PSG Sergio Ramos 0821Getty

PSGでデビューできないセルヒオ・ラモス。史上最高のCBの一人に何が起きているのか?

15日のアンジェとの一戦にセルヒオ・ラモスは姿を見せなかった。パリ・サンジェルマン(PSG)のファンは予期していたかもしれないが、恐れていた事態が起こっているのは間違いない。

レアル・マドリーとの契約が満了し、移籍金ゼロでPSGに加入したのは2021年7月8日のこと。それ以来、ラモスはPSGでたったの一度もプレーできていない。

ラモスがフランスの首都にやってきてから3か月が経過したが、出番が近づくとふくらはぎの故障が再発するという、もどかしい状況が今も続いている。PSGのメディカルスタッフはラモスのコンディション不良に参ってしまっていると報じられているが、当の本人は欠場中の多くの時間を動画の投稿に費やしており、ジムでトレーニングしている様子が見て取れる。

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Sergio Ramos PSGGetty

十分満足できるサラリーを受け取るラモスだけに、欠場が続く現状はクラブにとって財政的な問題点になるだろう。

先週の事態も、ラモスが加入して以来ついてまわる問題と同じことが起きた。当初、デビューの可能性は高いとみられていたが、2日前にやはり出場できないとの報道が流れ、その24時間後にはクラブが声明を発表することとなった。

「セルヒオ・ラモスは、メディカルスタッフの下でさらに10日間個別トレーニングを続けることになる。全体練習に復帰するのが目標だ」

この「目標」という言葉は不吉な予兆だ。21世紀における偉大なディフェンダーの一人が、この時点で復帰できる保証すらないということを示している。週末にはマルセイユとのダービーを戦うPSGだが、ラモスはさらに3試合を欠場することになってしまった。これでスタンドから観戦した試合は14試合を数えることになる。

■トップの状態に戻ってこられるのか?

psg-ramos(C)Getty Images

「選手として彼のような状況は簡単なことではない」と語ったのはマウリシオ・ポチェッティーノ監督。木曜日、定例の試合前会見でのこのように語っている。

「プレーできない状況に苦しんでいるが、精神的に強い選手だ。この期間中、彼はクラブ全体から支援を得ている。もうすぐ試合で見ることができると期待しているよ」

さらに、ポチェッティーノは「ラモスは間違いなく最高のレベルに戻ってこれる」と付け加えたが、その道のりは簡単なものではない。

ラモスは昨シーズン、合計30試合を欠場。熾烈な戦いを繰り広げ、素晴らしいキャリアを築き上げてきた戦士だが、確かにその中でもこれだけの試合を欠場することは普通ではなかった。だが、彼はすでに30代半ばであることは指摘せねばなるまい。

レアル・マドリーはラモスを保有しておきたかった一方で、用心深く単年契約を提示していたことも強調に値する。なお、PSGとは2023年までの契約を結んでいる。元PSGのジェローム・ロタンはラモスについてこのように指摘する。

「様々な理由から、レアル・マドリーは契約を延長しなかった。EUROではスペイン代表に招集されなかった。見逃してはいけない兆候はたくさんある。私たちには疑問を投げかける権利がある。そして、その答えに悩まされる。もし私がディクターや監督、あるいは彼のチームメイトだったとしても、同じような心配をするだろう」

「そして自分自身にこう問いかけるだろう。『彼ほどの年齢で、1年も体に故障を抱えていたら、ベストの状態に戻ってくることはできるのだろうか?』とね」

さらに、ロタン氏は「60%のレベルのラモスだったとしたら、起用することにあまり意味はないと思う」と完全な状態でなければ、戦力として上積みにはならないと話す。

「レアル・マドリーで見せた最高の時期と同じくらいのパフォーマンスをピッチで見せられるようにしないと。そして特に、彼はロッカールームで勝利への意思や、戦う気持ちを体現してくれる。それについては間違いないが、もし60%の力しかピッチで出せず、多くの試合を欠場していたら、ロッカールームで重要な役目を果たせるだろうか? 不可能だろうね」

■擁護派もいるが…

Hakimi, Wijnaldum, Donnarumma, Sergio Ramos, Messi GFX PSGGetty Images

マルセイユなどで活躍したエリック・ディ・メコのように、PSGのディフェンス陣やラモスについて擁護する人もまだいる。フランスのラジオ局『RMC』に対してディ・メコは「セルヒオ・ラモスこれからPSGのために尽力することになると思う。5月になったら話すことにしよう」と先に目を向けている。

アンジェ戦を欠場することが公式に発表された直後、ラモスはインスタグラムにある投稿を行った。トレーニング中の自身の写真と共に、筋肉の絵文字を3つつけてポストしている。

ピッチの上で目立てるようになるまでに、ラモスはPSGの選手としてよりもSNSのインフルエンサーとして有名になっているかもしれない。

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