12日のチャンピオンズリーグ準々決勝セカンドレグ、サンティアゴ・ベルナベウを舞台としたレアル・マドリー対チェルシーは3-2でチェルシーの勝利に終わった。が、2試合合計ではマドリーが5-4で上回り、2年連続での準決勝進出を果たしている。
スタンフォード・ブリッジでのファーストレグは、前半に今季最高のパフォーマンスを披露したマドリーがベンゼマのハットトリックで先勝。翻ってセカンドレグの前半はチェルシーが主導権を握る。ファーストレグ後半から継続して4バック(4-3-1-2)を使用したトゥヘル監督のチームは、ハイプレスを駆使してマドリーを自陣に押し込み続けた。
チェルシーはいつも通り4-3-3を駆使するマドリーを相手に、左サイドバックのマルコス・アロンソがバルベルデを釘付けにすることで中盤での優位性を確かなものとする。マドリーはバルベルデのサポートが得られないモドリッチとクロースが対応に四苦八苦していた。そうして15分、この試合展開をそのまま反映する形でチェルシーが先制点を獲得。マウントがマドリー守備陣の混乱を突き、カルバハルのマークを振り切ってペナルティーエリア内に侵入。GKクルトワにも止められない豪快なシュートでネットを揺らした。
対して、トータルスコアで1点差に迫られたマドリーは、チェルシーの高い位置からの守備にボールを前へと運ぶことができず。守備だけでなくビルドアップでも中盤の人数が足りず、満足に攻撃を仕掛けられないまま前半終了を迎えることになった。
後半立ち上がりもチェルシーが優位な状況は変わらず、50分についに同点に追いついた。CKからファーサイドのリュディガーがヘディングシュートでネットを揺らし、ベルナベウに静寂をもたらしている。
2試合合計3-3となった後には、チェルシーが守備の強度を落としたこともあり、マドリーがボールを保持して攻め込むように。55分にはベンゼマがフリーキックから直接ゴールをうかがったが、これはGKメンディの横っ飛びに阻まれた。対して速攻が主要武器となったチェルシーは62分にマルコス・アロンソがネットを揺らしたものの、これは事前のプレーでカルバハルとの間で跳ね返ったボールがM・アロンソの腕に当たっていたとして、ゴールが取り消されている。
アンチェロッティ監督は72分に1枚目の交代カードを切り、クロースとの交代でカマヴィンガを投入。しかし、それから3分後、再びポジショナルな攻撃を仕掛けたチェルシーが今度こそ正真正銘の逆転弾を決めた。ヴェルナーが最終ラインを突破してペナルティーエリア内に侵入し、カセミロを切り返しでかわしてからシュートを決め切っている。
3-4とされたアンチェロッティ監督は、メンディとカセミロを下げてマルセロとロドリゴを投入。すると80分、ロドリゴがベルナベウに火をつける同点ゴールを決めた。カマヴィンガとマルセロでボールを奪って、モドリッチが極上のアウトサイドスルーパスを放つと、これを受けた若きブラジル人FWが落ち着き払ったシュートでメンディを破った。
その後トゥへル監督がヴェルナーを下げてプリシッチ、アンチェロッティ監督が負傷ナチョの代わりにルーカス・バスケスを投入(センターバックはアラバとカルバハルに)。90分間は4-4のまま終了し、延長戦に突入した。
延長戦前半、ベルナベウの後押しを受けるマドリーは、96分に勝ち越しゴールを獲得。決めたのはPSG戦逆転劇の主役であり、ベルナベウの新たな王ベンゼマだった。カマヴィンガのスルーパスからヴィニシウスが左サイドを突破。フランス人FWは、折り返されたボールにフリーで飛び込み、ヘディングシュートを突き刺している。大歓喜のベルナベウは、おなじみ「コモ・ノ・テ・ボイ・ア・ケレール(どうして愛さずにいられようか)」のチャントを歌っていた、いや、叫んでいた。
延長戦後半はチェルシーがボールを保持して攻め込んだものの、観客の後押しを受けるマドリーが攻撃陣含めて執念の守備を見せ、試合終了のホイッスルまでを過ごした。マドリーを虫の息にして、そこで笑みを浮かべてしまったチームは逆に絶対にやられる--そういった通説通り、13回のチャンピオンズ優勝を誇る欧州の盟主が現欧州王者を下している。
.jpg?auto=webp&format=pjpg&width=3840&quality=60)



