AFCチャンピオンズリーグ(ACL)は、30日までに決勝トーナメント1回戦を終了した。ベスト8に、日本のチームが残ることはなかった。
かつては浦和とG大阪が頂点に立った大会だが、ここ数年、Jリーグ勢は不振が続いている。昨年はC大阪が8強で敗れ、2008年のG大阪の優勝以降、最高成績は09年の名古屋のベスト4進出である。
07年の浦和、08年のG大阪と、連覇を果たしたJリーグ勢の敗退を、ライバルの韓国、中国のメディアはどう見たのだろうか? Goal.comの韓国版、中国版に各国メディアの反応を聞いた。
勢力図を塗り替える予兆?
「ACLの8強に、日本の居場所はなし」

中国の巨大サイト『シナ』では、こうした見出しが掲げられたという。『163』も広州恒大のFC東京戦勝利が辛勝であったことを報じつつ、「ベスト8にサウジのクラブが3つ、Jリーグクラブはなし」と伝えた。
FC東京の相手は、ドルトムントFWルーカス・バリオスの6月からの加入が決まっている広州恒大だった。2年連続でブラジルでMVPに輝いたコンカや、試合を変えられるムリキら外国人を擁し、ベンチでは就任したばかりの元イタリア代表監督マルチェロ・リッピが指揮を執っていた。
FC東京は数万の広州ファンが陣取るアウェースタジアムでも、果敢に自分たちのサッカーをしようとしたが、なかなか決定的な形に持ち込めなかった。ポストを叩いたルーカスのシュートもあったが、反撃に出た終盤に、得点されてもおかしくないカウンターも浴びていた。
初挑戦でのベスト16進出は称えられてもよく、選手を多く獲得したばかりの新監督の下でのチームは、16強の壁を崩すには至らなかった。『163』は、試合後に泣いて悔しがるGK権田修一に広州のファンが敬意を表したことを伝えている…。
代表チームなどは振るわず、国際大会での期待を一身に集める新興ビッグクラブは、今後の勢力図を塗り替える予兆となるかもしれない。
Jリーグチームのスタイルを称えつつ…
昨季J1王者の柏は、韓国の壁の前に屈した。一昨年のJ2優勝からJ1制覇、さらにアジアとジャンプアップしたが、さらなる一歩は踏み出せなかった。
初めてACLに出場し、グループステージではたくましい戦いを披露して3勝1分け2敗でラウンド16進出を果たした。
しかし、蔚山現代戦では、キム・シンウクの高さやイ・グノのキレのある突破に太刀打ちできず、力負けに終わった。レアンドロ・ドミンゲス、ジョルジ・ワグネルのブラジル人助っ人を中心にチャンスもつくったが、試合をコントロールするまでの展開には持ち込めなかった。守備陣は個の力で圧倒される場面が目立つなど、全体的な戦力底上げの必要性が感じられる内容で敗れた。
リーグで復調してきたタイミングではあったが、コンディション面でも相手の方が動けており、日本クラブが再びACL制覇をするためにはリーグとACLの並行で勝ち抜く対策を考え直すことが必要だと感じさせるものだった。
韓国も昨季アジアの頂点に立った全北現代がグループステージ敗退するなど、2チームが残っただけだった。日本勢に対して分が良かったわけでもなく、城南一和もホームでブニョドコルに敗れて大会を去った。
そこで韓国のメディアは、自分たちも中東に比べて決して多くのチームが残っていないことを示しつつ、「サウジは3、韓国は1、日本は0」といった主旨で、日本勢がすべて消えたことを伝えている。
ただし、ウルサンのキム・ホゴン監督が、韓国はJリーグチームのようなプレーをすべきだと話したことも伝えている。同監督は、FC東京の攻撃的なパスサッカーを称えているという。また韓国メディアは、日本のチームのパフォーマンスは悪くなく、勝ち抜いた全3チームがアウェーゲームに臨む難しさがあったことも指摘している。
確かにこのラウンド16で勝利したアウェーチームは、アル・アハリとブニョドコルの2チームだけだ。だが、逆に言えばグループステージを1位通過できなかったという事実が、さらにに重くのしかかる。
パワーバランスは、極東からシフトしていくのだろうか?
