出場300試合以上、140以上の得点を記録し、少なくとも18個のトロフィーを獲得したアリエン・ロッベンのバイエルン・ミュンヘンでのキャリアが、この夏に終わりを迎える。
現在、ふくらはぎのケガで戦列を離れており、昨年の11月末から試合に出ていないロッベンには、将来についてじっくり考える時間がたっぷりあったことだろう。契約満了により、移籍金は必要なく、次に行きたいクラブを選ぶことができるのだ。
35歳と高齢ではあるが、ロッベンはまだ最高レベルのプレーができる選手であり、その才能は今季のチャンピオンズリーグで、ベンフィカ相手に2得点したことでも証明済みだ。その結果、ロッベンは、世界中のクラブから大いに注目され続けている。
「いくつかオファーが来ているし、そのことが誇らしくないと言えば嘘になる。いつになるか正確なことは言えないが、いつかは決めなければならないし、シーズン終了前にはそうするつもりだ。家族もいることだし、将来設計はちゃんとしないと」
契約満了は6月だが、 ブンデスリーガのシーズンは5月に終わる。まもなくロッベンは最終決断を下さなければならなくなるのだ。そこで『Goal』は、彼の選択肢について考察してみた。
■MLSにはバイエルンと提携を結ぶクラブが…
MLS(メジャーリーグ・サッカー)は、サッカー界で急成長を遂げている市場の一つであり、ビッグネームが新たにやってきても驚くことではない。ロッベンをめぐっては、トロントFCやコロンバス・クルー、バイエルンと同じスポンサー名がスタジアムに冠されているミネソタ・ユナイテッドFCといった名前がメディアで取り沙汰されている。ただ、トロントには、ロッベンと特別指定選手契約を結ぶ枠が残っておらず、コロンバスはクラブ史上、それに必要とされる金額を支払ったことはない。
ロッベンが移籍する可能性のあるアメリカのクラブは、バイエルン・ミュンヘンとパートナー関係にあるFCダラスだろう。このパートナー関係は、選手の移籍に関して、これまでのところ、主にバイエルンのほうが恩恵を受けてきており、1月には、クリス・リチャーズがバイエルンのトライアルに合格して正式に移籍してきた。一方ダラスのダン・ハント会長は「バイエルンの選手をレンタルで獲得する可能性はあるし、ロッベンとフランク・リベリが大好きだから、2人ともMLSに移籍してきて欲しい」と話したことがある。
「難しい問題ではある。どのポジションに選手が必要か、日ごとに変化するからね。夏が近づいてきたら、話をしてみるつもりだ。この夏は無理でも、2020年の準備をしなければならない」
「2人とも世界的なスーパースターだ。私は、もう何年も前から2人のファンだよ。2人とも獲得できたら、奇跡だ。2人がMLSに興味を持ってくれるなら、2人ともきっと活躍できると思う。2人がピッチに立てば、素晴らしい才能を見せつけ、ゴールしてくれることだろう。FCダラスにとって申し分ない話だ」
■発展続けるカタール
©Getty Images2022年にワールドカップが開催されるカタールは、サッカーの国として認知されることが急務だ。すでに何年も前からサッカーに力を入れるようになっており、2015年には、スペインのスーパースターであるシャビが、バルセロナを離れてアル・サッドと契約し、カタールの国内リーグ、カタール・スターズリーグを有名にした。シャビは、2022年ワールドカップのオフィシャル・アンバサダーにも起用されている。
シャビ以外にもカタールに移籍したビッグネームは多く、サミュエル・エトー、ナイジェル・デ・ヨング、ウィルフリード・ボニー、中島翔哉といった選手が、カタールリーグを国際的にしてきた。このところロッベンはアル・サッドへ移籍するのではないかと噂されており、そうなると39歳のシャビは引退してコーチに専念するとみられている。ロッベンは過去に、ドーハへの移籍はありうるとし、「最近の我が家の食卓では、まさにそのことが話題になっているよ。友達や家族とその話をよくする」と認めるところだ。
「そろそろ決心しないといけない。数年前なら、いつも、どちらかというと単純に物事を決めていた。だけど引退が近づいている年齢になって、たくさんのことを考えなければならない。簡単なことじゃないけど、ワクワクすることでもある。多くのことがまだオープンだ。だけど、頭の中で、これは違うというものはすでに除外した。――ただ、発表するのはまだ早い」
■中国行きの可能性は低い?
