久保建英はまもなく、柴崎岳に次いでヘタフェ史上2人目の日本人選手となる。ビジャレアルではレアル・マドリーと久保本人にとって必要な出場時間を得られなかったとの理由で、彼はマドリーと同じくスペイン首都に拠を構えるクラブへとやってくる。
■大晦日の直談判
(C)Getty Imagesヘタフェの監督ホセ・ボルダラスは、この冬の移籍市場で質の高い右サイドの選手を補強する必要性を訴え、久保という選択肢が浮上すると目を輝かせた。すぐさま会長のアンヘル・トーレスに日本人の獲得を実現すべく動くように求め、自らも久保本人に電話をかけるなど、できる限りのことをしている。その一方でマドリーにとっても、久保を近い距離で見守る利点があるために、ヘタフェへの貸し出しは歓迎すべきものだった。
この移籍オペレーションが一気に加速したのは、12月31日の木曜のことだった。ヘタフェの会長アンヘル・トーレスがマドリーのクラブオフィスに赴いて交渉を行い、今季終了までのレンタルで彼らと合意に至っている。
■本当の正念場へ
(C)Getty Imagesマドリーとの合意後にあった唯一の問題は、ビジャレアルが久保を引き入れるために支払ったレンタル料(250万ユーロ)だった。マドリーに損をする考えはなく、トーレスもビジャレアルに補償額を支払うことには難色を示した。もれなく新型コロナウイルスのパンデミックの影響を受けるヘタフェにとって、レンタルの選手に給与以外の費用をかけるのは容易ではないためだ。しかしながらヘタフェとビジャレアルは、もう分かり合う以外に道はなかった。
ビジャレアルに補償を支払うことに難色を示して一度は交渉を切り上げたトーレスだが、2日のラ・リーガ第17節バジャドリー戦に0-1で敗れると、このまま降格圏までチームが落ちていく恐怖を覚えた。そうして10日に行われる次節エルチェ戦までに久保の選手登録を完了させるべく、ビジャレアルとの交渉を再開。ビジャレアルからは当初、レンタル料250万ユーロの半額の支払いを求められていたが、出来高での支払いによって交渉を合意に導いている。
久保は現地時間3日の段階でビジャレアルとの関係を終えており、4日にもヘタフェの正式な選手となる。もちろん買い取りオプションなどはついておらず、マドリーのトップチームに加わるために修行を続けることになる。加えてヘタフェは、マドリーから出場時間に関する条件を一切課されていない。若き日本人選手は、自らの手でそれをつかんでいかなければならないわけだ。今季、苦闘を続けているヘタフェは、彼がその実力でもって芝生の上を走り続け、そのまま降格圏から距離を取っていくことを願っている。
取材・文=ホセ・アントニオ・デ・ラ・ロサ(スペイン紙『アス』ヘタフェ番記者)
翻訳・構成=江間慎一郎
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