■ゲーム体力、暑さ慣れ、疲労回復
「タフ過ぎるスケジュール」を踏破していくための第一歩が、ホンジュラスとのキリンチャレンジカップだ。何しろ、この12日のホンジュラス戦を終えると、中4日で17日にU-24スペイン代表戦、さらに中4日で22日に五輪開幕のU-24南アフリカ代表戦である。そしてそこから先は中2日の連戦が最大5試合続くのだ。
本大会前の試合なので景気よく勝っておきたいホンジュラス戦だが、そこに主眼を置いてはいけないゲームだと言ってしまってもいいだろう。誤解を恐れず言えば、ここは調整試合にしておく必要がある。
東京五輪を目指したU-24日本代表チームの主軸を占める欧州組の選手たちは6月12日のジャマイカ代表戦を最後に、オフ期間に突入していた。じっくり体を休められたのはポジティブな材料とも言えるが、「ゲーム体力、ゲーム勘の部分は上げていかないといけない」と森保監督が語ったように、実戦から離れたことはネガティブな面もある。
また、指揮官は「キャリアの長さは人それぞれ違うが、ヨーロッパでの生活が長くなって夏場の日本の高温多湿なところでコンディションを作っていくには難しい体質に変わってきているかもしれない」と語り、実際にMF久保建英が8日に行われた静岡産業大学とのトレーニングマッチを終えて「思っていた以上に暑さを感じた」と言ったように、暑さへの適応もまだ過程の段階にある。道半ばなのだ。
10日までの静岡合宿では、曇天となった合宿当初の練習時間を1時間あえて早め、少し暑い時間のトレーニングで暑熱への対策も行ってきたが、コンディションはまだ100%とは言いがたい。このあたりのさじ加減は、一口に欧州組といっても状態は様々なだけに、難しいところではある。
さらに国内組でも、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)に参加した4人の選手たち(三笘薫、旗手怜央、相馬勇紀、瀬古歩夢)で静岡合宿の開始に間に合った選手は一人もおらず、相馬が10日の練習へ合流したのみ。瀬古もチームが大阪入りした11日に合流してはいるが、疲労も溜めているであろう彼らを本大会までにどう仕上げるかは重要なポイントとなる。
■主力の出場は60分程度と予想
(C)Goalでは、実際にホンジュラス戦をどう戦うか。90分ゲームから離れてしまっている選手が多いので、ここで90分間起用する可能性もあるのではないかと思ったが、記者会見で森保監督はその必要性自体は認めつつ、準備期間の短さからそれを断念したことも明かした。
つまりここで90分使い切ってしまうと、本大会までチームのトレーニングをこなしながら回復し切るのは難しいという判断だろう。その上で、ゲーム勘の足りない選手は時間的に少し引っ張る構想があることも示唆していたので、ハーフタイムに数人を入れ替えつつ、60分程度まで主力がプレーする形になると予想する。
今回は両チーム合意の上で最大11人の交代が可能なルールなので、全員がどこかで交代する形になりそうだ。必然的にトレーニングパートナーとして帯同しているパリ五輪世代の選手たちにも出場機会が巡ってくると思われるので、この“目立てる”チャンスで、ティーンエイジャーたちが何を見せてくれるかもこの試合の楽しみの一つかもしれない。
■問われる成果はボールを“奪う”部分
(C)Getty imagesもちろん、せっかく五輪出場国と当たるのだから、単なる調整試合にとどめてしまうだけではもったいない部分もある。
ホンジュラスのミゲル・ファレロ監督が「ホンジュラスは(日本と同グループの)メキシコと共通する部分があり、日本にとっても良いシミュレーションになる」と語り、似通った部分としてビルドアップを挙げていた。
マイボールの時間を増やすため、ボールを“奪う”部分は静岡合宿でも強調して練習してきた要素。10日の練習では森保監督から「そんなことではクソ暑い中でいつまでも回されることになるぞ!」という𠮟咤も飛んでいたのだが、その成果は一つ問われることになりそうだ。
五輪開幕まで2週間を切り、練習の温度感も上がってきた。直前の親善試合にパワーを割きすぎて本大会で力尽きるというのは過去の日本代表の負けパターンなので厳に避けたいところだが、特に互いの主力組がぶつかるであろう前半の45分間は内容面でも収穫が欲しい。戦術面、連係面の確認も必要だろう。もちろん、本大会へのムードを上げていくことを考えれば、90分トータルの勝利だって得たいところである。
本大会へ向けて背番号10を託されたMF堂安律はそのバランスも加味しながら、選手目線でこう語ってくれた。
「まずはチームとして勝利を目指すことが最低限で、目指さないといけない。あと2試合しかないので、しっかりと選手同士どういうことを要求しているのか意見を共有したい。90分の中でどういう攻め方、どういう守り方なのか、時間帯も含めて試合運びが大事になる。明日は大人のサッカー、勝ち切るサッカーをしたい」
五輪初戦まであと10日。総仕上げに向けた最後の2試合、その最初の一戦が12日のホンジュラス戦となる。
取材・文=川端暁彦
