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20210717_Japan2(C)Getty images

スペイン戦で垣間見たい投資の成果。U-24日本代表は“ビビらず”優勝候補筆頭に立ち向かう /プレビュー&予想スタメン

■「同じ目線」で戦うことは大前提

 EURO 2020に出場したメンバー6名を含む豪華なラインナップ。バルセロナの新星ペドリといったタレント性のある選手の存在に加え、U-21欧州選手権の優勝メンバーが軸となっている点も強みであり、紛れもない金メダル候補だろう。記者も練習を観ているだけでも威迫されそうになってしまったが、今回のスペイン五輪代表が名前だけで相手チームを“ビビらせる”ことが可能なチームなのは間違いない。

 世界大会に向けて「自分がビビったらおしまい」と語ったのはMF久保建英だが、この“ビビらずやる”というのは国際大会で勝つための必須条件のようなものだ。この点で言えば、リオ五輪の日本代表などは、その条件を得るための大前提が絶対的に不足していた。

 つまり、経験である。

 そうした視点から見ていくなら、この代表が蓄えてきたモノは決して小さくない。2017年から2019年秋まで国内での試合を全く行わず、専らアウェイの国際試合ばかりをこなしてきたのは象徴的だが、この傾向はそれ以前のユース年代から続けてきたものである。「3度の国内合宿より、1度の海外遠征。国内で活動するのは国際大会のときだけにしたいくらい」と言っていたのは、この年代の代表をU-20まで率いてきた内山篤技術委員だった。

 東京五輪の組み合わせが決まったあとの記者会見で、森保一監督にもその点を質問してみた。南アフリカ、メキシコ、フランスと同居する形となったが、これらはいずれもこうした過程の中で対戦経験があり、しかも勝ったことのある国々である。だからこそ、「選手たちがビビることはないですよね?」と聞いてみたのだ。

「東京五輪に向けて、その前の育成年代から、選手たちは世界各国いろんな大陸に経験を積むための投資をしてきた。選手たちも絶対に世界で勝てると思っている。だからこそ、海外でたくさんの選手が若くして所属クラブを欧州に移して戦いを挑んでいる。日常からヨーロッパでプレーすることで、世界のトップ・オブ・トップの選手がいる中でプレーをしていて、気後れするとか経験値が足りないということはない」

 その上で、「選手たちの経験値からいって、世界のトップ・オブ・トップのチームとでも目線は同じに戦えると思う」と語っていたのだが、スペイン戦前日に行われた記者会見でも森保監督は「われわれも東京五輪を目指して同じ目線で戦ってほしい」という言葉を繰り返した。そこは五輪の金メダルを目指すチームにとって、やはり大前提なのだ。

■スペインも油断していない

20210717_Miyoshi(C)Akihiko Kawabata

 6年前、このチームがまだ「U-18日本代表」だったときのSBSカップ国際ユース大会で日本とスペインは対戦しているのだが、1-1からのPK戦で日本が勝利を収めている。もちろんここで勝ったから今回も勝てる、五輪もいけるなんて話には全くならないが、名前負けしないための材料にはなるだろう。

 ちなみに当時の先発メンバーからいまも残るのはDF中山雄太、町田浩樹、MF三好康児、堂安律、ベンチに板倉滉という顔ぶれ。スペインもGKウナイ・シモン、FWミケル・オヤルサバルといった選手たちが参戦していた。ちなみに、当時は静岡学園高校に在籍していた旗手怜央も、静岡ユース(静岡県U-18選抜)の一員として参加し、スペイン戦ではフル出場していたりもする。

 こうして矛を交えてきた経験値は、“世界との距離感”を誇大なものに感じないことに繋がっていくわけだ。百戦錬磨のオーバーエイジ3選手も加わっている今回、いわゆる“名前負け”をしてしまう不安はないと言っていいだろう。

 もっとも、今回のスペイン五輪代表を率いるルイス・デ・ラ・フエンテ監督が静岡での経験について触れながら「日本のことを本当にリスペクトしている」と強調したように、相手の油断も期待できなくなってはいるのだが、これはむしろ親善試合で色々と試す上ではありがたいくらいの要素だろう。

■試金石となるのは前半45分

20210717_Japan_Form(C)GOAL

 その上で、大会5日前というタイミングでの試合なので、最も高いプライオリティを置くのが大会初戦に向けた“調整”であることは忘れてはいけない。日本の選手たちからもスペインとの対戦を心待ちにしている発言が相次いでいるのだが、ここで出し切って燃え尽きてもらっては困るのだ。

 セットプレーなど手の内を見せないのは当然として、出場時間含めてセーブした内容になるだろう。これは相手にとっても同じこと。そう考えると、本当の意味で五輪に向けた“試金石”となるのは前半45分だろう。ここで五輪の最強チームと目される相手にどこまでやれるか、一つ試されることとなる。

 また、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)から合流したばかりのDF旗手怜央(川崎フロンターレ)、脳しんとうの復帰プログラムを経て戻ってきたFW前田大然(横浜F・マリノス)はここで起用しておきたい選手である。負傷による別メニューから通常練習に復帰したFW上田綺世(鹿島アントラーズ)も時間限定と思われるが、起用されそうだ。

 一方、旗手と同じタイミングで合流したMF三笘薫(川崎フロンターレ)は、そのACLのダメージから別メニューで調整を進めており、このスペイン戦への出場は難しいかもしれない。こちらは、五輪本番で“ぶっつけ本番”の起用となりそうだ。

 後半はトレーニングパートナーとして帯同しているパリ五輪世代の選手たちを含め、さまざまな選手にチャンスを与える流れになりそうだ。スペインのメンバーをみれば、ベンチにも豪華な顔ぶれが揃うだけに、彼らにとっては良いアピール機会であると同時に、腕試しの場ともなるだろう。

 大会まで1週間を切った段階で迎える最後の試合。東京五輪の金メダル候補筆頭と目されるスペイン五輪代表を相手に、いよいよ日本代表の戦支度は総仕上げの段階に入ることとなる。

取材・文=川端暁彦

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