横浜FMのシュートは20、コーナーキックは14。怒涛の攻撃をはねかえした要因の一つは、守護神の存在にほかならない。
■運も味方につけながら
とにかく神がかっていた。まさに読んで字のごとく守護神。GKキム・スンギュが止めに止め、チームをファイナルへと導いた。
キックオフからわずか3分、右サイドからのアーリークロスにマルコス・ジュニオールが合わせたヘディングシュートがクロスバーを直撃する。このシーンがこの一戦の展開を示す合図だったかもしれない。
ボールも人も流動的に動きながらゴールへと迫ってくる横浜FMに対して、ブロックを形成して守ることを選択したこの日の柏は、どうしても守勢に回る時間が多かった。それだけに前述のシュートを決められていれば、ゲームの行方は決まっていたかもしれない。しかし、立ち上がりのピンチを運も味方につけながらしのぐと、そこからはGKキム・スンギュの1日となった。
一体、何本のシュートを止めたのだろうか。小池龍太のミドルシュートを横っ飛びでセーブしたのをきっかけに、前半だけでも前田大然の決定機を2本阻止。後半に入ってからのパフォーマンスはより凄みがかかり、扇原貴宏の右足シュートやエリキのヘディングシュートを正面でストップすると、83分にはこの日最大のビッグセーブを披露。ゴール目の前で反転したエジガル・ジュニオの強烈なシュートに対しても素早く反応しセーブした。そして最後はオナイウ・阿道のバックヘッドを右手1本でかき出し、とにかく忙しかった1日は終了。タイムアップのホイッスルが鳴ると、静かに喜びを噛みしめた。
■準決勝までルヴァン杯全勝中
試合後、ネルシーニョ監督はかつてヴィッセル神戸でも一緒に仕事をしたことのある韓国人GKに対し「彼の今日の役割、活躍は決してサプライズではない」と最高級の賛辞を送っている。
「彼が非常に経験があってクオリティーの高い選手であることはみなさんもご存じの通りだと思う。非常にコンペティティブでチームのために献身的に戦えて柔軟性がある。やはり強いチームの中にはよいGKが必要。今日に関して言えば相手にとっての決定機がいくつもあった中で彼が再三ピンチを阻止してくれた」
少し遠く感じるが、遡ること8か月前、今季のシーズン開幕となったルヴァン杯グループステージ第1節・ガンバ大阪戦のこと。
その試合でもビッグセーブを連発し、柏のゴールにカギを掛けたのはキム・スンギュだった。虎の子の1点を守り切った柏はそこからこの準決勝までルヴァン杯では全勝中。背番号17の活躍による初戦の勝利がなければプライムステージに進出することすらなかったかもしれないし、この日の圧倒的なセーブの数々がなければ決勝の舞台に柏が立つことはなかっただろう。
キム・スンギュに始まり、キム・スンギュで終わる。そんな物語があっても悪くない。
1か月後、新たなに生まれ変わった国立競技場で初めて行われるファイナルの舞台でも、柏の守護神はゴールを守り抜いてくれるに違いない。
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