takefusa kuboReal Sociedad

今夏レアル・ソシエダに完全移籍…久保建英が語る過去・現在・未来「レアル・マドリー復帰は意識していない。毎シーズン環境を変えるのが辛かった」

今夏、レアル・マドリーからレアル・ソシエダに移籍したMF久保建英が、地元メディアに対して過去・現在・未来について語っている。

今季からスペイン北部のバスク地方で新たな挑戦に臨むことになる久保は、地元紙『ディアリオ・バスコ』とのロングインタビューに応じて、その人物像を同地方の人々に向けて紹介してる。日本代表MFはまず、気候に関する質問について返答した。

以下に続く

「もっと雨が降ると考えていたし、それが唯一の心配事でした。でも、ここまではかなり太陽が出ていますね」

「雨が嫌いか? 練習することを考えれば好きじゃないですね。少しやる気が削がれます。だけど試合では好きです。雨がたくさん降ると言ったのは誰か? 僕がそう考えていただけです。エイバルのような感じかと思っていましたが、とても良い気候ですね」

ソシエダが拠を構えるサン・セバスティアンと言えば、やはり海岸が有名だ。

「ビーチには行ったか? とんでもない! ビーチに最も近づいたのは、ラ・レアルの入団発表のときですね。ビーチは好きじゃない? 好きですよ。でも今の僕は、ビーチに行くためにここにいるわけじゃないですから」

「僕はまだホテル暮らしです。家を探さないといけませんが、マジョルカと同じく夏に空いている家を見つけるのは難しいですね。海の近くと緑の近くの家、どちらに住みたいか? どっちでもいいです。大切なのは家がどういうものか、ということですから。場所はどこでもいいです。家の外ではなく、中に住むわけなので」

久保はまた、移籍先にレアル・ソシエダを選んだ理由について、次のように説明している。

「理由はいくつもあります。まず一つ目には自分のスタイルに最も合っているチームだったというのがあって、二つ目には何年もレンタル移籍を繰り返して、毎シーズン環境を変えるのが辛かった、ということがあります。それで、どこかのチームに移籍することを決めたんですけど、ラ・レアルこそが最高の選択肢でしたね。彼らは一番最初に僕に興味を持ってくれたんですが、いつだって一番にそうしてくれるところが最高なわけです」

完全移籍でレアル・ソシエダに加わった久保だが、将来的にレアル・マドリーに復帰する考えはないのだろうか。

「マジョルカ、ビジャレアル、ヘタフェにレンタルで移籍したときにはそう考えていました。でも今の僕はラ・レアルに所属しているんです。自分の目標は選手として成長することであり、そのためにチームの調子も良くなければいけません。共通の利益があるわけでし、互いに手を取り合って進んでいきたいですね」

「自分に貢献できること? 突破、ライン間でのボールを引き出すこと……ラ・レアルはとても素晴らしいプレーをしますが、自分の特徴がプラスになると思っています」

久保はさらに、フットボールをプレーし始めた頃についても振り返っている。

「4歳でボールを蹴っていましたし、人生を通してプレーしていますね。ボールをうまく操ることができて、かなり熱心でした。ほかのスポーツもしていましたが、一番夢中になっていましたね。ほかのスポーツは何か? ラグビー、水泳、陸上競技……両親はすべてやらせましたね」

「フットボールのほかにうまくできたスポーツ? 水泳で、とりわけクロールがとてもうまくできました。ですが一種類のスポーツを選ばなければならなくて、フットボールに決めました」

学校でもフットボールに興じ、その後に川崎フロンターレの下部組織に加わり、それから1年半後にバルセロナへと渡ることになった久保。日本のストリート(屋外)で、友人ともフットボールをプレーしていたのかを問われると、こう返している。

「ストリートにはいましたけど、いつもフットボールをプレーしていたわけじゃないです。僕は友達といるのが好きだったんです。家には、ほとんどいなかったですね。テレビゲームは今も昔も一つも持っていません。誰ともプレーしたいと思わないし、学ぼうとも思わないですね。全員が僕に勝つでしょうし。皆がゲームの話をしているときは退屈ですね」

「成績の良い学生だったか? 悪くはなかったですけど、自慢できるほどでもないです。バルセロナでは、クラスの中で頭が良い方でしたね(笑)」

「好きな科目? 数学、次に地理学です。どこに何があるのかを知るのが好きなんですよ」

10歳でバルセロナの下部組織に加わった久保。左利きのアタッカーということでFWリオネル・メッシとも比較されていたが、そのことについてはどう感じていたのだろうか。

「左利きで彼のエリアでプレーする選手はいつも比較されていましたね。僕は比較されるのが好きでした」

「重圧にならなかったか? 逆です。世界最高の選手と比較されるのは栄誉なことですから」

「メッシと個人的に知り合うチャンスはなかったです。サインや写真は何度も頼みましたけど、すべて日本の友人にあげてしまいましたね。手元には何も残ってないです」

「バルセロナでトップチームまで到達したチームメート? アンス・ファティ、ニコ・ゴンサレス、エリック・ガルシア、アルナウ・テナスですね。彼らとは連絡を取り続けています」

