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【独占】日本代表主将、吉田麻也インタビュー。幼少期からイングランドとイタリアでの冒険、カタールW杯への道を語る

10:18 JST 2021/11/30
yoshida
カタール・ワールドカップ(W杯)出場を目指す日本代表の主将・吉田麻也が『Goal』イタリア版の独占インタビューに応じ、幼少期の憧れからサウサンプトン時代やサンプドリアでの現在、サムライブルーについてなど多岐にわたって語ってくれた。

■憧れのカズ、ピクシー

――キャリアのスタートから質問していきましょう。サッカーを始めたきっかけは?

「僕が子どもの頃、サッカーは日本で一番人気があるスポーツではなく、一番人気は野球でした。それでも僕は、兄がサッカーをやっていたこともあり、このスポーツが大好きになりました。常に兄の真似をしたくて、そのおかげで日々、上達していきました」

――子どもの頃の憧れの選手は?

「僕らの世代の日本人にとって、憧れの選手と言ったら三浦知良(1994-95シーズンにジェノアでプレー)さんでした。彼のことは、イタリアの皆さんも知っていますよね。別世界の選手だったかもしれませんが、当時、僕のようにサッカー選手になることを夢見ていた子どもたちにとって、なりたい大人の理想像となる選手でした」

「それから、ドラガン・ストイコヴィッチさんにも憧れていました。かつて名古屋グランパスでプレーしていた攻撃的MFで、現在はセルビア代表監督を務めています。幼少期は彼の試合を見て、彼みたいになりたいと夢見ていました」

――2人とも攻撃的な選手ですね。FWになりたかったのですか?

「子どもたちはFWになることを夢見ていることが多いですね。みんな最初はセンターフォワードからスタートして、徐々にポジションが後ろへ、後ろへと下がっていく。そして僕みたいにDFになるんです。僕はこれ以上、後ろには下がれませんよ(笑)。GKは僕には向いてないと思います(笑)」

――日本にいた頃、ヨーロッパのどのリーグを見ていましたか?

「見ていたのはプレミアリーグでした。下部組織に所属していた時、監督が毎週月曜日にリヴァプールやチェルシー、アーセナルなどイングランドのすべての主要クラブの試合を収めたDVDをくれたことを覚えています。僕はすべての試合を見て、あの素晴らしい王者たちから何かコツをつかもうと努めていました」

■プレミアリーグでの経験

――2012年、まさにそのイギリスへ移籍した時の気持ちを教えてください。

「夢が実現し、言葉にできないほどの感動でした。プレミアリーグのデビュー戦でエミレーツ・スタジアムに足を踏み入れた時のことは、いまでも覚えています。スタジアム内のざわめきやサポーターの熱狂ぶり、それに素晴らしい環境、身震いするくらいすべて鮮明に覚えています。ただ、試合は0-0で終わったので、ゴールの感動だけは味わえませんでした。それでも、それ以外はすべてが最高でした」

――サウサンプトンでは、マウリシオ・ポチェッティーノやロナルド・クーマンの指導を受け、チームメートには、現在プレミアリーグやヨーロッパを席巻するフィルジル・ファン・ダイクやサディオ・マネがいましたね。

「イングランドでの経験は良い思い出しかありません。いま、名前が挙がったような偉大な王者たちの隣でプレーすることができましたし、他のチームの偉大な選手たちとも対戦し、僕自身の成長につながりました。ポチェッティーノ監督やクーマン監督も、僕が適応し、成長していく上で重要な存在でした。2人は本当に偉大な指揮官です。それぞれが自分のメンタリティや戦術を持っていて、僕は両者から多くを学びました」

――近年、囁かれているように、ファン・ダイクは本当に世界最強DFだと思いますか?

