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ニュージーランドは侮れる相手ではない。東京オリンピック4強入り目指すU-24日本代表、“高さ”ではない警戒すべき点とは?/プレビュー&予想布陣

■「年上と年下が言い合えるチーム」

「何回でも言いますが、3連勝をしたからといって次の試合で勝ち点をくれるわけでもなんでもないので、そこをもう一回リセットした状況で準備していかないといけない」

 日本サッカー協会の反町康治技術委員長は、グループステージにおける選手とスタッフの奮闘ぶりを称えた上で、あらためて釘を刺した。取材をしていても、複数の選手から自然と「まだ何も為し遂げていない」といった言葉が出てくることから、このチームが「世界大会8強」などに1ミリも満足していないことが伝わってくる。

 もちろん、手応えはある。

 一戦ごとに出てくる課題を全体で共有しながら修正するというチームとしての作業を繰り返すだけでなく、個人と個人でも互いに要求し合い、擦り合わせる作業を行ってきた。どうしても“寄せ集め”であることを避けられない代表チームにおいて、これは欠かせない作業だ。

「勝ったからうるさいかどうかはわからないけど、いつもうるさいチーム。厳しいことを言い合えているし、そこはオーバーエイジとか関係なく年上と年下が言い合えるチームになった。良いチームになってきているのかなと思う」(MF堂安律)

■OAにプレミアから強力な助っ人

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 準々決勝の相手はオセアニア代表のニュージーランド。これまでの相手よりネームバリューとしては落ちるため、観ている側は油断してしまいがちだが、そう侮れる相手ではない。というより、森保監督が大会前から言っていたとおり「世界大会に甘い相手はいない」。ましてやノックアウトステージ(決勝トーナメント)なら、なおさらである。

 ニュージーランドはオーストラリアの“アジア移籍”以降、FIFAの主催する年代別の世界大会へのオセアニア代表としての出場権をコンスタントに獲得し、世界大会での経験値を積み上げてきたチームだ。

 この世代の選手たちが出場した2015年のU-17ワールドカップ(W杯)、2017年のU-20W杯、2019年のU-20W杯ではいずれもグループステージを突破している。これは確実に地力を蓄えた上で国際舞台でのタフな経験を重ねた世代であること、そして今回の勝ち残りがフロックでないことを示している。

 これらの大会で活躍した選手たちに加え、オーバーエイジにも強力な助っ人が加入。特にプレミアリーグで実績のあるFWクリス・ウッドは象徴的な存在だ。身体的な強さに加えてDFとの駆け引きもできる選手であり、要警戒なのは間違いない。彼の高さを活かす攻撃は大きな武器である。

 とはいえ、DF冨安健洋は、かつて日本代表がしばしば苦しめられてきた“高さ”のファクターを過剰に恐れてはいない。

「数年前まではシンプルなフィジカルの差だったり、身長差はあったかもしれませんが、このチームは身長でも負けていないと思いますし、フィジカルでもそんなに劣っていないと思っています」

■日本が取り組んできた弱点克服

20210731_Japan_Form(C)GOAL

 ただ、ニュージーランドをハイボール攻撃一辺倒のチーム、高さ以外の武器がないチームだと思うのは大間違いだ。そんなチームであれば、世界大会のグループステージをコンスタントに突破できるはずもない。実際に映像を観た感触として、冨安はこう語る。

「オーガナイズされているチームだと感じましたし、アグレッシブさも感じました。攻守の切り替えがとても素早い印象を持ったので、僕たちがボールを奪ったあとは、日本がやっているように即時奪回を狙ってくる。フィジカルだけに惑わされず、切り替えの速さもあることを頭に入れながらプレーしないといけない」

 屈強な男がズラリと並んでいることもあってそのイメージに引っ張られがちだが、組織立った攻守を持ち、特に攻守の切り替えの部分が徹底されているチームである点が最もいやらしいところだ。

 とはいえ、切り替えのところは森保一監督が就任してから、トレーニングで常に求めてきた要素でもある。それができない選手はメンバーに残れなかったわけで、決して日本が見劣りする要素でもない。

 高さ・強さの弱点克服は、協会だけでなく日本の指導者たちが広く課題感を持って取り組んできたテーマであり、森保監督も重視してきた要素。先発の平均身長が180cmを超えることも珍しくなくなった現代の日本代表は、そこまで苦にするものではない。

 そして日本の武器である狭いエリアを苦にしないスキルと近い距離感でのコンビネーションプレーは、ニュージーランドのDF陣にとって十分厄介なものとなるはずだ。このため、引いて守りを固めてくる可能性もありそうだが、そこは両翼からこじ開けにいきたいところ。そして当然、攻守のセットプレーは大きなポイントだ。

 この準々決勝を前にして、堂安は「本当に一発勝負は何が起こるかわからない」とした上で、「皆さんが思っている以上に僕らは油断なんてしていない」と強調する。負ければ解散となるこの試合を乗り越え、チームはさらなる高みを目指す。

取材・文=川端暁彦

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