エスパニョールMFセルジ・ダルデルが、精神的な問題に悩まされていたことを告白した。
下部組織にも在籍したエスパニョールで10番を背負い、その確かなゲームメイク力でチームを支えるダルデル。リヨンでもプレーした経験を持つ同選手は、フットボール界のエリートで順調なキャリアを築いていると言っていいはずだ。しかし羨む人もいそうな人生にも、本人は幸福を感じられない時期があったという。
『ESPN』とのインタビューに応じたダルデルは、2020年に自身が失意の底にあったことを告白した。
「あの年、自分が良い状態じゃなかったことを認めるほかなかったんだ。ただ抑うつって言葉は使いたくない。病気にかかって、辛い時期を過ごしている人たちもいるからね。それでも、僕は助けを必要としていた」
「自分はフットボーラーになりたかった。家、車、家族、子供がほしかった。でも、そのすべてを手にしても幸せではなかったんだ。僕はいつも夢見続けていた場所にいて、世界で一番幸運な男だったはずなのに、幸せになれなかった。自分の友人たちは1日8時間、石を削りながら働き、富もないけれど自分よりも幸せだった」
ダルデルは、家族から精神科医に相談することを提案されながらも、最初は受け入れられなかったようだ。
「1年の間、母親、妻、代理人から『あなたは良い状態じゃない。自分を閉じることなく助けを求めないと』って言われていた。でも、僕は彼らに『何だって? なんで精神科に行かないといけないんだ? 何でもないことだ』と返答し続けていたんだ。受け入れるのは難しかったけれど、最後にはそうしたよ。自分には何のモチベーションもないって、気付いていしまったから。試合や練習に取り組む意欲すらも、ね。あらゆる選手が僕よりも優れていて、自分には何の価値もないと感じていたんだよ」
「でも、僕はそのとき26歳で、自分にこう言い聞かせたんだ。『あと10年はフットボールをプレーできる。苦しむんじゃくて、最大限楽しまないといけない』と」
こうして精神科に通ったダルデルは現在、フットボールから喜びを享受できるようになったとのことだ。
「今、僕はもう一度フットボールを楽しめている。最初にしたことは、精神科に行って自分のフットボール以外の生活を整理することだった。妻、子供たちと良い関係を築いてね。それまでの自分はいつも苛立っていて、彼らを傷つけていた。僕は生きる喜びを取り戻したかったんだ。フットボールの練習でも、僕は誰とも話したくなかった。何かを言われればいつも叫んでいたよ。僕はフットボールに支配され過ぎていたんだ。フットボールに飲み込まれて、苦しんで……だから助けを求めていたんだよ」
Getty ImagesエスパニョールMFダルデル、精神的問題に苦しんだことを告白「自分が誰よりも劣っていると思えた。フットボールに飲み込まれて家族を傷つけた」
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