2020-09-29-kitakyushu🄫Masahiro Ura

2巡目に入り講じられる対策。ギラヴァンツ北九州はこのまま失速してしまうのか?

■相手はまさに“プラン通り”

「前半戦に対戦した21チームの中で一番強いと感じた」

 9月27日に行われた明治安田生命J2リーグ第22節・ギラヴァンツ北九州戦後に東京ヴェルディMF井上潮音はそう語った。今シーズン、北九州がどれだけのパフォーマンスを見せているかがうかがい知れる言葉だ。

 2016年、J2最下位の22位でJ3に降格。17年はJ3・9位で1年での復帰はならず翌18年にはまさかのJ3最下位に沈んだ。クラブは翌19年、小林伸二氏を監督兼スポーツダイレクターとして招聘。Jリーグを代表する“昇格請負人”である小林監督は、ヘッドコーチに就任した天野賢一氏(元浦和レッズヘッドコーチ)とともに、チームの新たなスタイルを構築してきた。

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 結果はすぐに表れ、就任1年目でJ3優勝と4年ぶりのJ2復帰を達成。コロナ禍で異例のシーズンとなっている今季も勢いを継続し、クラブ初の9連勝を記録するなど、驚きの首位ターンを果たした。

 しかし、前半戦の最終戦となった23日の第21節では、ホームで水戸に0-3と完敗。中3日で迎えた第22節、アウェイ・東京V戦も0-1で落とし、連敗を喫した。1か月前に2-1で勝利を挙げた相手から勝ち点を得ることができなかった。

「立ち上がりから“プラン通り”に選手たちがやってくれました」

 東京V永井秀樹監督は試合を振り返る。リベンジに燃えるチームは、北九州対策として通常とは異なる4-3-3のシステムを採用。左右のウイングに小池純輝、山下諒也というスピードのある2人を起用した。面白かったのは彼らの守備時のポジショニングだ。

 北九州は4-4-2をベースに、攻撃時は両サイドバックが高い位置を取って3-1-6のような形になる。これに対して東京Vは3トップが中央寄りで守り、北九州の両SBをいわば素通りさせる対応。カウンターの際、彼らの背後にある広大なスペースを快速ウイング2人で突くことで試合のペースを握った。

 結果的にこの試合唯一となったゴールを奪ったのもウイングの小池。23分、この日も中盤で抜群の存在感を放った藤田譲瑠チマのパスからファーストタッチで相手選手を外しフィニッシュへと持ち込んだ。その後もカウンターからたびたび訪れた決定機の数を考えれば、東京V勝利という結果は妥当だったと言える。

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■無策で敗れたわけではない

 北九州にとっては開幕2戦に続く今季2度目の連敗。二回り目に入り相手の対策が進んできたことはこの試合ではっきりと見てとれた。

 ただ、北九州がそれに対して無策で敗れたのかと言えば決してそうではない。

 苦しい前半を受けて、彼らは後半からビルドアップ時の立ち位置を変更。ボランチが安易に最終ラインへ下がらず、相手3トップの裏や脇でボールを受けることにより攻勢を強め、何度も東京Vゴールに迫った。難しいゲームの中でも持ち前の攻撃力が発揮されたことは、東京Vのマン・オブ・ザ・マッチに守護神マテウスが選出されたことからも明らかだろう。

「何節か前から相手が合わせてきていると感じている。ただ、逆を言えば相手に対して“先手”を取れており、そこからは自分たち次第」と試合後キャプテンの加藤弘堅が語ったように、長いリーグ戦で成功を掴むためには、相手の対策を上回っていく必要がある。その意味で東京V戦はチームとしての対応力も感じられた一戦だった。

 連敗により順位を一つ落として2位となった北九州。チームはここからより一層の強さを手に入れるのか、それとも失速してしまうのか。

 次なる段階に入ったチームは30日(水)にFC町田ゼルビアとアウェイで対戦。そして週末の10月4日(日)には、怒涛の7連勝で4位に浮上したアビスパ福岡とのダービーマッチに臨む。

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