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STVV移籍で覚悟を示した橋岡大樹、東京五輪行きへ「メンバー入りは出発地点。金メダルを狙う」/インタビュー

■覚悟

――2020シーズンは浦和で32試合に出場し、レギュラーとして活躍しました。まずは、東京五輪イヤーでもあるこの時期に移籍を決めた理由を教えてください。

確かに、『五輪が終わってからでもいいんじゃない?』とか『もう少し移籍を待ってもいいんじゃない?』と、皆からたくさん言われていたんです。その意見の方が多かったと思います。でも僕の中では、五輪も目標ではあるけど、ワールドカップも1つの目標です。先のことを視野に入れて考えた時、このタイミングで行くべきだと思ったんです。相当の覚悟を持って、移籍しようと考えました。

移籍から半年後に東京五輪が控えている中、そのメンバーにも絶対に入るという気持ちで来ました。そして、すぐにスタメンで試合に関わる、数字上でも結果を残す、という覚悟を持って決断しました。その点では、最低限のミッションはクリアできたのかなと思っています。

――海外挑戦を意識し始めた時期、具体的なキッカケがあれば教えてください。

浦和1年目の時から、海外でプレーしたいという気持ちはありました。近くで支えてくれている方々や、自分の中でも経験を積んでから挑戦しようという思いがあり、この時期になりました。A代表に入っていくことを考えた時、海外で挑戦している選手は経験値の面で大きなプラスがある。さらなる経験を積む上で、海外の選手たちとプレーしてみたい気持ちが大きかったですね。

――移籍を決断するにあたって、相談した選手はいますか?

たくさんの方に相談させていただきました。まず第一に、家族。僕の思いを話して、『どう思う?』と聞いたら、最初は『五輪が終わってからでもいいんじゃない?』と意見を貰ったのですが、僕が理由を説明した後には完全に理解してくれました。

選手では、今のチームメートである鈴木優磨選手です。鈴木選手からは、『ベルギーリーグは個々の能力が高くて、すごくアグレッシブ。それに、日本人だからって簡単に試合に出場できるわけではないよ』というアドバイスをいただいたのですが、僕自身もそのような環境で自分が出場できなければ、どこへ行ってもプレーできないなと考えました。挑戦してみる価値は絶対にあると考えたんです。

母や父に話したのはそんな思いです。『だったらもちろん応援するし、頑張ってね』と言ってくれました。また、浦和の関根貴大選手もベルギーリーグを経験していたのでアドバイスをいただきました。関根選手からは、『本当に個のレベルが高い。日本は組織的なチームが多いけど、ベルギーリーグは組織というよりも個。一人で守ったり、一人で攻撃しないといけない場面も多い』とアドバイスをいただきました。そのような観点からも僕自身、自分のスタイルに合っているかなと思い、『行って、活躍してきます』と話しました。

――STVVでは3月に13名の新型コロナウイルス陽性者が出るなど難しい状況でもあったと思います。途中加入の中で、チームの印象はいかがでしたか。

もともとシント=トロイデンは移籍や選手の入れ替わりが多いクラブなので、途中加入に関しては周囲の選手も慣れていて、すごく入りやすかったです。日本人選手もいるので、環境や状況もすぐに把握できました。初の海外挑戦への慣れという点からは、すんなり溶け込むことができたと思うので、良かったです。

――2月28日に行われた第28節のオイペン戦での途中出場デビューから、最後の5試合はレギュラーとしてフル出場しました。その中で計3アシストするなど、とりわけ攻撃面での良さがすぐに発揮されましたね。

数試合ですが、メンタル面に関しては移籍後の自分の成長として実感しています。自信を持ってプレーする、そしてどんどんチャレンジするという部分です。日本にいる時は、『大胆にプレーする』と心がけていても、どこか心の奥底にある『慎重な判断を選択』という面がプレー中に表れていたことも多かったと思います。

もちろん、ミスをしてはいけない場面でのプレー選択はこのリーグでも重要です。日本がそうではないということではなく、チャレンジの姿勢をすごく評価してくれるのは気持ちの面で大きいですね。日本では自分が自信を持ってやれていた時と、自信を持ってやれなかった時の差が激しかったと、ベルギーに来て改めて思いました。

――今季17得点を挙げた鈴木優磨選手ともすぐに良い連係を構築し、実際に橋岡選手からのアシストもありました。

鈴木選手は得点感覚、ゴールへの嗅覚が他の選手と比べてもすごく優れていると思います。ゴールへの執着心があり、僕自身すごくやりやすい選手です。鈴木選手からは、『いいボールが上がらなくてもいいから、何回もクロスを入れてほしい』と言われました。何度もクロスを上げることにより、絶対にチャンスが訪れるからチャレンジし続けてほしいと。『クロスを上げることに意味があるから』という話をしました。

それで僕も吹っ切れたところがあって、クロスを上げるところまでいくことが、まず1つ大切なことだと。そこから、クロス精度を徐々に上げていくことを意識する。まずはクロスまで持ち込む場面を増やすというところを意識的に取り組んでいこうと考えました。すると自然に、3つのアシストを記録することができました。3つですが、自分の中では一つの成果だと捉えています。

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――ベルギー移籍後、ピッチ外での生活や食事面はいかがですか。

コロナ禍でもあるので、オフの時などは正直、少し退屈ではありますね(笑)。シント=トロイデンはアントワープやブリュッセルのように、にぎやかな街ではありませんが、穏やかで自然と触れ合うにはとてもいいです。

食事に関しては自宅の目の前に大きなスーパーがあるので、自分で料理をして食べたりしています。夜に試合がある時は昼食をルーティン化していますね。スーパーで豚肉のステーキを買ってフライパンで焼いて、YouTubeで「ソースの作り方」を見て作って食べています(笑)。あとはスーパーに売っている鮭やエビを焼いたり、サラダとみそ汁、それに炊飯器もあるので、お米を炊いて食べたりしていますよ。

■感謝

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――浦和でルーキーイヤーから出場機会を得て、AFCチャンピオンズリーグ準優勝やフル代表デビューも経験しました。ここまでのキャリアと自身の成長についてどのように感じていますか?

