マンチェスター・シティが過去に史上最高の選手、リオネル・メッシと契約したがっていたことは明らかだ。バルセロナのレジェンドが退団の意思を表明したとなれば、エティハド・スタジアムのピッチに立つことも考えられないことではない。
だが、世界最高の選手と契約を交わすのは簡単なことではない。メッシが東マンチェスターに足を踏み入れるまでには、多くの必須事項をクリアしなければならない。
彼がバルセロナ史上、いやフットボール史上最高の選手になる過程において、マンチェスター・Cは常に自分たちにはメッシをひきつける魅力があると自負していた。
今や、その立場が試されようとしている。
ペップ・グアルディオラ監督は、かつてメッシを中心としたチームを築いて2度のチャンピオンズリーグ(CL)制覇を達成した。メッシがマンチェスター・Cに来れば、攻撃面において最高の結果をもたらすことだろう。
ここのところグアルディオラとメッシが話をしているのというのは当然のことだ。2人は今でも強い絆で結ばれている。
プレミアリーグの雄であるマンチェスター・Cには、6度のバロンドール受賞を誇るメッシが興味を示すようなプランもある。ケヴィン・デ・ブライネやメッシの親友セルヒオ・アグエロといったスター選手が大勢いて、CL制覇を最大の目標に据えた明確なプランを打ち出してきた。
確かに彼らはメッシを熱望していた。しかしそれと同時に、常に大きなリスペクトも示してきた。直近数年間でメッシがバルサ退団を決意したかに思われた時でさえ、それを先導するようなことは決してしなかった。
「彼はバルセロナ出身の選手であり、バルセロナに居続けるだろう。彼があそこにいることが私の望みだ」。わずか6カ月前、グアルディオラ監督は話していた。「他のクラブのためにプレーしている選手について話したいとは思わない。彼はあそこでキャリアを終えるだろう。私もそう望んでいる」
■固い意志
Gettyメッシが今、ハッピーでないことは明らかだ。バルサの今シーズンは惨憺たるもの。ラ・リーガのタイトルは宿敵レアル・マドリーに奪われ、さらにチャンピオンズリーグではバイエルン・ミュンヘンに8対2で惨敗した。キケ・セティエンは監督を首になり、代わりにロナルド・クーマンが就任した。しかしメッシを懐柔することはできず、“ブロファックス(スペインの内容証明郵便)”を送って退団の意思を示すこととなった。
だがこの意思表示は、ジョゼップ・マリア・バルトメウに会長を辞任に追い込むためのハイリスクなパワープレイだとも噂されている。
会長候補のライバル、ヴィクトール・フォントはスペインのラジオ局『Onda Cero』でこう語った。「メッシが残留する可能性は非常に低いが、そのためにはバルトメウ会長が辞めるしかない」
マンチェスター・Cは以前から獲得の可能性は伺っていた。少なくとも2016年にスペイン当局による税務調査を嫌ったメッシがクラブを去ると噂されたときは、実現可能な取引について計算もしていた。しかし、彼はバルサに留まった。
だが、スペインの情報筋によると、今回メッシが翻意する可能性は非常に低く、クラブを去る決心は固いという。
相も変わらず極上のプレーを見せ続けるメッシ。しかし、もう33歳だ。三冠を達成したバイエルンに蹂躙され、深刻な手術が必要なチームの再建のために1シーズンを棒に振る余裕はない。
■簡単ではない多くの要因
Gettyマンチェスター・Cがメッシと契約するには、多数の競争相手と戦わなければならない。パリ・サンジェルマンも興味を示すはずだ。メッシとネイマールは共にカンプ・ノウにいた頃、ピッチの内外で親しい関係にあった。
セリエAの強豪たちも動くにちがいない。絶対王者ユヴェントスは、クリスティアーノ・ロナウドとメッシという夢のコンビ結成をもくろむだろう。お隣の宿敵マンチェスター・ユナイテッドも、彼とサインできる十分な資金を保持している。世界中のメガクラブが、世界最高の選手獲得へ様々な手を尽くす可能性は高い。
メッシがどんな形でバルサを去るかは、活用しようとしている契約終了条項によって複雑になる。メッシサイドは現行契約にある自由にチームを去ることのできる条項を活用したいと思っている。だが、バルサは6月の時点で有効期限は切れたと主張。2021年までは7億ユーロ(約878億円)のリリース条項が存在しており、これを他クラブに要求すると伝えられている。
これだけでも複雑化が予想される交渉だが、さらに今、世界中は新型コロナウイルスの感染拡大で混乱の最中だ。欧州トップリーグもコロナ禍による中断で日程が延びたため、今までの体制では補えず、各クラブは対応に追われた。そして、この混乱はいつ終息するのかもわからない。だからこそ、メッシもバルサも、移籍先のクラブも完全に同意することは非常に難しいことだろう。
その一方で、マンチェスター・Cがアドバンテージを持っているとすれば、エリック・ガルシアの存在だ。バルサはこのラ・マシア(バルセロナの育成組織)出身の若きディフェンダーを夏の移籍のトップターゲットに据えていた。この事実が交渉に影響をもたらす可能性もゼロではない。
様々な障害はある。が、マンチェスター・Cが歴代最高の選手に背を向けるとは考えにくい。
メッシはベテランの域に差し掛かっている。だが、今でも前線の中心選手となり、ロックダウン後自信を失っていたチームのために一人で試合を決めることができる。3年連続でCL準々決勝で散った彼らを、悲願のビッグイヤーに導くことだってできる。
「メッシは世界最高の選手だ。いつかマンチェスター・Cに来たいと思ってくれるのなら、我々はいつでもドアを大きく開いて待っている」。2016年、マンチェスター・Cのチーフ・エグゼクティブのフェラン・ソリアーノは言った。
ドアは開いているかもしれない。だがメッシがそのドアを通れるのか、道のりは簡単なものではないだろう。
取材・文=ジョナサン・スミス/Jonathan Smith(『Goal』マンチェスター・シティ番記者)
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