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史上初、OA前提の強化を進めたU-24日本代表。試金石のガーナ戦でベストメンバーを披露へ/プレビュー

■史上最強のOAメンバー

 1年延期された東京五輪を前にして、吉田麻也、酒井宏樹、遠藤航の3選手がオーバーエイジ(OA)選手として招集を受けた。いずれもA代表の主軸選手であり、欧州リーグで活躍していて、なおかつ五輪経験者でもある。誇張抜きで“日本サッカー史上最強のOAメンバー”と言っていいように思う。

 そもそも東京五輪を目指す日本代表は、結成当初からOA選手のことを織り込んできた史上初めてのチームである。監督はA代表との兼任である森保一氏になったが、これもシームレスなチーム強化を意図してのもの。就任早々に森保監督に話を聞いた際にも、すでに五輪のOAのことは脳内にあることを明かしていたのは象徴的だ。

 過去の五輪代表はA代表と選手の取り合いが起こる“綱引き状態”に陥ることが多かったというのも大きいが、もう一つ問題だったのは「アジア予選にオーバーエイジは使えない」という点である。必然的にOAの存在を意図せずにチームを作るほかなく、大きな関門を破って勲章の付与されたチームに、降って湧いたOA選手を付け加える難しさがあった。

 3日に行われたA代表とのチャリティーマッチにゲスト解説として招かれていた小野伸二氏が、アテネ五輪にOA選手として参加した際に、予選を突破したチームに配慮しながら合流した旨のことを語っていたが、そういう空気になるのも無理はないところで、五輪世代の選手から「オーバーエイジは使ってほしくない。予選を戦った仲間とやりたい」という声が聞こえてくることも珍しくなかった。

■五輪世代とも「はじめまして」ではない

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 その点、今回は開催国のために出場権は最初から獲得済みで、チーム結成当初からOA選手の起用は前提にできた。さらに兼任監督のメリットを生かしてアンダーエイジの選手もA代表と五輪代表を行き来して経験を積んだ上に、コパ・アメリカとEAFF E-1選手権の2つのA代表の大会で、メンバーの大半を五輪世代の選手が占める「オーバーエイジ体験」も実施。五輪世代の選手には、「五輪世代にA代表の選手が下りてくるのを怖がるのではなく、A代表のレベルに上がってきてほしい」という覚悟を促してきた。

 またA代表に五輪世代の選手を呼ぶこと自体が五輪に向けた選手選考の一環であった節もあり、A代表レベルについてこられる選手かどうかという篩(ふるい)に使っていたようにも感じられた。実際、森保監督は「結局A代表でやれるくらいの選手でないと、五輪でも活躍できない」と語っている。

 結果、MF堂安律が「(OAの3人とは)A代表でずっと一緒にやっていたので、雰囲気はあんまり変わらない」と笑ったように、かつてないほど自然な形でOA選手たちが合流してくることとなった。実際、最終メンバー18人にA代表経験のない選手はほぼいないという状況になることが予想され、「はじめまして」からスタートすることも多かった過去の五輪代表とは大きく様相が違っている。

■ガーナ戦でベストメンバー初お披露目へ

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 3日のA代表戦で15分ほどの出場だった遠藤航が瞬く間にチームの操縦桿を握ってみせたように、OA選手たちにも変な遠慮はない。戦術的な要素も兼任監督のメリットで最初から共有されているので、戸惑うことがないのも大きなポイントだろう。

 3度目の五輪へ臨むことになる吉田は過去の五輪の経験も踏まえて、チームの印象をこう語る。

「ヨーロッパやA代表で一緒にやっている選手がかなり多いので、雰囲気は非常に良いと思っています。また最後の選考も兼ねているということで緊張感も高く、頼もしく感じています。何より良かったのは昨日の試合に負けて本気で悔しがっていること。それが良かった思っています」

 百戦錬磨の3人が加わって初めての対外試合となる5日のガーナ戦。それは五輪初戦の南アフリカを意識した舞台であるというのが大前提だが、東京五輪代表が初めてベストメンバーを組んで行う試合ということでもある。地元開催の五輪に向けて地味に積み上げてきた要素が花開くかどうか。文字通りの“試金石”となる。

取材・文=川端暁彦

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