STR/AFP/Getty Images中国スーパーリーグことCSLへの高額移籍はどうだろうか。ここ数年、CSLは、若手選手が移籍してきたことで「年金リーグ」のイメージから脱却しつつあるのが現在の姿だ。だが以前、ロッベンは現役最後を飾るためのリーグとしか考えていないと話していた。35歳となった今であれば、選択肢に入るのか、それは彼のみぞ知る。
2017年にロッベンは「中国への移籍は、まったくもって別物だ。基本的に、キャリアが終わる頃に考えることだよ。僕は、できるだけ長く、最高レベルでプレーし続けたいと思う」と話している。
「27歳や28歳で中国に行く選手は、理解できないね。キャリアの絶頂期だというのに。まったく、才能の無駄づかいだ。人生は一度しかないんだよ。30歳を過ぎた選手なら、まあまあ理解できるけど」
さらに、高年俸で釣るオファーについて「クレイジーだ」ともしたロッベン。いまだ高いレベルでのプレーを続ける彼に中国が触手を伸ばしている可能性は十二分にあるが、「お金では動かない」と話しているだけに、移籍の実現性は低そうだ。
■日本ではFC東京が候補に
©J.LEAGUE過去、ロッベンは中国への移籍を冷笑したが、日本への移籍は、彼にとって比較的魅力あるものかもしれない。外国籍選手の登録数に規制がある中国やカタール、特別指定選手制度のあるMLSと違い、Jリーグには、契約するビッグネームの数に制限がない。1試合に登録できる外国籍選手は5人までとなっているが、クラブに登録する外国籍選手は何人いてもよいのだ。
このため過去数シーズン、多くのスター選手がJリーグに加入しており、ヴィッセル神戸にはワールドカップ優勝メンバーのルーカス・ポドルスキのほか、アンドレス・イニエスタやダビド・ビジャが所属している。また、サガン鳥栖にもスペインのワールドカップ優勝メンバーの一人、フェルナンド・トーレスが昨年加入した。
Jリーグは夏にも開催されるリーグだが、ロッベンは、移籍市場がオープンになる6月28日に登録することが可能だ。つまり移籍が決まれば、今季中から彼の左足がアーチをかけることになる。
噂に挙がっているFC東京には3人のブラジル人選手がいるが、枠は余っている。加えて、クラブの上層部の一人は匿名で「彼が交渉の席に着いたとは言えないが、情報は集めている。彼に興味を持たないクラブはない」と話していることが伝えられたが、果たして…。
■セリエAに具体性はなし
Getty2011年以降、イタリアのメディアは、ロッベンがセリエAに移籍する可能性があると度々記している。最も頻繁に名前があがるのがインテルで、他にACミランやローマの名前もある。2010年には、チャンピオンズリーグで対戦したローマについて、「イタリアで最も美しいチーム」と称賛していた。
しかしながら、ここ最近でインテルだけの噂になったのは、ロッベンがMLSへの移籍のためにインテルを断るだろうというもので、名前があがっただけだった。過去にオランダ、イングランド、スペイン、ドイツでタイトルを獲得しており、他の国のリーグのトロフィーをコレクションに加えたいと思っている可能性は高いが、インテルでそれを成し遂げるのは難しい。来シーズン、イタリアでチャンピオンになるのはユヴェントスで、ほぼ決まっているからだ。
■エールディヴィジは理想的な最後だが障害も…
ロッベンは地元のフローニンゲンでプロデビューしており、最初のシーズンでクラブの最も活躍した選手にも選ばれている。たちまちオランダのビッグクラブに注目され、PSV に移籍した。ただし、選手にとってもクラブにとっても、生まれ故郷でキャリアを終えることがいつだって理想のことだ。
「地元のユースチームでプレーして、プロデビューした。今でも頻繁に連絡を取りあっているし、FCフローニンゲンとの絆は、いつまでも続くだろう。だけど、サッカー選手としてあそこに戻るかどうかは、約束できない」
ロッベンが明言しなかった一方、フローニンゲンのハンス・ナイラントSD(スポーツディレクター)は復帰の夢を公言している。同時にクラブの成長も不可欠であるとする。
「彼はここで11歳のときからプレーしている。ここで初めてピッチに足を踏み入れたんだ。スタジアム最初の得点も彼がした。アリエンは今でも我々と親しくしてくれている。お互いにね。はっきりいって、彼に戻ってきてくれと何度も言った。ディルク・カイトとフェイエノールトのように」
「これは完全に夢だよ。アリエンが戻ってきてくれたら、歓迎なんてもんじゃない。彼のような選手が加わるなら、クラブも一段高いステップに進まなければならない。彼のキャリアの最初と最後を飾るんだからね。彼がクラブのために何かしようとしてくれるなら、我々はみな、大歓迎だ」
■現実的なのは引退か
Getty代表レベルではワールドカップ準優勝が最高成績であるが、クラブレベルでは、獲得できるタイトルはすべて取ってきた。バイエルン・ミュンヘンでは2013年にチャンピオンズリーグを制し、PSV、チェルシー、レアル・マドリー、バイエルン・ミュンヘンで合わせて10回のリーグ優勝を果たしたうえに、今季もまたブンデスリーガを手にしようとしている。
クラブレベルでほぼすべての栄冠を獲得し、ケガで苦しみ続けていることもあり、シューズを脱ぐ決心をする可能性もある。世界中のクラブが関心を示しているとしても、最も可能性のある選択肢は引退なのだ。
「自分の将来について、次のステップをどうするか、考える時間はある。引退もありうる」
そう本人が認める通り。ただ、一サッカーファンとしては次の言葉を信じたい。
「何か興味をそそるようなことが起これば、現役を続けるのもいいだろうけどね」
文=ロナン・マーフィー/Ronan Murphy
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「※」は提携サイト『 Sporting News』の記事です