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パリ・サンジェルマン(PSG)は16日、チャンピオンズリーグ、ラウンド16のバルセロナ戦に挑む。
PSGにとって最大級の重要な試合となるが、1月に着任したばかりのマウリシオ・ポチェッティーノ監督は、この大一番に挑むにはもう少し時間が欲しかった、というのが本音ではないだろうか。
これまで指揮を執ったのは、全コンペティション併せて10試合。初陣はサンテティエンヌに1-1とドロースタートとなり、翌戦からは勝利を重ねて8勝1分1敗。降格圏に沈むロリアンに敗れる失態はあったが、“フランス版クラシコ”の相手マルセイユとは、リーグ戦とスーパーカップで2戦2勝。上位陣との対戦はないが、6試合をクリーンシートで終えている。
しかし現在はまだ、ポチェッティーノ自身が就任時に言っていた、「選手一人ひとりが持てる力を最大に発揮できるようなベストバランスを見つける」という作業を行っている最中で、選手の組み合わせ、フォーメーション、戦術……すべてに試行錯誤しながら一戦一戦をこなしている状態だ。
■“仮チーム”感漂う
Gettyポチェッティーノのチームで柱となる主力メンバーは、GKケイラー・ナバス、バックラインのマルキーニョス、中盤のマルコ・ヴェッラッティ、そしてアンヘル・ディ・マリア、ネイマール、キリアン・ムバッペの6人。故障や出場停止がなければ、基本的には確実に先発する。
プレミアリーグ時代にスカウティングし尽くしたであろう元マンチェスター・ユナイテッドのアンデル・エレーラと、アストン・ヴィラとエヴァートンでレギュラーだったイドリサ・ゲイェも、ポチェッティーノにとって使いやすいメンバーであるようで、中盤で重用されている。
システムについては4-4-2、4-2-3-1、4-3-3など一通り試しながら、実戦をこなしつつ実験している感じだ。
そんなわけで、今のところはまだポチェッティーノ流の采配を振るうところまでは至っておらず、試合を見ていても、どこか“仮チーム”のような気配が漂っている。それでも勝てているのは個々の能力の高さゆえだが、相手に与えるチャンスが多いのは気になるところ。
たとえば24節の最下位ニームとの対戦では、PSG は66%のボールポゼッションを有していたにもかかわらず、相手に19本と、自分たちの14本を上回るシュートを打たれている。フリーキックやコーナーも相手が上回り、コーナーはPSG の4本に対して7本も与えている。相手が格下だという油断もあったのか、サイドバックの戻りが間に合わずに、最終ラインでのカバーリングが雑になっているシーンもたびたび見られた。相手の決定力が高くないことで救われたが、これがバルセロナであれば致命的だ。
■変わったのはヴェッラッティの起用法
Gettyそんな中、新生PSGでポチェッティーノ色が最も強く出ているのが、ヴェッラッティの起用法だろう。
ポチェッティーノは、持てる戦力、とりわけバラエティに富んだPSGの攻撃陣を自在に生かすオーケストラの指揮者のような役割でヴェッラッティを活用しようとしている。
これまでヴェッラッティはほとんどの場合、中盤の守備寄りを持ち場とし、深い位置から広くピッチを俯瞰して、その優れたゲームビジョンとボール奪取からの展開センスを生かす、という役割を担ってきた。
しかしポチェッティーノはこのイタリア人MFをアタッカーの後方に据えて、“偽10番”として使う戦術を試している。
最初にトライした1月初旬のサンテティエンヌ戦では、より高い位置にいる分、彼の稼働領域が狭まり、同時に威力も減少した印象を残したが、先日のマルセイユ戦ではピッチ上のいたるところに顔を出し、数字でも12.49kmと、両軍併せて最長の走行距離を記録した。
データ会社『Opta』 がヴェッラッティの試合中の動きを記録したヒートマップでも、彼の行動範囲は右ウイングから左サイドバックの位置までくまなく広がり、ボックス・トゥ・ボックス的な働きをしていたことが示されている。
シュートチャンスに直結するルートを直感的に察知できる彼がアタッカーに近い位置でパスをさばくことで、より効率的に攻撃が仕掛けられるだけでなく、ときに単調だったバックラインからのビルドアップにもこれまで以上に創造性が生まれることをポチェッティーノは期待しているのだ。
それは、『トーマス・トゥヘル前監督の下ではネイマールとムバッペ偏重だった』、という指摘に応えるというよりは、彼ら2人を含めた全員の持ち味をより効果的に引き出すことを目的としたものだといえる。
■バルサ戦のメンバーは?
(C)Getty Images新生PSGの現在地を知る格好の機会であるバルセロナ戦だが、ヴェッラッティはマルセイユ戦のアディショナルタイムに背中を負傷し、出場できるかは微妙な状況。すでに全体練習には復帰しているが、最後まで慎重に見極める必要があると指揮官は話している。
同じ試合で右大腿部を負傷したアンヘル・ディ・マリアと、2月10日のフランス杯カーン戦でそけい部を負傷し、全治約4週間と診断されたネイマールも欠場が確定している。
何もないところからチャンスを生み出せるネイマールが不在の影響は小さくないが、直近の4試合で1ゴール3アシストと絶好調で、ポチェッティーノも「このチームにとって大変重要な存在」とチームのキーマンに推すディ・マリアの欠場も痛い。
1月下旬、ヴェッラッティがコロナに罹患して離脱となったロリアン戦とニーム戦では、2ボランチの4-4-2(4-2-4)を採用していたが、ネイマール、ムバッペ、イカルディ、ディ・マリアの『ファンタスティック・フォー』のうちの2人が欠場となれば、直近のニース戦のように、ユリアン・ドラクスラーをトップ下に置く3トップの可能性もある。
朗報は、イカルディが、まるで新指揮官の着任を待っていたかのようなタイミングでケガから回復し、1月からの8試合で4得点5アシストと勢いに乗っていること。そして前季の疲れをひきずっていたムバッペも、「ようやくリズムが掴めてきた」と、カムバック宣言している。
加えて切り札になるか?と期待を抱かせるのがエヴァートンからレンタル中のモイゼ・ケーンだ。今季はすでに15得点で、直近では2試合連続で決勝点を挙げる勝負強さを発揮している。バルセロナ戦は、ディ・マリア不在の右ウイングにパブロ・サラビアを先発とする予想も多いが、ポチェッティーノが「左右、真ん中、どこでもこなせるバーサタイルさが魅力」と買っているケーンの先発もありうる。
ビッグマッチほど、主力にケガ人がいる時ほど燃えるのがいつものPSGのパターンだ。決勝トーナメントでバルセロナの壁を突破するという目標達成に向けて、まずはセカンドレグに期待を残せる結果を出したいところだ。




