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ようやく訪れた国際大会。U-19日本代表、いざ「欧州へのショーウインドー」モーリスレベロトーナメント初戦へ

■育成の大会としては最高級

 日本時間31日21時から、モーリスレベロトーナメント(旧トゥーロン国際大会)におけるU-19日本代表の戦いが幕を開ける。初戦の相手は北アフリカの強豪、アルジェリアだ。

 初戦を前にして、このチームの団長を務める山本昌邦技術副委員長は、少し感慨深そうにこう語った。

「(モーリスレベロトーナメントは)育成の大会としては最高級のもの。コロナ禍でなかなか若い世代が海外を経験できていなかったので、こちらに来られたのは本当に良かった」

 決して大袈裟な表現というわけではない。代表チームはもちろんだが、育成年代の各種選抜チームやクラブチーム単位での海外遠征もコロナ禍で完全にストップしていた。このため、従来トップクラスの選手が自然と積み重ねるようになっていた海外経験をこの年代の選手たちは持っていない。

「プライベートも含めて海外は初めて」(MF佐野航大=ファジアーノ岡山)、人生で初めての経験」(GK佐藤瑠星=筑波大学)といった選手も一人や二人ではなく、U-19のカテゴリーでこうした状態になっているのは異例のこと。

 中学年代から日の丸を付けていたようなエリート選手でも、「こうやって来るのは中3以来」(DF田中隼人=柏レイソル)、「中学以来の海外なのでワクワクしている」(MF福井大智=サガン鳥栖U-18)といった具合なので、コロナ禍によってユース年代における国際経験の空白が生まれてしまっているのは否めない。

 ただ、「できなかったことについては仕方ない」と山本団長は言う。だからこそこの一つの遠征をより大切にしていきつつ、これから先の改善にも活かしていきたい考えだ。

「海外の雰囲気などを言葉で伝えることもできるけれど、実際に来てみて、気づいてもらって、感じ取ってもらうのが一番。その経験を元にして、『あのときはこうだったからこうしよう』と、失敗しても成功しても次に生きてくる。それは教えられるものではないんですよ。実際に良い経験をして、感じてもらって成長していくのが大事」

 もちろん、漫然と味わえばいいというものではない。

「冨樫剛一監督は『その中で勝ちにこだわることが成長だ』とミーティングでも言っていますし、成長するためにも結果にこだわっていく。その上で、経験したものを活かしていけるかが大事になってくる」

■経験組、初めて組、欧州現地組の融合

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 久々の国際大会であり、選手側の士気も非常に高い。中3で参加したバル・ド・マルヌ国際トーナメントで「イングランドに1-4で大敗して本当に悔しくて、そこから自分を変えていった」と言う田中は、まさにそうした国際的な場での経験を成長にフィードバックした選手の一人。そこから食事も変えて筋トレも取り入れ、「海外の選手に対抗するために」フィジカル的に数段レベルアップしてきた。それを再び試す場がなくて飢えていただけに、「本当に楽しみ」と強く意気込む。

 逆に「初めて」組は、経験したことのない長距離移動や時差ボケへの対応、あるいは欧州独特の芝の感覚まで手探り状態ながら、自分自身が国内で培ってきたものがどこまで通用するのか、それぞれまずはぶつけに行くことになる。初戦のアルジェリアは「かなり個人の力で勝負してくるスタイルだし、日本には余りないタイプのチーム」(冨樫監督)だけに、未知への対応力のようなものが問われる場にもなりそうだ。

 そしてだからこそ、DF髙橋センダゴルタ仁胡(バルセロナ)、前田ハドー慈英(ブラックバーン)といった海外育ちの日本人選手や、FW二田理央(インスブルック)のような欧州移籍済みの選手がチームに加わったのは、全体に国際経験不足のチームにとってポジティブな材料とも言えるし、彼らの存在は「欧州ではこういう基準や考え方でやっているのかと分かってきた」(田中)といった刺激にもなっている。

 そして彼らは思い出を貯め込む修学旅行に来たわけではない。

「ヨーロッパでプレーしたい」と口を揃える選手たちにとって、ここは未来へのショーウインドーでもある。準決勝まで進めば地元フランスなどと戦える可能性もあるだけに、ようやく訪れた国際舞台を少しでも長く味わいたいというのは全員に共通する思いだ。年上相手に久々の国際試合となると簡単ではない。だが「絶対に勝ち残っていきたい」とDF中野伸哉(サガン鳥栖)が語るように、まずは初戦のアルジェリア戦から、培ってきた全力をぶつけていくこととなる。

 なお、30日にJFAが実施した独自検査において、冨樫剛一監督から新型コロナウイルス陽性反応が認められた。濃厚接触者はおらず試合は開催される。指揮は船越優蔵コーチが執る見込み。

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