5日にクラブワールドカップ(CWC)準々決勝レアル・マドリー対ボルシア・ドルトムントが行われ、3-2で勝利したマドリーがベスト4進出を果たしている。
シャビ・アロンソ監督就任から戦術的なチームに生まれ変わりつつあるマドリー。CWCベスト8で対戦するのは、同指揮官が過去5回対戦して1試合しか勝利していないドルトムントだ。
マドリーは急性胃腸炎から復活したエンバペが先発で起用される可能性も噂されたが、シャビ・アロンソ監督は継続してゴンサロを起用。全スタメンはGKクルトワ、DFトレント、リュディガー、ハウセン、フラン・ガルシア、MFバルベルデ、チュアメニ、ギュレル、ベリンガム、FWゴンサロ、ヴィニシウスで4-3-1-2と3-4-2-1の可変システムを採用している。
前半、ボールポゼッション率で上回ったのはドルトムントだったが、力量で上回っていたのは完全にマドリーだった。チュアメニがDFとMFのラインを行き来することで3バックにも4バックにもなるチームは、ドルトムントの攻撃をほとんど無効化し、逆に効果的な縦に速い攻撃からゴールに迫っていった。
そうして10分、マドリーが先制点を決める。ペナルティーエリア手前左のギュレルが左足で浮き球のパスを出すと、エリア内中央でフリーとなっていたゴンサロが右足でボールを枠内に押し込んだ。ゴンサロは3試合連続ゴールで、今大会4得点目。放った枠内シュートはわずか7本と、抜群の決定力を発揮している。
リードを得たマドリーはその後もショートカウンター、ポゼッションを織り交ぜた攻撃でゴールを狙い、20分に加点する。右サイドに開いたゴンサロがペナルティーエリア内右に走り込むトレントにスルーパスを送り、トレントが内に送り返したボールをフラン・ガルシアが押し込んだ。右サイドバックのアシストから左サイドバックがゴールを決める……シャビ・アロンソ監督のダイナミズムを重視した攻撃的戦術が発揮された場面だった。
2-0で試合を折り返したマドリーは、後半も強さを見せる。ドルトムントの反撃を非常にコンパクトかつ強固な守備ブロックで跳ね返しながら、速攻を中心に3点目を狙う。チームの中で強烈な存在感を放っていたのはチュアメニだ。フランス代表MFは守備では広範囲をカバーしてボールを奪い、ビルドアップでは的確な配球で攻撃に流動性を生み出していった。
シャビ・アロンソ監督は67分に交代カードを3枚切り、ヴィニシウス、ベリンガム、トレントを下げてエンバペ、モドリッチ、セバージョスを投入。モドリッチ、セバージョスのWゲームメーカーの存在でポゼッション率を引き上げ、エンバペが今大会初ゴールを目指した。75分にはエンバペがベンセバイニを突破してペナルティーエリア内に侵入するも、ボールはGKコベルにブロックされた。
シャビ・アロンソ監督はその後も選手交代を敢行していき、84分にチュアメニをラウール・アセンシオ、86分にゴンサロをロドリゴに代えた。終盤のマドリーはそこまでリスクを冒さずボールを回し、あわよくばゴールを狙うというスタンスに切り替える。が、90分を過ぎてからコントロールし続けていた試合が手元から離れてしまった……。
マドリーは91分、守備の集中力が欠如してしまい、バイアーにグラウンダーのミドルを決められてしまう。それでも94分には、ギュレルのクロスからエンバペがアクロバティックな右足ダイレクトボレーを突き刺して再び2点差としたものの、ドラマはまだ終わらない。
95分、ハウセンがペナルティーエリア内でギラシを倒したとして一発退場となり、ドルトムントのPKに。このPKをギラシ本人が決めてドルトムントが再び1点差に詰め寄った。さらに試合終了のホイッスル直前には、ザビッツァーがあわや同点という強烈なボレーを放ったものの、ここでは守護神クルトワが超絶的なセーブを披露。結局、マドリーは1点リードを何とか守り切り、準決勝進出を決めている。
クラブW杯とともにスタートを切ったシャビ・アロンソ監督体制のマドリーは、これで4勝1分け(4連勝中)。これまではスター選手の主体性に任せる部分も多く、属人的なプレースタイルを特徴としてきたマドリーだが、同指揮官就任からは全員で守って全員で攻める非常に戦術的なチームとなり、強さを発揮している。今回は試合終盤にドルトムントの意地の攻撃に苦しんだものの、ここぞと言わんばかりにエンバペとクルトワの個人技が炸裂し、その苦しみにも耐え抜いた。
なおレアル・マドリーはCWC準決勝でパリ・サンジェルマンと対戦。ハウセン出場停止の影響が気がかりだ。
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