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「日本に居る嬉しさが年々増している」イニエスタが語る自身の今後、メッシ退団、クーマンとバルサ現体制/インタビュー

■ラ・マシア入寮から25年

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――あなたが選手、また人間を育て上げる施設ラ・マシアの門をくぐってから、今年で25年が経ちました。

ちょっと目まいがするよ。本当に長い月日が経ったんだね。しかし間違いなく、自分の人生において大きな一歩だった。それはスポーツ面だけでなくパーソナルな面でもそうで、そこからありとあらゆることを経験していくわけだ。いつも、何か信じられないことみたいに思い返している。あそこで過ごした日々を簡単に振り返れば、とても素晴らしい時期だって、家族と離れ離れになった最初の頃みたいにとても辛い時期だってあった。でも僕の人生の中で、疑いようもなく最高の経験だった。

――現在ラ・マシアにいる少年少女たちに対して、どんなアドバイスを送りますか?

具体的なアドバイスをするのは難しいね。経験してきたことや取り巻く環境、物事への取り組み方は一人ひとり違うんだから。それに僕が25年前に過ごしていた日々と現代の少年少女たちが過ごす日々にだって違いがある。彼らは成長するためには最高の場所にいるわけだし、その価値を理解して、自覚的にならないといけない。自分の場合は100%真剣だった。これこそが僕の挑戦、夢なんだって自覚して、自分自身と家族のために成し遂げたかった。僕は僕の可能性を絶対的に信じていたんだ。

――引退した後は彼らを指導するのでしょうか? それともトップレベルで指揮をする?

指導者になりたいって思う日もあればそうじゃない日もある……。分からないよ。現役でいる間に何かを思い描くのは難しい。確かに、どんな可能性があるのかを見つめたり、考えたりしなくちゃいけないね。自分がしてみたいこと、するだろうと思えることは監督ライセンスの取得だ。でも、長期的なプランを考えるのは難しい。だって、自分にどんな能力があるのか、どんな場所にいられるのか、その場所の人たちが自分を数に含めるのかどうかを知ることはないんだ……。自分の人生そのものだったフットボールとは結びついていたいと思う。今とはまた違う形でそうできたらいい。

■現体制のバルサ

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――バルセロナの現会長はジョアン・ラポルタですが、彼のクラブにあなたの姿も見えますか? 

自分の姿が見えているのかではなく、そうした節目が訪れるのかどうか、ということだね。そのときがやって来たら考えさせてもらうよ。僕から言えるのは、バルサ復帰は喜ばしいということ。そんなの分かりきっているだろう。だけど、あそこでプレーしていたからとか、自分の名前によって戻るんじゃなくて……僕が有用な存在になれるから、違う領域でバルサを助ける力を持っているから復帰する、ということにしたいんだ。

――ラポルタからは、もう口説かれたのでしょうか?

ラポルタは僕に厚い信頼を寄せてくれているし、そういった意味ではすべてがうまくいくことを願っている。でも今後1〜2年の仮定については、話をしたってしょうがないよ。僕の唯一の願い、それはバルサがあらゆる意味でポジティブな道を見つけることだ。フットボール的にも組織的にも、ね。それが一番、僕を幸せにしてくれることだから。

――日本で、ここ数年の間バルサに起こったことをすべて把握していたのでしょうか?

距離は離れているが、もちろんできる範囲では追い続けているよ。時間的に中継を見るのはかなり厳しいけどね。ただハイライトやニュースは確認するし、何人かの仲間と連絡も取り合っている。けっこう話しているよ。

――話をする相手は誰?

普段から話をしているのはジョルディ(・アルバ)とブシ(ブスケツ)だね。フットボールのことだけじゃなくて、ありとあらゆる話題を語り合っている。

――フットボールの監督には付き物ですが、ロナルド・クーマンは常に首がかかった戦いに臨んでいます。もっと信頼されるに値すると思いますか?

バルサの監督は、ありとあらゆる状況の影響下にあることを自覚している。彼が監督になったときは簡単な状況ではなかったし、今だってそんなことは全然ない。誰もが、それぞれの時間というものを必要としている。彼が幸運に恵まれること、チームが良い感覚と進むべき道を見つけ出すことを願っているし、きっとそうなるだろう。

――チャビは1年後か5年後、または今すぐにでもクーマンの後任となる心構えがあるのでしょうか?

そう思うよ。チャビがバルサのベンチに座ることを想像しているかと問われるなら、今言っていた「今すぐ」みたいな曲解はなしとしても、誰もがイエスと返答するだろう。彼は準備をしてきたわけだし、そうできる力がある。挑戦するための自信を備えているんだ。

■メッシの退団

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――リオネル・メッシ退団の過程は、どのように見守っていましたか? 誰の責任かは意見が分かれるところですが。

実際に起こったこと、または起こっていないことを知っているのは、直接的に関係した人たちだけ。外部にいる自分はそう考えることしかできない。大勢の人がそう感じているように、違うユニフォームを着るレオを目にするのは不思議な感覚だ。僕の願いは(メッシがバルセロナで)続けてくれることだったし、彼自身もそれを望んでいた。だけど、ときには変化が生じて、それぞれが異なる道を進まなきゃいけないことだってある。今回、起こってしまったことを受け入れるのは、確かに簡単ではなかったね。

――メッシと話をしたのでしょうか?
いやいや、話はしていないよ。

――あなた自身は、いつの日かバルセロナを退団すると思っていましたか?

