Paris Saint-Germain PSG Lionel Messi Neymar Kylian MbappeGetty/Goal

BBC、MSNに続く“MNM”誕生…メッシ、ネイマール、ムバッペは前線トリオの歴史に名を刻めるか?

マルコ・ヴェッラッティはリオネル・メッシと同じチームでプレーできると知って、興奮を隠せなかった。

今年2月、バルセロナの経営危機の詳細が明らかになった際、ヴェッラッティがテレビ局『キャナル・プリュス』にインタビューを受けたときのことだ。メッシがカンプ・ノウからパルク・デ・プランスに移籍する見込みについて、イタリア人MFはこのように語っていた。

「チームに彼が加われば、本当に素晴らしいことだと思う。ボールをネイマールとメッシに託して、あとは彼らのやることを後ろで見ていようと思うよ」

そんな夢物語は今現実になっている。PSGはメッシをフリートランスファーで獲得したことを発表し、デビューの日が今か今かと待ち望まれている。

パリがどうやってこの移籍を実現させたのか、聞かないではいるのは無理だ。

Donnarumma Wijnaldum Hakimi Ramos Messi PSGGetty

同年夏、サンジェルマンはインテルからアクラフ・ハキミを6000万ユーロ(約77億6700万円)で獲得。さらに、マーケットで需要のあるフリー選手、セルヒオ・ラモスやジャンルイジ・ドンナルンマといったスター選手を迎え入れた。さらにPSGはメッシと2年契約を結んだが、年俸にして3500万ユーロ(約45億3000万円)の金額になるという。

特に2つの理由から、この契約は並外れたものになる。1つ目は、PSGはすでに史上最高額選手を2人保有していること。ネイマールとキリアン・ムバッペのことだ。

もう一つは、パンデミックが原因で世界はいまだに最悪の経済状態でありながら、この補強を成し遂げたことだ。

ファンはすでに欧州トップリーグの競争力が低下していることに心底不満だったが、才能あふれる選手がオイルマネーを握るクラブに集中していっている昨今の情勢や、大陸中の全てのリーグからチームを集めて行われるというスーパーリーグ競争の脅威にまで晒されている。そんな状況でファンが思っているのは、「ファイナンシャル・フェアプレーはどうなっているんだ?」これに尽きるだろう。

欠点さえあったものの、UEFAは資金投入を制御する基本的な取り組みを作ったはずだ。まだその効力は切れていないはずだが、PSGを見ているとまるで何もないかのようにさえ感じさせる。

だが、こういった、当然問われるべき重大な懸念を一蹴し、メッシがネイマールやムバッペとチームを組むことを多くのファンが楽しみにしていることは否定できない。それが現代フットボールファンというものなのだ。

■メッシはいまだ世界トップ

Lionel Messi PSG 2021Getty

元PSGのウインガーであったリュドヴィク・ジュリは今のル・パリジャン(PSGの愛称)に魅了されている。

「すでに世界最高の選手4人のうち2人を保有していたが、なんと3人目が来るなんて!リーグ・アンでネイマールとメッシとムバッペが一緒にプレーするなんて想像できたか? 度肝を抜かれたよ!」

まさにそのとおりだ。PSGは今や、フットボール史に名を残す最高のアタッキング・トリオが何を見せるのか、示す立場にある。

ネイマールの悪魔のようなトリックやムバッペの見事なまでのスピードは今、メッシの異次元のサッカーIQで補完されることになる。トリオのポテンシャルは恐ろしいまでに高まるだろう。

実際、メッシとネイマールがルイス・スアレスと共にバルセロナで名を馳せた「MSN」と同様の攻撃が見れることが期待できそうだ。南米トリオが初めて結集した最初のシーズンでバルサは見事CL優勝を達成し、大きなインパクトを残した。

もちろん、それほど能力の高いフォワードを揃えたからといって、成功が保証されたわけではない。

ジェラール・ピケも認めるように、バルサはユヴェントスと戦ったCL決勝では「苦しめられた」し、チームには彼らと同様の史上最高クラスのMF陣まで控えていたのだ。

だが、このディフェンダーはこうも強調する。「前線にこれほど早くてクオリティの高い選手が3人揃えば、簡単にはなる。ボールを渡しさえすればゴールのチャンスを作ってくれるのだから」。

もちろん、メッシのスピードは全盛期に比べて速いわけではない。34歳になったことは変わらない事実で、衰えは明確だ。

だが、昨シーズンラリーガ得点王(30得点)に輝いただけでなく、ドリブル成功数も最多(159回)、チャンス創出数も最多(77回)と明確な結果を残している。

まだまだ怪物に変わりはない。オフシーズンにはアルゼンチン代表を率い、コパ・アメリカ優勝に導いたことがその証拠だ。そして、次のターゲットは自身5度目のCLタイトルだろう。

PSGはメッシの途方もない額の給料を支払える、選ばれしクラブのうちの一つだ。だが、同時にCL王者の栄光を手に入れるための最高のチャンスを与えてくれたのだ。

CLで栄光をつかむことは、新しく名付けられたフォワード陣"MNM"の最低限の目標ということになりそうだ。

■MNMは伝説となれるか

Mbappe, Messi, Neymar splitGetty composite

彼ら3人が歴代の有名なトリオと比較されるのも必然と言えるだろう。

レアル・マドリーの"BBC"を思い出してほしい。カリム・ベンゼマ、ガレス・ベイル、クリスティアーノ・ロナウドの3人はクラブを4度のCL優勝に導いた。しかも3度連続という歴史的偉業である。

さらに、ブランコス(レアル・マドリーの愛称)の一部のサポーターにとっては、クラブ最高の攻撃陣といえばアルフレッド・ディ・ステファノ、フェレンツ・プスカシュ、パコ・ヘントの3人だ。1956年から1960年にかけて5年連続でヨーロピアン・チャンピオンズカップ(CLの前身)優勝を果たしている。

もちろん、こうした長年に渡る成功をメッシ、ネイマール、ムバッペの3人組に求めるのは酷かもしれない。

メッシは年齢がネックだ。それに、来夏にムバッペの契約は満了を迎えてしまうかもしれない。ジョージ・ベスト、デニス・ロー、ボビー・チャールトンのように、パルク・デ・プランスの場外に"MNM"を称える銅像が建てられるほどの活躍を見せられるかは疑わしい。完璧なケミストリーが見られる前にトリオが解散してしまう可能性だってある。

だが、"MNM"の時代が短命に終わったとしても、ファンに大きな印象を与えるような素晴らしい活躍を見せるはずだ。

PSGのプロジェクトに対してどのような立ち位置にいたとしても、例えばヴェッラッティのように、ファンは彼らのプレーを見て楽しむことができる可能性は高いのではないだろうか。たとえそれがほんの少しの間だったとしても…。

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