アスレティック・ビルバオに所属するスペイン代表FWニコ・ウィリアムズが、レアル・マドリーのブラジル代表FWヴィニシウス・ジュニオールについて語った。
スペイン代表とブラジル代表は26日にマドリーの本拠地サンティアゴ・ベルナベウで対戦する。その試合を前にスペイン『アス』とのインタビューに応じたニコは、スペインの各地で侮辱的、または差別的な言葉を浴びせられるヴィニシウス問題について言及。自身もそうした言葉に苦しんできたアスレティックFWは「ヴィニシウスはなぜ侮辱されるのでしょうか。黒人選手だから、それともマドリーの選手だから?」との質問に対して、次のように返答している。
「彼が侮辱されるのは、素晴らしい選手であり、黒人だからだ。本当にひどいことだし、もう断ち切らなければいけない。フットボールは楽しむためにある。侮辱するためではなくてね」
「自分も侮辱に苦しんだことがあるか? そうだね。侮辱は行われている。繰り返すが、フットボールは楽しむためにあるんだよ」
ニコと兄のFWイニャキの父親はガーナ人で、母親はリベリア人だ。ガーナで出会った二人は、イニャキを身篭っている時期に安全な暮らしを求めてスペインへと移民した。砂漠を横断し、同じく亡命した人が道半ばで倒れる姿を見ながらメリージャの国境フェンスまで辿り着くと、最初にビルバオ、次にパンプローナに移り住んでいる。
ニコは両親に対する尊敬の気持ちを語りつつ、自分たちのルーツに誇りを示している。
「母さんは僕たちの模範だ。彼女は裸足で砂漠を横断して、スペインにやって来た。より良い生活を手にするために。僕たちは誰かから何かを奪うためにスペインに来たわけじゃない。母さんはただ、家族のためにパンと天井のある家を求めただけなんだよ」
「母さんは苦しみ、闘った。だから僕がすることはすべて彼女のためなんだ。そして父さんは僕たちに食べ物を与えるためにロンドンへと向かった。両親は僕たち兄弟のために、本当に苦労をしたんだよ」
「人種差別者として生まれる人間なんていない。差別は教育の問題であり、子供たちにしっかりと教えてあげないといけない。子供たちはただ、目にするものを真似しているだけなんだ」
16日のラ・リーガ第29節アラベス戦(2-0でアスレティックが勝利)の直後、ニコとイニャキはピッチ上で激しい口論を繰り広げて話題となっている。ニコが「兄さんはウナイにパスを出すだけで、僕はずっと一人で佇んでいる。試合中ずっとだぞ!」と言えば、イニャキが「お前がそういうことをしているんじゃないか!」と返答。これにニコが「僕はパスを出してただろ!」と反論し、イニャキが「そんなことを言うなら一人でプレーしてろよ」と返して……と、仲裁が入るまで二人は延々と言い争い続けていた。
ニコによれば、その口論の後には母親から連絡を受けたそうだ。
「ああ。彼女は今ガーナにいるんだけど、そのことを知って連絡してきた。『口論なんてしないで。特にピッチでは』と伝えられたよ。まあ、フットボールではそういうことだってあるんだ」
「僕たちはロッカールームでも言い争い続けたけど、家路についたらもう過去のことになっていたよ