「それは一概には言えません。もしチャンピオンズリーグ(CL)で優勝することができれば、その通りかもしれませんが、優勝できなければ違うということかもしれませんね(笑)。冗談はさておき、最近、リヴァプールとアーセナルの試合を見ました。アーセナルは好調だったはずですが、それでも試合は一方的でした。リヴァプールは本当に、ものすごいチームです。ファン・ダイクとマネの活躍を非常にうれしく思っています。2人は偉大な選手であると同時に、素晴らしい若者です。2人にとって良い方向へ向かっていることをうれしく思います」

――プレミアリーグとセリエAの違いについて教えてください。

「手短に説明するのは難しいかもしれません。セリエAはより戦術的で、プレミアリーグにはよりテクニックのある選手がいるとは、よく言われています。他にもいろんな意見を耳にしましたが、最近、(ズラタン・)イブラヒモヴィッチのインタビューを読みました。様々なリーグの違いについて説明していて、僕も彼と同じ意見です」

「プレミアリーグが唯一無二である所以はインテンシティにあると思います。世界中どこを探しても、イングランドのようなペースでプレーするリーグはありません。他のリーグではみられるようなスローペースの時間帯がないんです。常に時速1000キロの勢いでプレーするから、イングランドのフットボールは独特なのだと思います」

「それからイタリアでは、戦術的な要素がかなりありますが、技術的な要素もかなりあると思います。カルチョは難しく、確実にレベルは高いです。ですがインテンシティに関しては、イングランドが本当に特別なものを持っていると思います」

――環境面はどうでしょうか?

「イングランドは、スタジアム内の雰囲気が本当に素晴らしいと感じました。ですが、イタリアでもかなりの情熱を感じます。ここへ来る前は、それほどではないと思っていました。テレビの映像を見ていても、必ずしも満員ではなかったからです。ですから、それほど注目されていないのではないかという印象を抱いていました。ところが、僕は考えを改めました。イタリアにはものすごい情熱があります。もしかしたらイングランドよりも勝っているかもしれません」

■「最高の旅」イタリアでの冒険

――サンプドリア移籍のきっかけを教えてください。ここへやって来る前、イタリアのことやカルチョについて、何か知っていましたか?

「正直、何も知りませんでした(笑)。冗談はさておき、セリエAはヨーロッパ主要リーグの1つで、ビッグクラブはCLに出場しています。ですから、主な選手は知っていました。サンプドリアについては、(ジャンルカ・)ヴィアッリや(ロベルト・)マンチーニがスクデットを獲得した1990年代の歴史を知っていました」

「また、ここへ来る前に、サウサンプトンでチームメートだった(マノーロ・)ガッビアディーニに連絡して、情報を教えてもらいました。あの頃は、僕にとって良い時期ではありませんでした。出場機会が少なく、サウサンプトンの新監督からは、若手選手を重用しようとする意図が感じ取れました。だから僕は、このチャンスをつかむことにしたのです。正しい選択をしたと言えると思います」

――イタリアやジェノヴァの街への順応はどうでしたか?

「まず、食事がイギリスよりもずっと美味しいです。もしかしたら、日本よりも良いかもしれません(笑)。イタリアの料理は最高ですし、それに街も素敵です。新型コロナウイルスによるロックダウン(都市封鎖)が終わり、いまはいろんなことを楽しんでいます。新しいことを発見するのが好きなので、いまは機会を有効活用しています」

「例えば、サルデーニャやトリノなど素敵な場所を訪れました。アルバ地区やバローロ地区では、最高に美味しいワインを試飲しました。料理も素晴らしかったです。ただ、最初はイギリスに残った家族と離れて暮らしていたので、やや難しい時期もありました。ですが家族が来てからは、本当に最高にうまくいっています」

――イタリアでは料理が気に入ったとのことですが、まだ不慣れなことはありますか?

「残念ですが、言葉です。もっと上達して自由に自分を表現できるようになりたいです。ピッチでチームメートたちが話していることや、監督の指示をすべて理解できるようになることは、非常に重要だと思います。また、日々の生活においても、僕を受け入れてくれているその国の言語で自分を表現するべきであるように感じています。いまも勉強しているので、早くできるようになるよう願っています」

――サンプドリアでのこの1年半を振り返ってどう思いますか?

「僕にとって、“最高の旅”かもしれません。ここへやって来てから、自分が選手として、人間として成長したように感じています。ここでの経験は、プロフェッショナルな面だけでなく、人間性においても、役立ちました。僕は、自分を最大限発揮できる場所を求めていました。そのためには出場機会を得る必要があります。30歳を過ぎて出場機会を得られなければ、どんどん衰えてしまいます。ですがここイタリアのジェノヴァ、特にサンプドリアにおいては、自分が求めていたもの以上のものを発見できたように思います。本当にすべてが“アメージング”ですよ」

――指揮官がクラウディオ・ラニエリだったことは、どれほど重要でしたか?

