バルセロナが獲得を目指しながらも、最終的にアトレティック・クルブと2035年まで契約を延長したFWニコ・ウィリアムズ。スペインのスポーツ紙『ムンド・デポルティボ』が、今回の出来事におけるバルセロナ側の解釈を伝えている。
バルセロナとニコは6年契約を結ぶことで個人合意に達しており、あとはアトレティックに契約解除金5800万ユーロ(税金を含めれば6200万ユーロ)を支払えば、移籍は成立するものと思われた。しかしニコの代理人が、選手登録が確実にできるという保証を求めたことをきっかけに移籍オペレーションは暗礁に乗り上げたとされ、それから1週間も経たずしてニコとアトレティックの契約延長が発表されている。
バルセロナは昨夏に続きニコ獲得を逃した格好となったが、『ムンド・デポルティボ』が今回の流れをまとめている。
バルセロナは今夏、デコSD(スポーツダイレクター)がニコの代理人から逆オファーを受け、獲得を検討し始めたとされる。ジョアン・ラポルタ会長は当初、昨夏にバルセロナ移籍を拒絶したニコを“ブラックリスト”に入れていたという。しかしニコがアトレティックではなかなか難しいタイトル獲得を熱望していること、バイエルンも同選手に興味を持っていること、宿敵レアル・マドリーも獲得の可能性を模索していると仲間内から耳にしたこと、その一方でスペイン代表でプレーするバルセロナのチームメートが自クラブに勧誘していることなど様々な情報を加味して、もう一人の獲得候補であったリヴァプールFWルイス・ディアスを差し置いて、再びアトレティックFW獲得を目指すことにしたようだ。
しかしながら契約年数や年俸などで合意に至った後、ニコの代理人はサラリーキャップの問題で選手登録ができなかった場合の保証として、他クラブにフリーで移籍することを要求した模様。ニコとアトレティックの契約解除金6200万ユーロを支払う予定のバルセロナにとって、その後にフリーで放出するリスクを冒すことはできず、ここで交渉が停滞したとされる。『ムンド・デポルティボ』によれば、バルセロナ側はその際、次のようなことを感じたという。
「バルサの交渉を担当した者たちは、そこで気づき始めた。ニコはバルサでプレーすることを夢見ているのではなく、代表の友人たちとプレーしたかったのだと。それは同じことではない。彼の家族はクレ(バルセロナ信奉者の愛称)ではなく、加えて彼の兄(FWイニャキ・ウィリアムズ)がキャプテンを務めるアトレティックと深い絆でつながっているのだ」
バルセロナは選手登録をできない場合、フリーで放出するという条件を拒否し続け、これに対してニコ側は「選手は間もなく家族と話し合い決断を下す」と伝えたという。そして、その翌日にあたる7月5日の10時40分、アトレティックはニコと2035年までとなる契約延長を発表。バルセロナはニコ側から契約延長を決断したという連絡を受けていなかったものの、このような結末になること、ニコ側がもう譲歩しないことは分かっていたようだ。
『ムンド・デポルティボ』は、バルセロナ側の現在の心境および結論を、次のように伝えている。
「ウィリアムを獲り逃したと分かった後、クラブは興味を持っていた選手を失った不快感に襲われ、それからニコが(選手登録の保証を求めなかった)ダニ・オルモやジョアン・ガルシアとは違うことを理解した」
「彼らはこう結論づける。『私たちは彼なしでラ・リーガ、コパ、スーペルコパを優勝した』。つまるところ、失望はゼロである。夏はまだ終わっていない。バルサでプレーすることを夢見て、リスクを冒す覚悟がある選手たちは存在しているのだ」