諸事情でバルセロナ下部組織を離れて日本に帰国し、2019年にスペインに戻ってきた久保。しかし選んだのはバルセロナ復帰ではなく、レアル・マドリーだった。

「なぜか? 僕のために用意したプロジェクトを示してくれて、とても興味を持てたからです。だからマドリーに入団しました」

マドリー加入から昨季までの3シーズンはレンタルを繰り返すことになる。

「(最初のマジョルカへのレンタルは)素晴らしい経験でした。スペインでの最高のシーズンでしたね。4ゴールと4アシストを記録しました」

「ビジャレアルはチーム内競争が激しくて、居場所を手にするのが難しかったですね。ヘタフェに行ったとき、彼らがどういうプレーをするかは分かっていました。チャンスはありましたが、その後に厳しい5試合があって、最後にはベンチに座ることになってしまいました」

「(昨季、2回目のマジョルカへのレンタルは)負傷で何節か欠場したとはいえ、前半はとても良い感じでしたね。その後にムリキがやって来てプレー方法が変わり、自分はそのスタイルでうまくいかなくなってしまいました。それから何試合か落として監督が交代し、シーズン終盤は2トップにクロスを送る形のプレーが中心になりました。重要なのは残留だったんです」

若い内からレアル・マドリーに在籍したことが、マイナスに働いた可能性はあるのだろうか。

「いえ。遅かれ早かれ、すべての選手がビッグクラブでプレーすることを望むようになりますから」

「過去、ジダンにヴィニシウスと比較されたことがある? 2019年のヴィニシウスと比べられるのと2022年のヴィニシウスと比較されるのは同じではないです。あの当時はどちらもクラブに到着したばかりで、とても若かったんです。今のヴィニシウスは1シーズンで22ゴールを20アシストを記録するわけですし、まさにトップレベルです。実際的に、彼はほかを引き離して、ラ・リーガ最高のウイングでしょうね」

では、ヴィニシウスより1歳下の久保は今季にどのような数字を目標とするのだろうか。

「ラ・レアルみたいに主導権を握る攻撃的なチームであったら、ゴールとアシスト合わせて20くらいが良い数字でしょうね」

「成功するための焦りはあるか? ないです。良いプレーを見せ始めるまでの焦りならあります。今年はワールドカップがありますし、僕にはカタールでレギュラーとしてプレーする願望があるんです。昨季マジョルカでの負傷でポジションを失ったので、ここから取り戻せたらと思っています。ラ・レアルでプレーすることはプラスになりますね。ラ・リーガで上位に位置し、欧州カップ戦にも参加していて、良質なフットボールを実践していますから」

「スペインと日本のフットボールの違い? リズムだと思います。あっちではもっと落ち着いて、ゆっくりプレーしています。でも、同様に質は高いですよ」

若くしてメディアスターとなった久保だが、そうした名声は苦手としているようだ。

「あまり好きじゃないです。僕だけのことだったら、フットボールをプレーすることしかしません。それが好きなことであり、ほかは何もしないですね。でも、自分の職業は反響があるもので、メディアなど、その後にやって来るものも受け入れなくてはいけません」

「インタビューは嫌い? 好きじゃないですね。自分で決めるなら一回もやらないです」

久保はソシエダで、自身のアイドルの一人であったMFダビド・シルバとチームメートになるだけでなく、トップ下の位置を争うことになる。

「シルバがアイドルの一人だったのは本当です。スペインにやって来たとき、素晴らしいチームだった当時のバレンシアで、目立っていた選手の一人がシルバでした」

「ここで初めて会ったとき? 特別なことは何も。レアル・マドリーでも、セルヒオ・ラモスみたいな選手と似たようなことがありました。子供の頃にテレビで見ていた選手のチームメートになることには慣れています」

「彼にそのプレーがお気に入りだったと言ったか? いえ、何も言っていません。ここまで、彼とはあまり一緒にならなかったんです。彼は(負傷で)個別練習に取り組んでいましたし。でも、彼からは間違いなく多くを学べるはずです。僕はそう期待しています」

「彼とのポジション争い? すべてのチームで競争があるわけですし、シルバと競えるなんて誇り高いですね」

久保は、FWリオネル・メッシとFWクリスティアーノ・ロナウドのどちら派かという質問にも応じている。

「ここではメッシと言わなくてはいけません。誠実になる必要があります」

人格者として知られるイマノル・アルグアシル監督については、どのような印象を持ったのだろうか。

「静かな人という印象がありましたが、かなり迫ってくる人ですね。インテンシティーを保つためには良いことだと思います」

久保はレアル・ソシエダで、たまらない人にはたまらない14番を選択した。

「残っていた番号で一番小さな数字だったから選びました。大きな数字はあまり好きじゃないんです。好きな数字? 10番、7番、17番とかですかね……」

久保は最後に、レアル・ソシエダに関する最初の思い出について問われて、次のように返答している。

「バルセロナの選手として、ここでU-13のトーナメントに参加しました。その後アノエタに試合を見に行きました。(カルロス・)ベラやグリーズマンがいたのを覚えていて、ラ・レアルのプレーはかなり好きでしたね。そして今、僕はここにいるわけです」

広告