒例のオーストリアキャンプに参加している堂安は、新天地に関して「明確な考えを持っており、2026年ワールドカップを見据えてクラブでレギュラーの座を確保し続けることで、サムライブルーで重要な役割を担えるようアピールしたいと考えている」と、フライブルクと同様に主力選手としてプレーできる環境を選びたい意向を示している。

「それがフランクフルトで実現するのかはまだ不透明だ。『キッカー』の情報によれば、フランクフルトは選手側にとって間違いなく魅力的な選択肢の一つだが、他の可能性も排除されてはいない。彼のようなクオリティを持つプロ選手にとって常に注目の的となるイングランド市場では、現時点では例年通りまだ動きが少ない状況だ」

また、「今のところフライブルクが納得するようなオファーは、フランクフルトからも他クラブからも届いていない」とも伝え、「現時点での早期移籍の可能性は低い状況だ」とする同記者は、堂安が予定通りフライブルクの毎年恒例のオーストリアキャンプに参加していることを受け、「少なくとも完全には否定できない別のシナリオもある。それは堂安がフライブルクに残留する可能性だ」ともコメントしている。

続けて、「堂安はフライブルクで非常に充実した日々を過ごしており、5月のチャンピオンズリーグ出場権をかけた決戦、よりによってフランクフルト相手の敗戦後もフライブルクへの愛情を率直に示していた」と伝え、フライブルク側も堂安を必ずしも今夏に売却する必要はないと強調した。

「ブライスガウ地方のクラブは2024年6月30日時点で1億5190万ユーロの自己資本を蓄えることに成功している。この自己資本のおかげで、今夏の移籍市場では大きな柔軟性を確保しており、選手売却による収入がなくても補強への投資が可能な状況だ。それに堂安との契約は2027年まで残っているため、仮に今夏に移籍しなくても来夏以降に移籍金を得られる見込みは十分にある」

広告