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【予想布陣】快勝後の日本代表で激化するポジション争い。大幅変更で久保、堂安ら先発か

 日本代表は12日、キリンチャレンジカップ2023でトルコ代表と対戦する。劇的な快勝から続いての一戦では、ポジション争いにも注目が集まる。【取材・文=河治良幸】

■「僕らより上のチーム」

 ドイツ代表に4-1と快勝した“森保ジャパン”はヴォルフスブルクからベルギーのゲンクに移動し、中2日でトルコと対戦する。“キリンチャレンジカップ”ということで日本のホーム扱いになるが、異国の地で欧州の国と2試合続けて対戦するというのはネーションズリーグやEUROの予選で、欧州のインターナショナルマッチデーがほぼ埋まる時代において、非常に貴重な機会だ。

 日本がカタール・ワールドカップ(W杯)に続いて勝利したドイツは最新のFIFAランキングが15位で、20位の日本より上だった。それでも4度の世界制覇を経験している国としては信じられない体たらくだが、日本より上位の国であることは変わらない。一方のトルコは41位となっており、欧州勢では22番目となる。ただし、ランキング通りにトルコの実力を見ることに警鐘を鳴らすのはドイツ戦で途中出場から2アシストを記録した久保建英だ。

「良い試合をした後なので、みんなの期待も高まっている分、落とせない試合になる」と語る久保はトルコについて「あんまりFIFAランキングはあてにならない。実際、僕らより上のチームで(トルコに)負けているチームもあって。トルコも言ったら(カタールW杯の)モロッコみたいに、乗ったら手がつけられないチームみたいな印象が僕もある」と説明してくれた。

■トルコに豊富なタレント

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 トルコは9月8日に行われたEURO予選のアルメニア戦に1-1と引き分けたが、B組で首位のクロアチアと勝ち点で並ぶ2位につけている。中3日で、引き続き主力をスタメンに起用しやすい状況にはあるが、ドイツ人のシュテファン・クンツ監督は「前の試合に出なかった選手にチャンスを与えたいと思っている」と回答していた。このタイミングで貴重な親善試合なので、EURO予選ではなかなかスタメン機会の無かった選手を抜擢する可能性もある。

 選手個人を見てもインテルの10番を背負うMFハカン・チャルハノールをはじめ、2020-21シーズンにリールのリーグ・アン優勝を支え、現在はセリエAのローマで右サイドバックの主力を担うゼキ・チェリク、パス能力に定評のあるドルトムントのMFサリフ・オズジャン、そしてアトレティコ・マドリーに加入したセンターバックのチャーラル・ソユンジュなど、世界でもトップランクのタレントがいる。

 その一人であるソユンジュについて久保は「プレシーズンのメキシコかな。横で観た時は本当にターミネーターみたいな。びっくりするぐらいゴツかったので。それこそみんなズーレ選手やリュディガー選手がゴツいという話を見ますけど、彼らよりゴツかった」と語り、まともに当たられないように局面でタッチ時間を短くし、周りが素早く素早くフォローアップすることの必要性を唱えた。

 非常に個性的なタレントが各ポジションに散らばるトルコだが、基本システムは4-1-4-1で、日本にも少し似た可変性のあるビルドアップで全体を押し上げてくる。アルメニア戦も結果は1-1で勝ち切れなかったが、70%近いボール保持率で、多くのチャンスを作っていた。そうした彼らの強みをあまり出させてはいけないし、危険な位置でFKを与えれば世界屈指の右足キックを誇るチャルハノールに直接ゴールを奪われる危険が増すだろう。

■大幅なメンバー変更を明言

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 そうしたトルコとの試合に向けて、森保監督は「我々は勝利を目指して戦うとともに、選手層の幅を広げる、厚くする。より多くの選手に、我々の戦うコンセプトの部分の共有をしてもらうという意味でも、勝利とコンセプトの共有を考えて試合に臨みたい」と語っており、特別なトルコ対策でドイツ戦から大きくやり方を変えることはないと予想される。鍵になるのは「ドイツ戦から大幅にメンバー変更して試合に臨みたい」と明かした森保監督が送り出す選手たちのパフォーマンスだ。

 “大幅”が具体的に何人の変更を意味するかは分からないが、考えやすいのはドイツ戦で途中出場して活躍した選手たちが、そのままスタメンのチャンスをもらう流れだ。2アシストの久保や3点目のゴールを決めたFWの浅野拓磨、そしてダメ押しゴールのMF田中碧はスタメン起用される可能性が高いと見る。最も読みにくいのは1トップだ。

 ドイツ戦スタメンで勝ち越しゴールを決めた上田綺世が離脱したが、森保監督は「タイプの違うFWを起用することになるが、タイプが違うことをマイナスに考えるのではなく、それぞれ個性があるので、それぞれの持っている特長を生かしてプレーしてほしい」と語る。先ほどのセオリー通りなら浅野がスタメンだが、裏抜けや一瞬の動き出しに特長のある古橋亨梧も有力だ。

 ソユンジュのような屈強なセンターバックに触れさせないでフィニッシュを狙うことを考えて、古橋になる可能性もある。もう一人のFWの候補である前田大然に関してはサイドアタッカーとの兼任なので、どちらで起用されるかは分からない。またドイツ戦でフル出場だったキャプテンの遠藤航や冨安健洋と板倉滉のセンターバックコンビ、左サイドバックの伊藤洋輝は中2日も考慮して、ベンチスタートではないかというのが筆者の予想だ。

「我々の目指すところはW杯での優勝」と改めて大目標を口にした森保監督は来年のアジアカップも踏まえて、選手層を広げるチャンスと捉えているはずだが、それぞれのポジションで競争が激しくなることはプラスでしかないので、トルコ戦でチャンスをもらった選手たちのパフォーマンスと交代選手にも期待して見守りたい。

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