12.07_E-1_ハリルホジッチ(C) Getty Images

EAFF E-1選手権2017制覇へ、ハリルジャパンは東アジアの難敵たちをどう迎え撃つ

EAFF E-1選手権2017(以下、E-1)の男子は9日に朝鮮民主主義人民共和国(以下、北朝鮮)、12日に中国、16日に韓国を味の素スタジアムに迎え、4ヶ国の総当りで優勝を争う。2年前の2015年8月に中国の武漢で行われた前回大会は初戦で北朝鮮に敗れ、韓国、中国と引き分けて最下位に終わり、就任して半年足らずだったヴァイッド・ハリルホジッチ監督の “国内組”への厳しい発言がメディアをにぎわせる発端になった大会でもあった。

当時の国内組から柴崎岳や浅野拓磨の様に成長の環境を求め欧州へ渡った選手もいる。いずれにしてもワールドカップ ロシア アジア予選の主力を担ってきたのが海外組であることは間違いない。11月の欧州遠征ではACLで躍進していた浦和レッズから5人の選手が招集され、ベルギー戦では初選出の長澤和輝が攻守のハードワークでアピールした。国際Aマッチデーではないため海外組を呼べないことは決まっていたが、ACL決勝を制してアジア王者となった浦和も同時期に開催されているクラブワールドカップに出場するため、メンバー選考の対象外となった。

さらに国内組では数少ない主力の1人だった山口蛍が直前の負傷で選ばれず、アギーレジャパン時代に代表戦を経験している右サイドバックの西大伍もJリーグの最終節で負傷し辞退。予選後の代表戦に続けて選ばれていた杉本健勇も合宿に合流はしたものの、すでに痛めていた脇腹と足首の負傷を理由に離脱。DF室屋成とFW川又堅碁が追加招集され、さらにフレッシュなメンバー構成となった。 若くして日本代表に定着した井手口陽介や最終予選のアウェイUAE戦で救世主的活躍を見せた今野泰幸などもいるが、大半はJリーグでの活躍が認められ、ハリルジャパンでは初めてか久しぶりに招集されたメンバーだ。ハリルホジッチ監督は「A代表に名乗り出てほしい」と選手たちに発奮をうながすが、海外組を中心としたフルメンバーにここから割って入ることは容易ではない。

しかしながら、ザックジャパン時代の4年前に似た状況で当時の東アジアカップ(現在のE-1)で優勝したメンバーから、大会前は代表0キャップだった4人の選手がブラジルW杯の最終メンバーに選ばれたのだ。4年前より5ヶ月開催が遅く 、残りの時間を考えるとより厳しい状況ではあるが、大会に優勝することでおのずと個人のアピールにもつながるということは、4年前の出来事から今回のメンバーも強く認識しているところだ。

日本代表は短期決戦をどう戦うのか

9日に初戦を迎える日本代表は今月4日から都内で合宿を行っており、初日と2日目は公開練習だった。2日は夜にJリーグアウォーズがあるため午前中から練習がスタートしたが、ハリルホジッチ監督はさっそく戦術ボードで具体的な指示を出しており、やはりデュエル(1対1)の重要性や相手の裏を狙う意識を強調して伝えたようだ。11対11のハーフコートマッチや4-2-3-1のボランチから前の5人と、ボランチから後ろの6人を対峙させ、攻める側と守る側の動きや役割をゲーム形式で理解させる練習なども精力的に行っていた。

慣れないメンバーで、しかも初戦まであまり時間が無いことから、筆者の予想ではおそらく9日の北朝鮮に先発で出場するメンバーと中2日で中国戦に先発するメンバーをターンオーバー的に分け、その2試合で出来の良かった選手が16日の韓国戦でのスタメンを勝ち取る可能性が高いと見ている。しかし、北朝鮮戦で4-2-3-1のトップ下に入ると見られた清武弘嗣が3日目の練習中に脳しんとうを起こし、検査の結果大事にはいたらなかったものの10日間はプレーさせられないため離脱が決定。鹿島の土居聖真が追加招集されることになったが、初戦は10番を付ける大島僚太、味の素スタジアムをホームとするFC東京の高萩洋次郎などから抜擢されることになりそうだ。

大会の短期決戦ではそうした事態も起こりうるが、Jリーグを代表する選手たちが一致団結して優勝を勝ち取り、一人でも多くの選手が海外遠征が予定される来年3月のメンバーに入っていけるかどうかに注目だ。指揮官が要求するデュエルやハードワークの要求をこなしながら、それぞれが自分にしか無い武器を発揮して勝利に貢献できればフルメンバーのA代表定着、そしてロシアも現実的な目標として見えてくるはずだ。

文=河治良幸

【EAFF E-1 サッカー選手権2017 大会スケジュール】

12月9日(土) 味の素スタジアム
16:30 キックオフ(予定) 韓国代表 vs 中国代表
19:15 キックオフ(予定) 日本代表 vs 朝鮮民主主義人民共和国代表

12月12日(火) 味の素スタジアム
16:30 キックオフ(予定) 朝鮮民主主義人民共和国代表 vs 韓国代表
19:15 キックオフ(予定) 日本代表 vs 中国代表

12月16日(土) 味の素スタジアム
16:30 キックオフ(予定) 中国代表 vs 朝鮮民主主義人民共和国代表
19:15 キックオフ(予定) 日本代表 vs 韓国代表

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