【徹底分析】マン・C対リヴァプール、世界最高の戦いで何が起きていたのか?クロップの「罠」とペップの「返答」を西紙分析担当が紐解く

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Jurgen Klopp Pep Guardiola Liverpool Man City
Getty/Goal
【欧州・海外サッカー コラム】プレミアリーグ第8節マンチェスター・シティ対リヴァプールは、1-1のドローに終わった。随所に世界最高レベルの攻防が繰り広げられた一戦で両指揮官が授けた策を、スペイン紙『as』試合分析担当ハビ・シジェス氏が紐解く。

マンチェスター・シティ対リヴァプール。現在のプレミアリーグ、そして世界のフットボールシーンをけん引する両クラブの激突は、1-1という結果で幕を閉じた。

エティハド・スタジアムで相まみえた両チームだが、先手を取ったのはリヴァプールだった。11分、サディオ・マネが敵ボックス付近で反転すると、カイル・ウォーカーがたまらずファール。これで得たPKをモハメド・サラーが沈める。しかし、シティも反撃。31分、ケヴィン・デ・ブライネのパスをボックス内で受けたガブリエウ・ジェズスが1トラップからネットを揺らした。シティは39分にPKを得たが、デ・ブライネが枠の左へ外してしまう。その後もスコアは動かず、両者1ポイントずつを分け合う結果となった。

1-1という結果に終わった一戦だったが、試合の随所に激しく、レベルの高い攻防が繰り広げられていた。そんな一戦で、世界をリードする両指揮官が仕掛けた策をスペイン紙『as』試合分析担当ハビ・シジェス氏が紐解く。

文=ハビ・シジェス(Javi Silles)/スペイン紙『as』試合分析担当
翻訳=江間慎一郎(ツイッター:@ema1108madrid)

クロップの罠

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未だに無観客での試合開催が続くなか、マンチェスター・シティ対リヴァプールほどに“そそる”一戦は存在しない。現在、彼らのフットボールのレベルはこれ以上ないほど高く、微妙な戦術ニュアンス、個人及び集団が行うアクションはまさしく美味である。エティハドで行われた今回の試合には、そうしたすべての要素が詰め込まれていた。まずリヴァプールがその偽りのスターティングメンバーで優位に立ち、次にマンチェスター・シティがこの試合の独特な流れを解読して状況を逆転させている。

リヴァプールは攻撃時に1-4-2-3-1、守備時に1-4-4-2となる可変システムを採用。ディオゴ・ジョタが右サイドに配され、ロベルト・フィルミーノとモハメド・サラーが中央のレーンでポジションを頻繁に変えた。リヴァプールはこのシステムでシティに迷いを与えると、ロドリに対する追い回しとトランジションによって優位性を確かなものとしている。

彼らに練りに練った攻撃など必要なかった。ジョーダン・ヘンダーソンとジョルジニオ・ワイナルドゥムというフィジカル際立つ2ボランチがラインを破る縦パスを送り、最前線やロドリの両脇でそのパスを受けるフィルミーノが仕掛けのスイッチを入れた。このように主要な突破口は中央だったが、しかしサイドを使うことも忘れない。手堅さがまったく感じられないながらも、ジョゼップ・グアルディオラが一向に解決策を講じないカイル・ウォーカーの穴を、マネがしっかりと突いていた。リヴァプールは高いプレーリズムとロドリ&ウォーカーを突っつくことで、シティを混乱の中に陥れたのだった。

グアルディオラのチームは、後方から攻撃を展開する術を見つけられずにいた。ユルゲン・クロップはフィルミーノ&サラーにシティの両センターバック、ジョタ&マネにジョアン・カンセロ&ウォーカーを追わせてビルドアップを阻害。ただし、いつものリヴァプールと比べれば、そこまで激しいプレッシングではなく、より狙いを絞っていた。

ペップはロドリ一人に中盤のゲームメイクを任せたが、このスペイン人は真のビッグマッチでその役割をこなせないことを再び露呈している。彼がボールを受けるときにはフィルミーノが労を惜しまず全力で駆け寄って、同時にヘンダーソンかワイナルドゥムが前を塞いだ。ロドリは前を向くこと、ワンタッチやツータッチでボールを捌くことがかなわず、シティ全体が停滞することになった。

グアルディオラの返答

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しかし、それもグアルディオラがリアクションを見せるまでだった。彼は停滞する状況を受けて、イルカイ・ギュンドアンのポジションを下げてロドリをサポートさせた。シティは最初、ロドリ、ギュンドアン、ケヴィン・デ・ブライネの3選手を階段状に、それぞれ三つの高さに配置していたが、ギュンドアンをロドリと並ばせたのだった。

この対応から、流れは変わっていく。シティはビルドアップを円滑に行えるようになり、リヴァプールを自陣に後退させることに成功。ジョタ&マネはカンセロ(凄まじかった)&ウォーカーの進行に苦しむことになり、ラヒーム・スターリング&フェラン・トーレスのカバーに回ることも強いられた。

シティが仕掛けられるようになった攻撃には明確性があり、ヘンダーソン&ワイナルドゥムの背後を徹底的に狙っていた。そのスペースで躍動したのが、デ・ブライネだ。リヴァプールの中盤は彼を捕捉することができず、両センターバックは持ち場を離れる勇気がなかった。デ・ブライネはリヴァプールが決して許してはならないスペースで前を向いて、ドリブルを仕掛けたりガブリエル・ジェズスが決めたゴールの場面のようにパスを出したりと、可能性を感じさせるプレーを連発している。これはまさに、グアルディオラの采配の的中を意味していた。彼はリヴァプールのバランスが崩れている場所を把握し、押し込まれているときにさえデ・ブライネをその場所に留まらせたのだった。

試合は均衡が取れながらも、個人技を主体としてオープンなものとなり、どちらが勝ってもおかしくはなかった。が、明確なプレッシングでリヴァプールのトランジションを防ぎ、ワイナルドゥムがボールを失うよう誘導したシティの方が勝利に近かった。

リヴァプールは、フィルジル・ファン・ダイクの長期離脱の影響が守備以外にも及んでいる。ほかのセンターバックでは彼のようなフィードを出すことができず、攻撃の手段が明らかに一つ減っている。クロップはこの問題をジェルダン・シャキリを右に置き、ジョタをヘンダーソン&ワイナルドゥムのサポートに回らせることで解決しようとしたが、結局は不完全なその場凌ぎにしかならず、引き分けという結果で納得せざるを得なかった。

グアルディオラにしてみれば、またもクロップを負かすことができなかったわけだが、しかし今回は間違いなく差を縮めていた。リヴァプールはもう、シティにとってそれほど遠い存在ではなくなっている。

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