「加入直後、英語で話してくれる指揮官がいたことは、大きかったと思います。それに、それまで僕がやってきたフットボールを知っていたことも重要でした。僕がカルチョにより素早く適応するために、どこをどのように修正すれば良いかを把握していたからです」

「それからサンプドリアには、多くの外国人選手が在籍していて、そのほとんどが英語を話せます。最初の段階で、僕が知っている言語で話してくれる人がいたことは、非常に重要でした。ラニエリ監督は現在、イングランドへ戻りましたが、活躍されていることをうれしく思います。特別な監督なので、この調子で続けてほしいと本当に願っています」

――第13節のサレルニターナ戦では、重要な勝利を収めることができました。もう、どん底から脱出したと言えるでしょうか。

「いや、それはありません。そんなことを考えるべきではないです。確かに重要な勝利でしたが、僕らは何事もなかったかのように、取り組みを続けていくべきです。順位表の状況を見れば、安心できるような段階ではないと思います」

「ただ、残念なことに、僕は負傷していて、チームに貢献することができませんでした。サンプドリアというクラブは、僕がプレーするのを前提として給料を支払ってくれています。だから僕自身がチームに貢献できないことは、本当に嫌なんです。毎回、こういったことが起きるたびに、フラストレーションを感じます」

「幸運なことに、ここへやって来てからはあまりケガがありませんでした。今後は、さらに少なくなるよう願っています。僕の目標は、もちろん日本代表としてW杯に出場することですが、ここサンプドリアにおいても、決定的な役割を担い、チームの目標を達成するために、チームメートをサポートしていきたいと思っています」

■W杯への戦い、そして…

――W杯の話が出ました。日本代表はアジア最終予選において、やや困難なスタートを切りましたが、現在は出場権獲得が見えてきました。あなたにとって、主将としてカタールW杯に出場することは、どんな意味がありますか?

「もちろん素晴らしい名誉です。でも、まずは予選を勝ち抜かなければいけません。スタートは良くなかったですが、そこから挽回し、これからホームで中国、サウジアラビアとの2試合に臨み、決着をつけなければなりません。確実にW杯へ行くためには、ここで6ポイントを獲得しなければ。W杯へどのように臨むかを考えるのは、その後です」

――W杯で良いパフォーマンスを見せるためには、何を改善していくべきと考えていますか?

「今回の予選は非常に厳しいものでした。練習時間よりも、飛行機の中で過ごす時間の方が長いことも何度かありました。これでは簡単にはいきません。ほぼ24時間を機上で過ごし、さらに時差ボケも少々あるかもしれない。そこで仕上げの練習だけして、ピッチに立たなければならないとなると、まったく一筋縄ではいきません。それはさておき、僕らはあらゆる面で改善できると思いますが、特に得点力を改善するべきだと思います」

――カタールW杯で対戦したい選手はいますか?

「最強クラスの選手全員と対戦したいです。世界を代表する強豪や王者たちと対戦できることは、僕ら選手にとって素晴らしいことです。力試しをして自分の実力を知ることができます。ハリー・ケインや(ロメル・)ルカク、クリスティアーノ・ロナウド、ラウタロ・マルティネスや(リオネル・)メッシのようなFWと対戦することを考えると、ワクワクしますよね」

――これまでのキャリアで、最も苦しめられたFWは誰ですか?

「あまりにも多すぎて、名前を挙げ出したらキリがないです(笑)。(カリム・)ベンゼマや(エデン・)アザール、(セルヒオ・)アグエロ、(ピエール=エメリク・)オーバメヤン、(モハメド・)サラー、サディオ・マネ、ほんとに多すぎて…」

――今後の目標を教えてください。キャリアの終わりには、どこでどんなことをしていると思いますか?

「日本は僕の母国なので、戻る可能性は常にあります。ただ正直、このような(キャリアを終える時期に関する)質問に僕はいつも同じように答えます。『クソったれ!』ですね。引退するつもりが僕にないことを大きく報道してください。たくさんトレーニングして、多くの試合に出場していきたいです。僕は日々、自分自身を向上させていきたいと思っていますし、サンプドリア、そしてワールドカップで日本の歴史をつくりたいと思っています。だからその後のことを考えるのは、まだまだ先ですよ」