■10・11月の4試合で最強の相手
2010年6月29日、南アフリカ。日本代表は中立地で開催されたワールドカップで初めて16強へと進み、パラグアイにPK戦の末に苦杯をなめた。「W杯16強」というのが目標ではなく、越えるべき壁に変わったのはこのときだったと言っていいだろう。
その4年後の挑戦は挫折に終わったが、先のロシアW杯で日本は再び16強入り。ロストフの地でベルギーを向こうに回してのスリリングな攻防は、まだ記憶に新しい。越えるべき壁に阻まれたとも言える一方で、何とかギリギリで抜け出した2010年とは異なり、「越えられるかもしれない」という手応えも得た大会だった。
そんな流れの中で、2022年へ向かう日本代表の旅は、「あの試合(ベルギー戦)ではできなかったことを、この4年間で追求していく。それが一つのテーマ」(吉田麻也)であり、これは森保監督が就任当時から強調してきたところでもある。
コロナ禍で強化のスケジュールは一回破綻したと言っていいが、その中で10・11月に四つの国際試合を組むことができたのは僥倖だった。
森保一監督は、マッチメークについて「少しでも強い相手を」というシンプルな要望を出していたと聞くが、その意味で言えば、この4試合の中で最強の相手と最後に当たる形になる。日本はこの世界ランク11位のメキシコとやるために、10月のシリーズで戦ったオランダから、メキシコ代表が入国可能なオーストリアへ開催地を変更したほど。何としてもやっておきたい相手だった。
🄫Goal10月の2試合、そして先日のパナマ戦と、森保監督は先発メンバーを入れ替えながら戦ってきているが、この試合については現状のベストに近いラインナップをぶつけることを示唆(もちろん「コロナ禍で呼べない選手もいた」という前提を強調した上で、だが)。そういう意味でも、森保ジャパンの「これまで」を推し量る格好の試金石となるだろう。
原口元気の言葉を借りれば、メキシコは「世界のトップ10に入るためには倒さないといけないレベルの相手」であり、そことのゲームは「分かりやすい、指標にしやすい試合」となる。
「W杯まであと2年くらい。ここでそういうレベルの相手とやれるのは楽しみですし、それ(W杯の水準)を感じて超えるために必要な試合です。もちろん勝つためにやりますけど、負けたら負けたでもっと努力をとなるので、すごくわかりやすい試合だと思います」(原口)
■森保監督がメキシコ戦で試したいことは…
🄫Getty Imagesロストフでのベルギー戦というのは、ここでも一つの物差しとなる。3バックシステムにトライすることについて、一つのシステムを極めるべきではないかという問いを受けた原口の返答は象徴的だった。
「一つ壁を破るうえで、二つ(の戦い方、システム)使えるのは大きな武器になる。それこそベルギー戦で2-0になってから、もう一つ変化できる戦術を持っていたらとか、3バックにすることができればということ。相手が強くなればなるほど、相手がより困ったり混乱するものを作っていくべきだとW杯を経験して自分は思ったし、それが森保監督の狙いだと思っている。(戦い方の)幅を作っていることに対して僕らはすごくポジティブにトライしている」
今回も仮にリードを奪うような流れになれば、「あのベルギー戦」とは異なるもう一つの日本代表を見せる機会になるだろうし、それは一つの見どころとなる。
もちろん、試されるのはシステムだけではない(というか、システムは枝葉の部分だろう)。この11月シリーズで実践したトレーニングから、森保監督がこのメキシコ戦に向けて試したいことも見えてくる。
まずはプレッシングに非常に長けているメキシコに対するポゼッション(ボール支配)だ。
「狭いスペースの中でポゼッションをするトレーニングを行っています。また守から攻に変わった時に相手のプレッシャーが激しく来ることが想定されるので、狭いエリアでボールを奪った瞬間から素早くマイボールに確保できるように、ポゼッションのトレーニングは常に入れていて、そこにGKは必ず入れている」(森保監督)
失点しないためのポゼッションも含めて、ボールを保持する時間を作ることは一つ狙いとするポイントだろう。もちろん、MF柴崎岳が「支配率が高くなればいいわけではない」と強調したように、あくまで勝つための手段の一つであって目的ではない。
攻撃では、「ミニゲームはスモールサイズのピッチから始めて、連係連動を高めるために条件をキツくしていきながら、個で突破する部分とコンビネーションで連係連動して突破する部分のトレーニングをしている」(森保監督)部分へと繋げていけるかも見どころとなる。
そして最後にもう一つ、カウンターで抜群の破壊力を見せるメキシコ相手に勝つという意味で、「守備の部分では攻から守に切り替わった瞬間に素早く守備をすること、激しく厳しくという部分が出るようなトレーニング」(森保監督)の成果が、クリティカルなポイントになるだろう。
2010年のW杯で日本を破ったパラグアイの監督が、今回のメキシコを率いる百戦錬磨の将、ヘラルド・マルティーノ監督だというのも何かの縁だろう。「16強の壁を越える」という大テーマを得たあの試合から10年を経て、壁の指標となる相手に何ができるか、どこまでやれるかを問う試合だ。
選手も監督も「積み上げてきた成果はある」と強調してきた10月・11月シリーズにおいて、総決算となるメキシコ戦。来年3月のW杯予選を前にした最後の強化試合という意味でも、日本代表の現時点での到達点を見せる戦いとなる。
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