vini xabi alonsoGetty Images

シャビ・アロンソのレアル・マドリーはなぜ失敗しつつあるのか…スペイン紙「クラシコの日、ヴィニシウスら選手たちとの権力争いに敗れた」

ここ最近、低調が続いているシャビ・アロンソ監督率いるレアル・マドリー。スペイン『マルカ』によれば、その原因がシャビ・アロンソ監督と選手たちとの軋轢にあることを改めて伝えている。

シーズン開幕からの14試合は13勝1敗と、ほぼ完璧な成績を収めていたシャビ・アロンソ監督のマドリーだが、ここ7試合の成績は2勝3分け2敗と一気に調子を落としている。深刻なのは、そのパフォーマンスに上向く兆しがないことだ。『マルカ』によれば、このような事態となった背景にはシャビ・アロンソ監督と選手たちの権力争いがあったという。以下が、『マルカ』のフアン・イグナシオ・ガルシア=オチョア副編集長が報じた内容の主旨となる。

レアル・マドリー首脳陣は、ジネディーヌ・ジダン氏やカルロ・アンチェロッティ現ブラジル代表監督のようにモチベータータイプの指揮官しかマドリーで成功を収められない状況に疲弊感を覚え、アーセナルがミケル・アルテタ監督を招聘したように、現代的な指導者としてシャビ・アロンソ監督を呼び寄せている。

シャビ・アロンソ監督は首脳陣の期待に応えるべく、FWキリアン・エンバペをチームの中心に据えて、ハイプレスなど走ることを厭わない、規律立ったチームの構築を目指した。エンバペをエースに据える一方で、ヴィニシウスに対しては「プレーしたいなら走らなければならない」というメッセージを、ベンチスタートにするなどしつつ伝えている。またMFジュード・ベリンガムが肩の手術で離脱している間、より従順にチームのためにプレーするMFアルダ・ギュレルがラストパスの出し手となり、加えてMFフランコ・マスタントゥオノも守備面での貢献の大きさなどからレギュラーの座を獲得している。マドリーはこうして「走れるチーム」として結果をつかんでいった。

しかしながら結果が出ている裏で、ロッカールーム内の何人もの選手たちがその表情を歪めていった。ヴィニシウス、ベリンガム、バルベルデといった重鎮の選手たちは、監督のメソッドに嫌気が差していた。こうして「ビデオセッションが多すぎる」「重苦しいほどの戦術的な仕事量」「あまりに戦術的要求が多い」といった不満がメディアに漏れ伝わり、選手たちとコーチングスタッフの冷戦が始まることになる。

その不満が公でも伝わるように振る舞っていたのが、ヴィニシウスだった。ヴィニシウスはシャビ・アロンソ監督による脇役のような扱い、守備的な要求を受け入れず、両者の溝はどんどん深まり、そうしてクラシコで爆発。ブラジル人FWは70分過ぎという早い時間帯での交代に憤りを露わにし、ロッカールームに続くトンネルに一度姿を消した。

あの出来事が、シャビ・アロンソ監督のマドリーを狂わることになった。クラブ首脳陣はヴィニシウスらが規律違反を犯しても介入しないこと、すべてシャビ・アロンソ監督に任せることを決断……。だが同指揮官は自身の権利が保証されたというよりも、孤立することになった。結局、ヴィニシウスはクラシコでの振る舞いに関する処罰など科されず。シャビ・アロンソ監督はそこで、選手たちとの権力争いに敗れた。

マドリーは以降、どんどんと調子を落とすことになる。マスタントゥオノがプレーしていた頃のような激しいプレッシングは影を潜め、ヴィニシウスやベリンガムは“アンタッチャブル”となり、バルベルデがプレーを嫌っていたという右サイドバックで起用されることもなくなった。クラシコ後、シャビ・アロンソ監督は選手たちを走らせる指導者ではなく、ジダン氏やアンチェロッティ監督のようにエゴを管理する方向にシフトしていいくことになり、チームは機能性を失った。

……以上が『マルカ』の報道内容だ。シャビ・アロンソ監督率いるレアル・マドリーがここから、浮上する可能性はあるのだろうか。

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