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世界から預かった大舞台。U-24日本代表の東京五輪初戦、南アフリカを全力で粉砕するのみ/プレビュー&予想スタメン

■8年前に決まった夢の舞台

 2013年の9月、7年後の2020年に行われる予定だった五輪の開催地が「東京」に決まった。日本は自ら手を挙げた上で、世界中のアスリートの夢舞台を「預かる」ことを決めたわけだ。

 同月、日本の「東京」では、国民体育大会が開幕していた。サッカーの少年男子は「U-16」のカテゴリーで開催されているので、7年後に「U-23」となる“東京五輪世代”となることが決まっていた。

 地元の東京都選抜を率いて優勝した奥原崇監督(FC東京)は「彼らの中から五輪のピッチに立つ選手が出ることが、このチームの本当の成功。ここは通過点なんです」と話していたように、当時から「東京五輪世代」であることは意識されていた。選手たちの話を聞いていると、国体チームの活動を通じて「自分が東京五輪世代である」ということを認識した者も多かったようだ。

 当時・三菱養和ユースに在籍し、東京選抜の優勝メンバーとなったMF相馬勇紀もその一人。サイドから見せる切れ味鋭くエネルギッシュな突破は今と同じだが、年代別日本代表に招集されるような評価を得ていたわけではない。

 しかし、「あのときからずっと選ばれたい、出たいと思ってきた」と言うように、「東京五輪」という存在が、「心が折れそうになった時期もある」サッカー人生を送ってきた相馬にとって、高みを目指し続ける野心と向上心の源泉だった。

■離脱者も続々と戦線復帰

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 22日20時にキックオフを迎える日本と南アフリカの初戦は、奇しくもその東京国体決勝が行われたのと同じ東京スタジアム。かつてここをホームとし、「一回しか負けたことがないと思う」と言うほど得意としてきたMF久保建英はもちろん、多くの選手にとって馴染みのあるピッチだ。地元開催における最大のアドバンテージであるファンの声援はなくなってしまったが、それでも地の利は十分にある。

 準備段階でも、吉田麻也が「いろんな大会に過去出てきましたが、ホームで準備でき、こんなにも良い環境、良い状況で準備期間を過ごせたことはない」と語ったように、コロナ禍に伴う隔離生活を送るという不自由さこそあれ、異国暮らしのストレスにさらされることなく過ごせたのは大きかったようだ。

 懸念されていた離脱者も続々と戦線復帰を果たしており、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)で負傷してしまっていたMF三笘薫も練習に合流。さすがに100%の状態に戻すまでにはまだ時間が掛かりそうだが、大会中の完全復活は期待していいだろう。FW上田綺世も17日のU-24スペイン代表戦で実戦復帰を果たしており、こちらも起用に不安はない。先発は回避しそうだが、出番が来る可能性は十分ある。

■相手の状態は万全ではないが…

20210722_Japan_Form(C)GOAL

 対する南アフリカの状態は率直に言って未知数ではある。新型コロナウイルスの陽性者が出たことで試合実施自体を不安視されていたが、試合直前に行われる検査で陰性が確認されれば、濃厚接触と認定された選手たちの出場も可能だ。「二人のキープレーヤーを失った」と嘆くノトアネ監督だが、「オリンピズムの精神にのっとり、大会に参加できるこの機会に感謝したい」と前を向く。

 またMFマレペはウイルス問題で「チームは疲れていた」「強い気持ちが求められている」としつつ、そうした問題以上に真冬の南アフリカとの気温の差に苦しんでいることも明かした。

 相手が万全の状態でないことは明らかだが、そこにフォーカスし過ぎるべきではないだろう。相手に陽性者が出たことを問われた久保は「僕らにとって怖いのは、僕らのチームで『もし陽性者出てしまったら』ということですが、幸い皆さんの協力も得ながら陽性者ゼロでやれている。相手に何人陽性者が出ていようが何人けがしていようが、自分たちにとって別に損ではないので」と言い切った。

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 日本チーム視点で言えば、相手の状態が悪くなったと思われるからどうという話でもない。元より設定した目標は初戦勝利などではないのだ。こちらは万全の支度を調えた上で、微塵の油断もなく、全力で粉砕するのみである。

 世界大会経験者がズラリと揃い、オーバーエイジ(OA)の3人はいずれも五輪を経験済み。MF板倉滉が「(相手がアフリカ勢だからといっても)普段からいろいろな国の選手とやっているので」と語ったように、欧州に挑戦した選手たちが積み上げてきた要素もアドバンテージとなる。ビッグトーナメントの初戦は不安も募るものだが、経験値という点での不安はまったくない。

 もちろん、チーム力を高めるためにもう少し時間が欲しかったというのが正直なところで、完璧に仕上がったとは言いがたい。ただ、そこは伸びしろと捉えたい。大会を戦いながらより強いチームになっていくとき、チームが掲げた大目標が現実のものとなるときが来るだろう。

 世界からの預かり物である五輪という大舞台。まずは東京の地で、8年前から始まった夢のフィナーレへ向けた戦いが始まろうとしている。

取材・文=川端暁彦

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