「人に助けられてきた」というのが自分の中で本当に大きいです。周囲の人に助けていただきながら、ここまで来ることができました。その中でも浦和での1年目、荻原拓也選手の存在は大きかったです。同じ浦和ユース出身の同期で、荻原選手が先にトップチームで出場機会を増やした。それで僕も、『なにくそー!』という気持ちで必死に頑張りました。そこから大槻毅監督の下でチャンスを得ることができて、その後も起用し続けてもらいました。切磋琢磨できるライバルである荻原選手に感謝したいです。

大槻監督にも感謝しています。大槻監督にチャンスをいただけたからこそ、今の僕がある。その後のオズワルド・オリヴェイラ監督にも大きな感謝があります。僕をずっと使い続けてくれました。もちろん周囲の人も。僕が自信を失って全然ダメになった時も良い言葉をかけてくれたり、相談に乗ってくれる選手がたくさんいました。周囲の人の助けがあって今の僕がある。ここまでの成長は順調のように見えますが、特に浦和では本当に多くの人に助けられてきました。

――その浦和ではセンターバックやサイドアタッカーなど複数のポジションを経験し、ユーティリティな面も特徴の一つとなりました。STVVではここまで右サイドバックが主戦場となっています。将来的に、自身のポジションに関する考えはありますか。

センターバックでプレーするにあたって、身長(※橋岡選手は184センチ)が小さいと指摘されることも最初は多いと思います。正直、今の時点でセンターバックとサイドバックのどちらのポジションを希望しているかは明確に言えないですが、どちらでもレベルの高いプレーができるようにしたいです。今の代表選手で言えば冨安健洋選手もサイドバックとセンターバックをやっていますし。サイドはもちろん、急きょセンターバックでプレーしてほしいと言われても、すごく活躍できるくらいの選手になりたいです。

――STVVからはこれまでにも日本人選手が飛躍を果たし、クラブも「ここから、世界へ」と選手をサポートしています。今後のキャリアで、挑戦してみたいリーグは?

ドイツ、フランス、イタリア、イングランド、この4リーグいずれかで活躍したい思いはあります。スペインのラ・リーガは少し合わないかなと個人的に感じています。スペインはどちらかと言えばテクニカルな選手が集まっていますよね。個人的には対人の強さの特長を活かせるリーグで、という考えです。ドイツはすごくアグレッシブなので、僕に合っているのかなと。昔から、プレーしたい気持ちが強いですね。

――幼少期に憧れた選手は?

クリスティアーノ・ロナウド選手やネイマール選手です。全然ポジションが違いますが(笑)。ディフェンダーだと中学時代、カルレス・プジョル選手に憧れていました。戦う気持ちを前面に出す選手。彼のような選手はすごく貴重で、そんな選手になりたいと思っていましたね。正直、本当はクリスティアーノ・ロナウド選手やネイマール選手みたいになりたいというのが小さい頃の夢だったのですが、それほどの実力ではないので(笑)。僕は僕なりにディフェンスという得意なことがあったので、憧れの選手もディフェンダーに変化していきました。

■東京五輪への思い

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――いよいよ東京五輪が迫ってきました。3月の代表戦は新型コロナウイルスの状況もあって招集見送りになったと思いますが、U-24日本代表の試合はご覧になりましたか?

はい、見ました。正直、ものすごくウズウズしていました。ちょうどチーム内で新型コロナ感染が拡大している時で、僕も日本に戻れる状況ではなかった。この舞台、アルゼンチンとの2連戦でプレーしたかった思いは強かったです。

活躍した選手を見て、『自分もこのリーグでもっと、もっと活躍しないと』という気持ちが沸き上がってきました。『負けていられない、こっちで結果を出さないと』と思ったことが、直後のリーグ戦で2試合連続アシストできたことにもつながったと思います。『やってやるんだ』という気持ちになりましたね。

――日本はグループステージで南アフリカ、メキシコ、フランスと同組になりました。

相手が決まって、より本格的に準備しなければという気持ちになりました。『いよいよ始まるんだ』という思いが改めて出てきます。

――日本に戻ってからのプランを教えてください。

まずはコンディションを落とさないように。僕は昨季のJリーグ終了後に休んでベルギーに来てシーズンを終えたので、休養はあまり必要ないと思います。トレーニングを重ねて、良いコンディションを維持したいですね。メンバーに選ばれるかはもちろんわかりませんが、選ばれるように良いコンディションを整えます。

――母国で開催される特別な大会になります。改めてファンやサポーターに思いを。

1年延期になりましたが、その分だけ昨年よりも成長した選手たちの姿を見ることができると思います。僕自身、五輪が延期にならなければ、日本を離れてベルギーでプレーすることもなかったかもしれません。成長した姿を見せるチャンスがあるのは楽しみですし、まずはメンバーに選ばれるために良い準備をしていきます。ファンやサポーターの皆さんも、気持ちが高まっていると信じていますし、目標である金メダルを取るためにみんなで一致団結したい。切磋琢磨して、良い結果を出したいです。

そして個人としては、まず第一に東京五輪代表メンバーに選出されること。それが出発地点だと思っています。今季は既に終わっているので、僕の中ではいい準備をすることが絶対条件。多くの選手と異なる状況ではありますが、メンバーに選ばれてプレーする際には目に見える結果を出したいと思います。いい準備をします。期待していてください。

インタビュー・文=音堂泰博

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