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イタリア代表の宝、ジャンルイジ・ドンナルンマ。アッズーリを魔法の夜に導いた守護神

指揮官ロベルト・マンチーニによる並外れた仕事が見事に花開いた。イタリアに“ワールドクラスの強国”としてのステータスを取り戻させただけでなく、過去に唯一の優勝を果たしたフェルッチョ・ヴァルカレッジ体制以来、53年ぶりにヨーロッパの頂点にたどり着いたのだ。

イタリアの豪華コレクションから選び抜かれた最高クラスの輝かしい宝石たちが、ヨーロッパ大陸のショーケースを彩った。一際まばゆい光を放ったのは、ジャンルイジ・ドンナルンマだった。

“ジージョ”は、イングランドとのPK戦において、ペナルティマークに立ったジェイドン・サンチョ、そしてブカヨ・サカの挑戦を退けた。2度の決定的なセービングで爪痕を残し、“美しき国”ことイタリアのあらゆる街角に三色旗をはためかせたのだ。

■卒業試験

Donnarumma(C)Getty Images

すでに現役最強GKの座を競う彼のクオリティに疑いがあったわけではない。しかし、「22歳」という身分証明書の年齢からすれば、今回、正GKとして初めてこれほど重要な舞台に立ったことで、あらゆる面において自身の実力を完全に認めさせることに成功したと言える。今夏からパリ・サンジェルマン(PSG)でプレーするアッズーリの守護神は、満点の成績で卒業試験に合格した。

これからはフランスでまた新たな白いキャンバスに物語を書き綴っていくことになるが、そのパリ行きこそが、EURO2020が近づく中で緊張感を生み出すことになった。所属先のミランと契約延長を巡って意見が合致せず、結局、退団へ向かった。このゆっくりとした静かなる別れは、カステッラマーレ・ディ・スタービア生まれのGKのEURO2020大会前夜を揺るがすことになる。

マンチーニはトルコとの開幕戦までに今後の所属クラブを定めるように彼に対して働きかけた。すべての体力、そして精神力をアッズーリのためだけに注げるようにするためだった。

だが、メディカルチェックのためにローマへ向かったことをのぞけば、ドンナルンマは1度グローブをはめさえすれば、自身の将来を巡るあらゆる類の憶測や批判に耳を傾けることなく、完璧に集中できることを示した。唯一、宿命を背負った者だけが最高の表現をすることができるピッチという勝負の場を通じてのみ、淡々と、そして力強く語り出した。

■決定的な存在

Donnarumma(C)Getty Images

この驚異の才能は、イタリアがトルコ、スイス、ウェールズと対戦したグループステージの3連戦において、自陣ゴールにカギをかけ、クリーンシートで相手を退けた。

決勝トーナメント、イタリア代表の背番号21番はより大きな舞台でもリラックスしてゴールマウスに立ち、決定的な存在となることを示した。オーストリアとの延長戦、ルイス・シャウブに対する奇跡的なセーブは、まさに象徴的。8強へ続くトーナメント戦の道のりが複雑になることを阻止した。

続くベルギー戦、ドンナルンマがケヴィン・デ・ブライネ、ロメル・ルカクに対して神がかったセーブを見せたことで、イタリアはまた一つ進化を遂げた。ステージをひとつひとつこなすごとに、「相手がどのチームになろうと頂上までたどり着ける」という意識は強まっていったように見えた。それは自分たちの背後のゴールマウスが頼もしい存在によって守られているという自覚があったからだろう。

準決勝ではダニ・オルモに対して圧巻のセーブを見せ、PK戦ではアルバロ・モラタのシュートをストップ。わずか22歳で1つのチームの運命を双肩に。もはや誰もが、カルチョの歴史を刻む宿命を持った守護神の絶対的な実力を認めるしかなかった。

■歓喜の夜

Donnarumma(C)Getty Images

ウェンブリー・スタジアムの夜には、フェノーメノ(怪物)の閃光が走った。

試合開始からわずか2分、ルーク・ショーによる一撃。通常ならば立ち上がる気力を失うほどの打撃だったはずだが、現在のイタリアにとっては違った。

もちろん、それは今大会の最優秀選手にとっても同様だった。勝負はPK戦までもつれ込み、ドンナルンマは2本のPKを失敗に追い込んだ末、ブカヨ・サカのシュートを断ち切り、イングランドの夢を打ち砕いた。導かれたイタリアは、史上2度目となる極めて重要なトロフィーにその名を刻んだのだ。

喜びに爆発したアッズーリのお祭りは、誰にも止めることができないほどのものとなった。ジージョ・ドンナルンマでさえ、止めることができない歓喜だ。

イタリアの魔法の夜に国民全体の財産であることを証明したドンナルンマ。この男は、大切に守っていかなければならない宝だ。


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