20210503_Gamba1(C)Getty images

ガンバ大阪が転換期に迎えた困難なシーズン。それでも“戦術東口”ではない、「ダービーを知る男たち」が示した意地

■攻撃構築に腐心するシーズン

「大阪」の名を賭けたダービーで最高の舞台装置であるはずの両サポーターの姿はヤンマースタジアム長居になかった。昨年7月にパナソニックスタジアム吹田で行われたダービーに続いて、二度目となるリモートマッチは、開幕から低迷するG大阪にとって、今後を左右するシーズン最初の大一番だった。

 新型コロナウイルス感染の影響で6試合が中止となり、一時は2週間の活動休止を余儀なくされたG大阪。コンディションのバラつきを整えながら、今季新たに取り組む攻撃的なスタイルを構築する作業に宮本恒靖監督は腐心してきたが、現実に残してきた数字は7試合でわずか1得点。

 相手の良さを消しにかかるリアクション型の宮本監督だが、現役時代から「ダービー」が意味するものは十分承知済み。だからこそ、前日に「我々はサポーター、ガンバを応援してくれる人に勝って喜んでもらいたいし、ダービーではそれが何倍、何十倍にもなる。勝利を目指してやるのみ」という決意表明を口にした。

 活動再開後の戦いで封印してきた4-3-3のフォーメーションを再び採用したのも指揮官の「勝ち切る」という決意の表れだったが、近年リアクションスタイルのサッカーで結果を出してきたチームは、未だに攻撃面で試行錯誤が続いている。

 6試合消化が少ないこともあって、順位的には低空飛行が続いているG大阪ではあるが、決して「ダッチロール」に陥っているわけではない。得点は少ないが、失点も7試合でわずかに「4」。敵地でのダービーで最初に輝きを放ったのは前半、驚異的なビッグセーブを連発した東口順昭だった。

「サポーターは僕らの力になっていたので残念。でもサポーターの思いも背負って戦いたい」(東口)

 過去のダービーでも勝負強さを見せつけていた守護神は9分、至近距離で合わされた大久保嘉人のシュートを足でブロック。「この試合から流れを変えていきたい」という執念で最後尾を引き締めた。

■「諦めない男」の一発で勝ち点1

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 とはいえ「戦術東口」とでも言うべきGKの当たりに支えられていた昨季とは異なり、今季の堅守は三浦弦太と本来の姿を取り戻した昌子源のハイパフォーマンスが支えている。

「サポーターの皆さんの声援はないけど画面越しに僕らの戦っているところを伝えられるように熱い試合をしたい」(三浦)

 そう語った三浦は、時折鋭い攻撃を繰り出してくるC大阪に対して守備で対人の強さを発揮しながらも、右サイドのビルドアップでも起点として機能。昌子は前半はややパスミスが目立った点はあるが、ダービーの重みを知る日本代表経験者は、熱く激しいプレーで試合を引き締めた。

 小野瀬康介の負傷交代で投入されたチアゴ・アウベスが攻守両面で空回りし、攻撃が停滞した後半のG大阪は74分、中島元彦の一撃で追う展開を強いられる。

 直近3回のダービーでは2敗1分け。今季まだ1得点どまりのアウェーチームにとって苦しい展開だったのは間違いないが、80分にFKのこぼれ球から昌子が左足を振り抜くと、ハンドを誘発してG大阪がPKをゲットする。

 迷わずキッカーに名乗り出たのは今季まだ無得点のパトリック。大一番で先発から外れながらも、アップ中にT・アウベスに拍手を送って励ますなどピッチ外から既に戦っていたブラジル人FWは「出場時間が30分だろうが、5分、2分だろうが、いや1分だったとしても点を取ろうと準備していた」と語る。

 耳をつんざくようなブーイングこそなかったが、ダービーで蹴るPKに大きな重圧を感じながらも、名手キム・ジンヒョンに付け入る隙を与えず、同点ゴールを叩き込んだ。

 宮本監督の本音は「勝ち点3をやはり取りたい、今のチームの状況、またはダービーというところで勝点3をというところはありました」というものだ。とはいえ、G大阪は「諦めない男」を自認するパトリックの大阪ダービー初ゴールで勝ち点1を拾った。

 不倶戴天の相手に勝ち切れなかったものの、守備陣の踏ん張りを筆頭に意地は見せた。最低限の結果に過ぎない勝ち点1ではあるが、その守備陣に応える攻撃の構築が今後の浮沈を左右する。

取材・文=下薗昌記

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