ジェフユナイテッド千葉の佐藤勇人が、今季限りで現役生活に別れを告げる。20年間のキャリアのほとんどが、心のクラブである千葉のために捧げられた。決断の理由、クラブへの想い、そしてこれからのこと。DAZN(ダゾーン)の『Jリーグプレビューショー』で、偽らざる胸の内を明かした。
■弟の言葉から始まった千葉との絆
©J.LEAGUE佐藤勇人が今季限りでの現役引退を発表したのは10月13日のこと。しかし、実は今季開幕当初から、自身の進退について考えていたという。
「今年J2で10年目になりますが、チームとしてなかなか思うような結果が出せていない。年々順位のほうも下がってきているというところで、今年の頭に、シーズン半分終わったときのチーム状況を踏まえて(引退を)決めようと思っていました」
10月16日に行われた引退会見では、自身の現役生活を「後悔しかない」と振り返った。しかし、18年間プレーした千葉ではクラブ歴代最多の394試合に出場。まさに千葉の象徴としてあり続けた。
現役生活での大きな思い出の一つに、2005年のリーグカップ優勝を挙げた。千葉にとっての待望の初タイトルだった。
「ジェフというクラブに関わってくれたすべての人が報われたじゃないですけど、思いが募っての優勝だったので今でも忘れられないですね」
1994年に千葉(当時市原)のアカデミーに加入。その陰には弟・寿人の尽力があった。二度セレクションに落ちていた勇人を、先に加入していた寿人がコーチに推薦してくれたことがきっかけだったのだ。
当時の状況を、寿人は振り返る。
「家族として兄の良さを一番理解しているつもりですし、ジェフが兄を取らないのは自分にとってマイナスだと思っていた。実際に、これだけ大きなものをこのクラブに残していったわけで、そういう意味では当時のコーチに『もう一回兄を見てください』と頼んでよかったと思います」
勇人の現役生活は、アカデミーでの経験が礎となっている。当時の想いを胸に、千葉のために戦ってきたのだ。
「ジェフのアカデミーはすごく強くて、学年が上がるごとに何人かが去っていかなければいけないという制度でした。毎年5、6人がいなくなるというところで、過去にこのクラブに関わってくれた人たちが『俺はあのジェフにいたんだよ』とか、『ジェフは最高なんだよ』と言ってもらえるようにしたくて。ジェフに対しての強い絆じゃないですけど、そこにつながりますね」
2008年に京都へ移籍するも、2010年に千葉のJ2降格を受けて復帰を果たす。その決断にも、並々ならぬクラブ愛があった。
「選手としてのキャリアを考えれば、そのままJ1にいるのがベストかもしれないですけど、それ以上に自分はジェフでやることがベストだと思っていた。ジェフがJ2に落ちたのは自分の中で本当に大きな出来事で、J1に戻したい、戻さなくてはいけないということが、自分のその先のサッカー人生にとって重要だと考えました」
■ジェフというクラブが輝いていないと満足できない
©J.LEAGUE今年で37歳。20年も現役を続けられたのは、家族の献身的なサポートも大きかった。
「妻は辞める理由が分からないと言っていますけど、サポートしてくれたのは本当にありがたかった。子どもが生まれてからは、子どもたちの笑顔に何回も救われました」
引退を告げた時、子どもたちは涙を流したという。妻のステファニーさんは、「まだやれるのにな、という気持ちはあった」と明かす。一方で「彼らしい決断」だと理解もしている。
「自分で引退のタイミングを決められる選手は少ないと思うので、幸せなのかなと。責任をすごく感じていると分かっていたので、彼なりのけじめなのかなと思いました」
家族だけでなく、勇人の引退を多くの人たちが寂寥感を持って受け止めている。アカデミー時代からの後輩である工藤浩平は、次のように語る。
「正直、もっとできると思っているのでびっくりですね。ジュニアユースから憧れの存在でした。良いときも悪いときもピッチを見たら勇人君がいるというのは当たり前だった。ジェフのために何かしたいという想いで決断したと思うので、残った選手はもちろん、チームとして(その想いを)忘れずにやっていかないといけないと思います」
かつての同僚だった阿部勇樹(浦和)も、勇人との思い出を語っている。
「ジェフでジュニアユース、ユースと一緒に戦ってきて、一緒にプロになった。今自分がこの年齢までやって来れたのは、そういった存在がいたからこそ。刺激を与えてくれた存在だと思います。もちろん、残念な気持ちはありますけど」
そして弟の寿人は、最後まで勇人に翻意を促していたと明かした。
「18年ぶりに千葉に戻ってきて、チームメイトとして一緒にプレーして、兄の戦う姿を見て、正直までやれるんじゃないかと。どこかのタイミングでそれ(引退)を撤回させようと思ったんですけど、やっぱり兄の意志は固かったですね」
家族や仲間たちが勇人の引退を惜しむ一方で、自身の視線はすでに先を見ていた。
「寂しいなとか、もやもやした気持ちはなくて。なんでかなと考えると、この先もジェフとともに自分があると思うから。地域とジェフというクラブがお互い必要な関係で、『ジェフがないと困るわ』というクラブに変えていきたいと思っています。そういうふうに関わっていけるのがベスト。自分はやっぱり、ジェフというクラブが輝いていないと満足できないんですよね」
今季の明治安田生命J2リーグも残すところ3試合。サッカー選手としての時間が終わりに近づくなか、勇人は今、どのような心境にあるのか。
「まずはピッチに立てるようにしっかり準備すること。それに尽きると思います。ピッチに立てるチャンスがあれば、佐藤勇人はこういうプレーヤーだというのを出したい。他のクラブのサポーターやファンの人にも『ジェフの佐藤勇人ってこうだったよね』『ジェフってこういうサッカーをするチームだよね』というのを表現したいと思います」
プロサッカー選手として20年、千葉のために戦い続けた18年。佐藤勇人は最後の輝きを放つべく、残り3試合に挑む。
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「※」は提携サイト『 Sporting News 』の提供記事です