いや……、うーん……、最初の数年間はそうだったのかも。(トップチームでプレーし)始めた頃はあまり出場機会を得られなくて、内々ではレンタル移籍させるかどうかが話されていたと思う。だけど僕は、トップチームにたどり着くまでのありとあらゆる苦労から、バルサで成功をつかみたかった。頑なだったし、慌てずにチャンスを待ち続け、それからすべてがうまくいったね。チームを変えようと思ったことはなくて、バルセロナでスパイクを脱ぐことだけを考えていた。でも当時の僕は知らなかったんだ。まだプレーをし続けたいのに、バルサではそうできなくなるなんて。だから僕はチームを変えることになった。あそこで続けるための強さ、意欲をずっと持てたなら素晴らしかったんだけどね。

――メッシをネイマール、キリアン・ムバッペと混ぜ合わせると、どうなるのか想像がつきますか?

PSGはあらゆるポジションが充実している。彼らみたいな素晴らし過ぎる選手たちが一緒になるならば、そりゃ良いことしか起きないさ。でも、その次にチームとしてどう進化を遂げるのか、どこまで到達できるのかも見てみないと。ヨーロッパには彼ら以外にも素晴らしいことを成し遂げているチームが存在しているんだから。ただPSGはその攻撃の3選手だけにとどまらず、陣容全体がかなり高いレベルにある。

■ヴィッセル神戸、日本について

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――日本ではどのような状況でしょうか? パンデミックにおける困難は?

僕たちはここで3年を過ごしているが、年月が経つほどに、こうした経験をできるうれしさが増している。仕事的にも家族的にもね。大切なのは、頭と体が動く内はフットボールを楽しみ、噛み締めていくことだ。1年半はここも世界全体と同じように困難だった。これから年の終わりにかけて、より状況が落ち着ていくことを願っているよ。

――37〜38歳までプレーすると言っていたあなたですが、37歳になってヴィッセル神戸と2023年まで契約を延長しました。

良い状態なんだ。最後にした負傷はきつくて、克服するのは簡単じゃなかった。でも素晴らしい形で回復できたし、本当に良い感触が、プレーし続けていく意欲があるんだよ。僕は練習や試合に臨む喜びを持ち続けている。体にはより一層気を配っているし、もう終わりにしようと自分に言い聞かせることになるまでは続けていきたい。

――あなたはその負傷のために手術までしましたが、引退は考えなかったのですか?

そういうときは冷静にならないといけない。負傷して、37歳で手術を受ける必要が生じたとなれば、現実的にキャリアの終わりまであと2〜3年という段階だし、考えるわけでもなく色々なことが頭に浮かんでくる。だけど経験というものが、そうしたこととはまた違うインプットを施してくれるんだ。負傷したとき、もう十分やったと考えることはなかった。そこから回復を果たして、プレーし続ける意欲しかなかったんだよ。神が望むのならば、怪我がキャリアを終わらせることにはならないさ。

■スペイン代表と至宝ペドリ

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――あなたは引退後に監督になることを検討していますね。スペイン代表について、ルイス・エンリケのことはどう考えていますか? あなたは、自らをリーダーと称する彼のことをよく知っているはずです。

監督が話をするときには、すべてを明確にしていくね。僕は監督がいつだってリーダーでなくてはいけないと考えているし、その点で彼は完璧だよ。選手たちに信頼を寄せ、自分たちのやり方に自信を持っている。あとは、それがうまくいくかどうかだ。

――EUROは希望が持てる内容にしましたが、9月に疑惑の目を向けられることになり、10月にネーションズリーグに臨みます。

代表チームは世代交代の最中だし、そのための時間が必要となっている。彼らには絶対的な信頼が必要だ。EUROは素晴らしかったし、ワールドカップ予選については過去を振り返れば、いつもの難しさに直面しているという感じだね。でも僕はいつだって、ルイス・エンリケとチームのみんなに大きな期待を寄せている。

――ペドリは現スペイン代表のイニエスタになれるのでしょうか?

僕が望むのは、ペドリがペドリであることだ。代表チームとクラブで、その素晴らしいレベルにある彼自身のクオリティーとキャパシティーを示してほしい。彼はまだ17〜18歳だが、僕たちはときにそうしたことを見誤ってしまう。ペドリは今そうしているように努力を続けて、成長して、学んで、自分の限界を乗り越えなくてはならない。そこに裏技なんて存在しないんだ。彼はそうしたことを見事にこなしている。比較されればやりづらいことこの上ないけど、フットボールを楽しみながら、素晴らしいプレーを見せ続けないといけない。彼のクオリティーと才能は最上級だ。

――ペドリとそうしたことについて話をした、もしくは彼からアドバイスを求められたのでしょうか?

そうだね、彼とはずいぶん話をしたよ。そうしたことや、何よりフットボールについてね。ペドリにいつも言っていることがある。比較されるのは当然としても、重要なのは彼が自分のキャパシティー、改善すべきことを自覚して、成長し続けることなんだってね。彼はそのための最高の場所にいるし、監督たちからも信頼を寄せられている。監督からの信頼は、いつだってカギになるものだ。

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