17日のラ・リーガ第5節、アウェーでの古巣レアル・マドリー戦で躍動を見せたレアル・ソシエダMF久保建英。翌日のスペイン現地紙は、その活躍をどのように報じたのだろうか。
久保は古巣を相手取ったにこの試合で、前半を中心に脅威的なパフォーマンスを披露。開始5分に絶妙な縦パスによってバレネチェアの先制点をアシストすると、11分にはオヤルサバルのオフサイドで取り消しとなったものの強烈な左足ミドルシュートでネットを揺らし、ベルナベウに沈黙をもたらした。その後も久保は、ソシエダが前半に迎えたすべての決定機に絡み、ベルナベウの観客は彼がボールを持つだけで息を呑むような状況だった。
レアル・マドリーは後半になってバルベルデ、ホセルのゴールでスコアをひっくり返し、開幕5連勝を達成。だがスペイン現地紙は同国でバルセロナと人気を二分するレアル・マドリーだけでなく、久保のプレーについても積極的に報じている。
18日付のスペイン『アス』の1面において、大々的に報じられたのはスペイン人F1ドライバー、カルロス・サインツの2023年F1第16戦シンガポールGP 優勝で、レアル・マドリーの勝利は右上の隅で小さな見出しがあるのみだった。そしてその限られたスペースでは、次のような言葉が記されている。
「クボでさえ首位を打ち破れず」
「日本人のリサイタルの後、マドリーはバルベルデとホセルのゴールで再び逆転勝利を収めた」
また『アス』の紙面の2〜3ページで、レアル・マドリーの試合レポートを長年担当している花形記者ルイス・ニエト氏は、久保のプレーを大きく強調していた。
「クボはもう偉大な選手だ」
「タケ・クボは並外れた才能の持ち主で、自分の居場所を見つけることのみ欠けていた。そして、ここに彼の居場所があるのだ」
「5分にはチュアメニもカルバハルも守れない死角にダイアゴナルなパスを出し、バレネチェアのゴールをお膳立て。日本人はその創造力をコンスタントに発揮しており、だからこそ今季ラ・リーガでトップクラスの選手となっている」
まあ18日付のスペイン『マルカ』(こちらの1面メインもカルロス・サインツ)では、いつも試合レポート横に記されるカルロス・カルピオ副編集長の名物コラムで、久保のことが特筆されている。
「レアル・マドリーは前半、絶好調のタケ・クボと戦うことになり、悪夢を見ている」
「日本人が最初の45分間で見せたリサイタルは、真剣に凄まじいものがあった。マドリーでは公式戦デビューを果たせなかった彼だが、そのボールを扱う技術は非常に優れており、加えて意思の強さ、継続性、効果性も有している。クボは危険な存在になることを学び、ラ・レアルで主役の座に立った。彼は格を手にしてきているのだ」
「彼は成熟した選手として、自身の価値を示す野心を持ちながらベルナベウにやって来ると、イマノルのチームが生み出した危険な場面すべてに関与したのだった」
フットボールファン以外でも、新聞やテレビでその結果を目にすることになるレアル・マドリーとの一戦で、大きな存在感を発揮した久保。フットボール界のトップスターとなる階段を、また一つ登ったと言えそうだ。