ローター・マテウス氏はジャマル・ムシアラのことが大好きだ。マテウスの家族でさえムシアラを愛しているようだ。
ドイツ代表の出場記録保持者が9月にムシアラについて英紙『デイリー・メール』で意見を求められたとき、彼は究極の選手と比較をすることを恐れなかった。
「彼がフィールドにいるとき、3年前のメッシのようだ。スピード、ドリブル、ラストパス、得点力、すべてを持っている。彼はボールを持つと、常に前へ前へと進んでいく。また、守備で働くことも学んでいる。彼は完全な選手になりつつある。将来的には、世界最高の選手の一人になるだろうね」
マテウスのこの発言は、もちろんムシアラと2019年のメッシのバロンドール受賞時の姿を比較したものであり、彼はこのティーンエイジャーが将来的にゲーム最高の選手になることを支持したものの、ムシアラがわずか数か月後にゴールデンボール(W杯MVP)の候補になるとはおそらく予想していなかっただろう。
まさに今、彼はそのレベルに達した。バイエルン・ミュンヘンでのシーズン開幕後、ムシアラはワールドカップでブレイクし、カタールでのドイツ代表のゲームチェンジャーになる可能性があると期待されている。
もし、それが実現し、ドイツ代表が優勝争いに絡めば、ムシアラがバロンドールの候補にならない理由はないだろう。
Getty Images2022-23シーズンのここまで、この19歳はブンデスリーガで傑出した選手となっている。
今シーズンここまで、彼のリーグ戦9ゴールを上回る得点数を記録した選手は3人しかおらず、また、直接的なゴール関与(ゴール+アシスト)では、ブンデスリーガトップの選手で、わずか14試合の出場で16ゴールに関わっている。
そのうち2つのアシストはバイエルンのワールドカップ中断前最後の試合でのもので、ムシアラはドイツで最も成功したクラブチームで100試合出場した最年少選手となることを見事に祝ったのである。ちなみに彼が20歳となるのは来年20歳のことだ。
当然といえば当然だが、バイエルンがシャルケを2-0と下した後、マテウスは『スカイ』の取材に対し、再び盛大な比較をしてみせた。
「メッシみたいなもんだよ。彼はバイエルンを出て行ってはいけない、常にプレーしなければならない。彼の価値は2億5000万ドルだ!」
このような価格は、空想的と思われるかもしれない。しかし、ここ数か月のムシアラの活躍を見れば、この金額は妥当なものだろう。
すでに昨シーズンのゴールとアシストを上回り、本職ではないセントラルMFのポジションから試合を支配し始めている。いずれは、トーマス・ミュラー引退後のアリアンツ・アレーナで10番としての役割を背負うことになるだろう。
たった4年前、2018年ワールドカップでドイツがグループステージでまさかの敗退を喫したとき、ムシアラはジュード・ベリンガムを擁するイングランド代表ユースの一員だった。
しかし、その1年後、シュトゥットガルト出身のこのティーンエイジャーはバイエルンと契約するためにドイツに戻ろうとしていた。当時を振り返り、マテウス氏は「イングランドよ、彼を我々に譲ってくれてありがとう!なぜ、この選手をイングランドのシャツを着続けるためにもっと戦わなかったのかわからない」と話している。
ゴールやアシストはともかく、ムシアラがこれほど特別な選手であり、ワールドカップのスーパースターとなりうる理由は何だろうか?チームメイトでオランダ代表DFマタイス・デ・リフトは『ESPN』でこう語る。
「彼は本当にシルキーな選手で、とてもスムーズだ。ドリブルはとても奇妙で、時々ボールを失ったと思ったら、足でボールを取り返すんだ。彼は素晴らしい才能の持ち主で、今は本当によくやっている。一番大事なのは、彼がハードワークを続けること、謙虚でいることだと思うけど、ジャマルのような選手ならきっとそうしてくれると思うよ」
そのドリブルスタイルは最近、元バイエルンのMFオーウェン・ハーグリーヴスがカカと比較し、ムシアラを現代の攻撃的MFの中で「独自のもの」とも評している。
ムシアラがピッチに立つ限り、ドイツの試合はカタールでも観戦できることになりそうだ。
「新たなメッシ」というのはちょっと言い過ぎかもしれないが、ミュンヘンに特別な才能が現れたことは間違いなく、これから全世界にその名を轟かせることになる。


