番組には、お馴染みとなっているJリーグの原博実副理事長、Jリーグウォッチャーの平畠啓史さん、FIFA・AFC・JFA審判インストラクターの深野悦子さんが登場。桑原学さんMCのもと、SNSで反応が多かったシーンをピックアップして議論を行った。
■満場一致でオフサイドなしと主張
今回議論されているのは浦和vs仙台の16分のシーン。浦和ボールでリスタートした流れから西大伍が前線にパスを供給する。ボールは石原崇兆に当たってディフェンスラインの裏に転がり、関根貴大が触れたところでオフサイドの旗が上がった。
ここでは西がパスを出した時点で関根がオフサイドのポジションにいたことは明らかだが、石原のプレーは意図的にボールに触れたようにも解釈できる。競技規則第11条には『オフサイドポジションにいる競技者は、相手競技者が意図的にプレーしたボールを受けたとき、(中略)利益を得ているとはみなされない』と記載されており、オフサイドではなかった可能性も指摘された。
このことについて番組出演者の見解は分かれず。平畠さんが「『石原選手が意図的にプレーをした』と解釈してもおかしくないと思うので、オフサイドではないという気はします」と述べれば、原副理事長も賛同した。
「石原はずいぶんケアしているので、だったらあれ(オフサイドポジションの選手をケアしたプレー)をやらないほうがいいんだと前も思いました。プレーしないほうがいいんだけど、あれを『関与していない』とは絶対言えない」
とはいえ、原副理事長は以前にも番組内で同様のケースを扱ったことを回想。ボールに対処しようとした守備側の動き自体がオフサイドポジションにいた選手を考慮したものであるため、「『こうなったらオフサイドではないって。それはおかしいよ』と言っていた記憶がある」と、ルールそのものに釈然としない思いがあることもこぼした。
■意図的なプレーか否かはどう判断する?
(C)Getty images見解を求められた深野さんも、守備側の意図的なプレーによってオフサイドではなかったと主張している。
「意図的にプレーをしたと私も捉えます。私たちはよく『意図的なプレー対リフレクション、どちらなんだ』という時に、相対するワードを持っているんです。それをいくつかご紹介します」
続けて、プレーが意図的だったかそうではなかったかということを判断する際に、審判がチェックするいくつかの事項が以下のように挙げられた。
【意図的なプレー⇔リフレクションの判断例】
- プレーヤーがボールをプレーしたのか ⇔ ボールがプレーヤーのところにやってきたのか
- 意図的にアクションを起こしたのか ⇔ 本能的にリアクションをしたのか
- 時間はあったのか、プレーのオプションがあったのか ⇔ オプションがなくて驚いた、想定外のプレーだったのか
- 身体をコントロールしていたのか ⇔ 身体をコントロールしていなかったのか
これらを今回の事例に照らし合わせ、オフサイドではないと結論付けた。
「これを考えるとやはり意図的にプレーできた、しただろうと。選手のプレーのミスやちょっとしたプレーがうまくいかなかったことは担保できないので、プレーできたというふうに考えます。そう考えると、私はノットオフサイドの判断で正しいのではないかと思います」
とはいえ、平畠さんは「今の深野さんの言葉が完璧に頭に入っていたとして、石原選手があの時にあの瞬間に『これは触ったらオフサイドじゃなくなるからギリギリで足を引く』みたいなことはできるはずがない」とも。原副理事長も「(今回のようなケースでオフサイドが)あるほうがシンプルなのかなと思いますし、現場はそういう思いの人が強いでしょう」と、現状のルールを理解したうえで違和感を強調した。
今回の『ジャッジリプレイ』では、このほかにも名古屋グランパスvsセレッソ大阪における得点時のオフサイド取り消しについて、「ジャッジメント ワンポイント講座」ではJ2リーグ第13節の京都サンガF.C.vsモンテディオ山形で京都が見せたセットプレーについて解説されている。
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