プレミアリーグに大異変、その要因は? ビッグ6の4クラブが二桁順位の序盤戦

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(C)Getty Images
【欧州・海外サッカーニュース&コラム】ビッグクラブが軒並み苦戦している2020-21シーズンのプレミアリーグ。波乱の要因となっているのは…?

9月中旬のシーズン開幕と無観客のスタジアム。特例だらけの今シーズンのプレミアリーグでは、ピッチ上でも異変が起きている。

第6節を終えて首位に立つのはマージーサイドの赤ではなく青いチーム。3位には開幕4連勝スタートのアストン・ヴィラがつけ、昇格組のリーズもトップ6に名を連ねる。一方で、昨シーズン4位のチェルシーは10位に低迷し、ミケル・アルテタ率いるアーセナルも既に3敗で11位。ユナイテッド&シティのマンチェスター勢に至っては1試合消化が少ないとはいえ、トップ10にさえ入れていない。これを異変と呼ばずして何と呼ぼう。

■王者でさえ2-7の大敗

そんな今シーズンを象徴する試合と言えば、やはり10月4日に行われたプレミアリーグ第4節のアストン・ヴィラ対リヴァプールだろう。結果は「7-2」と聞けば、誰もがモハメド・サラーのハットトリックで王者が圧勝したと勘違いするはずだ。だが実際には、大勝したのは昨シーズン最終節に何とか残留を決めたヴィラで、ハットトリックを決めたのは昨季まで2部でプレーしていたオリー・ワトキンズなのだ。

王者リヴァプールにとっては57年ぶり、ユルゲン・クロップにとっても監督キャリアで初めての7失点である。プレミアリーグ史においてこれほど衝撃的なスコアを筆者は覚えていない。

リヴァプールは、今回の大敗で高いDFラインが批判を浴びた。中盤でプレスが利かないときにラインを上げれば危険なのは当たり前。しかし「高さ」というのは敵とのバランスに過ぎない。普段リヴァプールは、試合序盤に敵DFラインの背後を突いて相手を引かせることを常套手段にしている。今回はGKアドリアンのミスにより、開始4分で失点したためプランが崩れ、それでもリスクを冒してラインを上げたため失点を繰り返したのだ。

リヴァプールのDFラインは良くも悪くも尊大なのだ。その後、怪我で長期離脱するフィルジル・ファン・ダイクだが、彼は常に余裕を見せ、時にはカバーリングを怠る。おかげで高い位置を維持できるわけだが、裏目に出ることだってある。圧倒的な“個”を持つ彼にとって、それは特徴であり欠点ではない。だから開幕6試合で昨季の22試合分と同数の失点(14)を喫した今季リヴァプールの守備で、気掛かりは高いラインよりも4-3で競り勝った開幕戦の失点内容だ。

リーズのMFジャック・ハリソンに決められた最初の失点だが、右SBトレント・アレクサンダー=アーノルドが簡単に突破されたのだ。そこまでは仕方なくても、同選手はボックス内でシュートを打たれる瞬間にも体を投げ出さなかったのである。カバーにきたファン・ダイクが止めてくれると思ったのかもしれないが、それは慢心と指摘されても仕方ない。

■絶好スタートの3クラブ

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“無観客”という異様な状況は、そういった一瞬の油断を生み出すのかもしれない。その一方で、この状況下で水を得た魚のように躍動する選手もいる。例えばヴィラのイングランド代表MFジャック・グリーリッシュがそうだ。

元イングランド代表FWアラン・シアラーは「月曜から金曜の選手」と表現するが、いつの時代にも「本番はイマイチだが練習では凄い」という選手がいる。グリーリッシュの場合は満員のスタジアムでも実力を発揮できるが、今季初黒星となったリーズ戦で自陣からドリブル突破してボックス内で何度もシュートフェイントを繰り返すなど、無観客のスタジアムでは今まで以上に活き活きして見える。チームメイトたちは、そんな主将から勇気を貰い自信を持ってプレーし、絶対的王者が相手だろうが一歩も引かなかったのだ。そして90年ぶりに開幕4連勝を果たしたのである。

プレーメーカーがチームを牽引するのは首位のエヴァートンも同じだ。白い巨人で落ち目にあった左利きが英国でゴール&アシストを量産するのは決して珍しいことではない。今のハメス・ロドリゲスは、トッテナムでプレミア64試合に出場して24ゴール&15アシストと活躍したラファエル・ファン・デル・ファールトを彷彿とさせる。大前提にはハードワークの献身性があるのだが、監督から信頼を寄せられてチームの中心に置かれれば、彼らのキック技術は絶対的な効力を発揮するのだ。走れば必ずパスがくるため、周りの選手たちは迷わず動き出す。おかげでFWドミニク・カルヴァート=ルーウィンも開幕5試合で7ゴールと、燻っていた才能を開花させたのだ。

昇格組のリーズは、マルセロ・ビエルサ監督のピッチ全体を使った“マンマーク戦術”が機能しているのも事実だが、結局はゴールを奪えているから上位にいるのだ。その大役を果たしているのが、チーム総得点の半数(6ゴール)を決めているFWパトリック・バンフォードである。ストライカーがゴールを量産するときの「on fire(絶好調)」について元イングランド代表FWアンディ・コールは「公園でプレーする感覚でプレーできること」と説明したことがあるが、今のバンフォードがまさにそれだ。

第6節のヴィラ戦では、友達と遊んでいるかのようにボックス内で落ち着き払い、咄嗟のひらめきでネットを揺らしてハットトリックを達成したのだ。そのリーズは、日程にも恵まれたと思う。彼らはビエルサの戦術を全うするためにリーグ1位の運動量を誇るが、今季は9月中旬から開幕のため幸いにも「暑さ」の心配がなかったのだ。無論、そんな指摘をしたら、6戦全勝した昨季7月のデータを持ち出してきて「暑い方が得意」とビエルサに怒られそうだが……。

■鍵は「無観客」?

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今季序盤戦の波乱について、8月中旬まで欧州カップ戦を戦っていたマンチェスター勢には準備不足の言い訳もあるが、ビッグクラブが漏れなく苦しんでいる状況を鑑みると、今季特有の“何か”が作用しているのだろう。

ユナイテッドは、昨季終盤から数えてアウェーで5連勝中だがホームでは5試合未勝利。やはり、“無観客”が影響していそうだ。そもそも一流選手の真価は重圧下で発揮されるもの。大観衆のプレッシャーがない無観客は、中堅クラブにとっては伸び伸びプレーするチャンスだが、大舞台を生業にするビッグクラブには物足りないのだろう。

最終的にはいつもの顔触れが上位を占めるかもしれないが、このまま無観客が続けば本当に大波乱のシーズンになりかねないぞ!?

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