文・構成/杉山 孝・永田 淳
かつては浦和とG大阪が頂点に立った大会だが、ここ数年、Jリーグ勢は不振が続いている。昨年はC大阪が8強で敗れ、2008年のG大阪の優勝以降、最高成績は09年の名古屋のベスト4進出である。
07年の浦和、08年のG大阪と、連覇を果たしたJリーグ勢の敗退を、ライバルの韓国、中国のメディアはどう見たのだろうか? Goal.comの韓国版、中国版に各国メディアの反応を聞いた。
勢力図を塗り替える予兆?
「ACLの8強に、日本の居場所はなし」

中国の巨大サイト『シナ』では、こうした見出しが掲げられたという。『163』も広州恒大のFC東京戦勝利が辛勝であったことを報じつつ、「ベスト8にサウジのクラブが3つ、Jリーグクラブはなし」と伝えた。
FC東京の相手は、ドルトムントFWルーカス・バリオスの6月からの加入が決まっている広州恒大だった。2年連続でブラジルでMVPに輝いたコンカや、試合を変えられるムリキら外国人を擁し、ベンチでは就任したばかりの元イタリア代表監督マルチェロ・リッピが指揮を執っていた。
FC東京は数万の広州ファンが陣取るアウェースタジアムでも、果敢に自分たちのサッカーをしようとしたが、なかなか決定的な形に持ち込めなかった。ポストを叩いたルーカスのシュートもあったが、反撃に出た終盤に、得点されてもおかしくないカウンターも浴びていた。
初挑戦でのベスト16進出は称えられてもよく、選手を多く獲得したばかりの新監督の下でのチームは、16強の壁を崩すには至らなかった。『163』は、試合後に泣いて悔しがるGK権田修一に広州のファンが敬意を表したことを伝えている…。
代表チームなどは振るわず、国際大会での期待を一身に集める新興ビッグクラブは、今後の勢力図を塗り替える予兆となるかもしれない。
Jリーグチームのスタイルを称えつつ…
昨季J1王者の柏は、韓国の壁の前に屈した。一昨年のJ2優勝からJ1制覇、さらにアジアとジャンプアップしたが、さらなる一歩は踏み出せなかった。
初めてACLに出場し、グループステージではたくましい戦いを披露して3勝1分け2敗でラウンド16進出を果たした。
しかし、蔚山現代戦では、キム・シンウクの高さやイ・グノのキレのある突破に太刀打ちできず、力負けに終わった。レアンドロ・ドミンゲス、ジョルジ・ワグネルのブラジル人助っ人を中心にチャンスもつくったが、試合をコントロールするまでの展開には持ち込めなかった。守備陣は個の力で圧倒される場面が目立つなど、全体的な戦力底上げの必要性が感じられる内容で敗れた。リーグで復調してきたタイミングではあったが、コンディション面でも相手の方が動けており、日本クラブが再びACL制覇をするためにはリーグとACLの並行で勝ち抜く対策を考え直すことが必要だと感じさせるものだった。
韓国も昨季アジアの頂点に立った全北現代がグループステージ敗退するなど、2チームが残っただけだった。日本勢に対して分が良かったわけでもなく、城南一和もホームでブニョドコルに敗れて大会を去った。
そこで韓国のメディアは、自分たちも中東に比べて決して多くのチームが残っていないことを示しつつ、「サウジは3、韓国は1、日本は0」といった主旨で、日本勢がすべて消えたことを伝えている。
ただし、ウルサンのキム・ホゴン監督が、韓国はJリーグチームのようなプレーをすべきだと話したことも伝えている。同監督は、FC東京の攻撃的なパスサッカーを称えているという。また韓国メディアは、日本のチームのパフォーマンスは悪くなく、勝ち抜いた全3チームがアウェーゲームに臨む難しさがあったことも指摘している。
確かにこのラウンド16で勝利したアウェーチームは、アル・アハリとブニョドコルの2チームだけだ。だが、逆に言えばグループステージを1位通過できなかったという事実が、さらにに重くのしかかる。
パワーバランスは、極東からシフトしていくのだろうか?
文・構成/杉山 孝・永田 淳
