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ブンデスリーガ

バイエルンの一強時代を終わらせられるのはドルトムントのみ…カギはサンチョとハーランドの残留

20:40 JST 2021/05/11
Haaland Lewandowski Sancho 2020-21
ドイツのリーグ優勝は9年連続でバイエルンに決まった。今夏にドルトムントがアーリング・ハーランドやジェイドン・サンチョらのアタッカーを失うことになれば、バイエルンの独走が続くだろう。

このコラムがSNSでどのような反応をもたらすか、予想するのは退屈なほど簡単だ。

「これぞファーマーズリーグ」

フットボールについてコンスタントにツイートする数少ないマニアにかぎらず、多くの人々がブンデスリーガを予想しやすい退屈なリーグだと思っている。

そうした人々を擁護するわけではないが、バイエルン・ミュンヘンが9年連続でリーグ優勝を果たしたのは事実だ。2012年にユルゲン・クロップがボルシア・ドルトムントを優勝に導いて以来、バイエルン以外にマイスターシャーレを掲げたクラブはない。

確かに、ここ数年の優勝争いは激しかった。だが、結果は同じで、いずれもバイエルンがチャンピオンの称号を得たのである。そして今季のタイトルレースは先週末に終了した。だが、多くの第三者にとって、2020-21シーズンは開幕前から終わっていたと言っていい。

そして、来シーズンも変わるようにはみえない。すでにバイエルンは10連覇を果たすべく、全力で計画を立てている。

バイエルンは2月にRBライプツィヒからDFダヨ・ウパメカノを4250万ユーロ(約56億円)で獲得。ついで新監督として現ライプツィヒ指揮官のユリアン・ナーゲルスマンを招聘した。

この2つの動きは、今シーズン優勝争いをしたライプツィヒの力を大きく削ぐものである。1年前にトップスコアラーのティモ・ヴェルナーをチェルシーに売り、今夏は主力CBであるウパメカノが流出。さらに、もう一人の主力CBイブラヒマ・コナテはリヴァプールへの加入が近づいているという。

とはいえライプツィヒは、ウパメカノとコナテの穴を埋めるべく、すでにモハメド・シマカンとヨシュコ・バルディオルと契約した。2人はチーム強化に申し分ない選手になるだろう。

新たに就任するジェシー・マーシュ監督もすでに人生の新章に進む準備ができている。彼もまた、レッドブルからライプツィヒへ向かう“新部品”のひとつで、適応にはそれほど時間はかからないだろう。

■ドルトムントが抱える2人のスター

2009-10シーズン以来、バイエルンの優勝を阻止したのはドルトムントだけであり、過去9シーズン、タイトルレースを最後まで争ったチームもドルトムントだけであった。

だが今シーズン、リュシアン・ファーヴル前監督が率いたドルトムントは貧弱で、バイエルンにプレッシャーをかけることができなかった。一方で、暫定で就任したエディン・テルツィッチ監督はチームを安定させ、DFBポカールの決勝にたどりついている。

テルツィッチ監督のチームはジェイドン・サンチョの復調により躍進。サンチョはシーズン当初はスロースタートであったが、ベストコンディションを取り戻し、DFBポカールの5試合で4ゴール4アシストを記録。リーグ戦24試合でも、19回得点に関与した。直近のライプツィヒ戦でも2得点を奪い、この勝利によってバイエルンの優勝が決まっている。

サンチョが国内カップ戦で活躍した一方、アーリング・ハーランドはブンデスリーガとチャンピオンズリーグで輝きを見せ、今季の全公式戦では38試合で37ゴール。冬から加わった昨季に続き、ゴールを量産し続けている。

サンチョとハーランドはブンデスリーガで5本の指に入る才能の持ち主であり、世界全体を見渡しても若手選手のトップランナーだ。

この2人のうちのいずれか、または両方が失われればドルトムントにとって大打撃である。特に、マルコ・ローゼ新監督のもと、ブンデスリーガのタイトル獲得に挑戦したいのであれば。

ローゼ新監督も“レッドブル系列”の監督だが、ザルツブルクではオーストリアで2冠を手にし、ボルシア・メンヒェングラードバッハでも素晴らしい成果をあげてきた。ドルトムントに行かず、グラードバッハにとどまれば銅像が建つと言われるほどファンに愛されていた。

だが、ローゼはジグナル・イドゥナ・パルクでエキサイティングな若いチームを率いることとなり、ジュード・ベリンガム、ジョヴァンニ・レイナ、ユスファ・ムココ、アンスガー・クナウフといった10代の選手たちとともに新たな挑戦に臨む。

その中にはハーランドとサンチョも含まれるかもしれないが、それは、この2人のメガスターをヨーロッパのエリートチームに行かせることなくドルトムントに留められれば、の話である。

■2人の異なる状況

昨夏、ドルトムントのスポーツディレクターであるミヒャエル・ツォルクは、マンチェスター・ユナイテッドからのサンチョへのオファーを拒否した。2021年になり、このイングランド代表のウイングを9000万ユーロ(約120億円)で手放すことは受け入れるかもしれない。

昨年の夏はドルトムントの要求とマンチェスター・Uの意向が合致しなかったが、ツォルクは一定の条件さえ満たせば、放出はあり得ることを『ARD』で認めている。

「我々はすでに昨年、ジェイドンと約束した。ある条件のもとでなら、彼はチームを変えることができる。彼と我々は、もう3年も一緒にやってきた」

一方で、ツォルクは「ただし、この約束はアーリングとはしていない」と付け加えた。代理人のミーノ・ライオラによると、ハーランドはレアル・マドリーやバルセロナの他、プレミアリーグの強豪であるマンチェスター・ユナイテッド、マンチェスター・シティ、チェルシー、リヴァプールのようなチームから誘いがあるという。

ドルトムントはどんなに大金を積まれてもハーランドは出さないと主張しているが、2022年には7500万ユーロ(約100億円)のリリース条項が発動するとの報道もあり、今夏にはビッグディールもあり得るだろう。

だが、ハンス=ヨアヒム・ヴァツケCEOは、あくまでも今夏のハーランド退団に否定的な姿勢を示している。

「サンチョと同じようなプランを考えてはいない。この件について、アーリングや彼の父親、ライオラと話し合っている。彼には我々の下にとどまってハッピーでいてほしいし、来年もBVBのために得点を挙げてくれると確信している。他には何も考えていない」

元ドルトムントのMFヌリ・シャヒンも「ドルトムントのファンとして、彼には残ってもらいたい! だけど決めるのは彼だ」と語る。

「彼の周りには、彼に意見したり、手助けをしたり、ドルトムントに残ることのメリット、デメリットを示したりする人が大勢いる。だけど結局のところ、残るか残らないかを決めるのは彼自身だ。契約はまだ数年残っているし、ドルトムントが手放したくないと思っているなら、いずれクリアになるだろう」

「正直に言って、大きな問題があるとは思えない。ドルトムントはチャンピオンズリーグに出られるだろうし、ハーランドは少なくとももう1年ドルトムントにいるだろう。それでみんながハッピーになれる」

■ハーランドとサンチョ残留の意味

ハーランドとサンチョが残るということは、ローゼ新監督に対して大きなメッセージを送ることとなる。すなわち、クラブは監督に対し、バイエルンのブンデスリーガ支配を終わらせることができると信じているということになるのだ。ブンデスリーガでは他のどのクラブも、これほど若く才能ある選手は揃っていない。

だがもし来シーズン、ドルトムントにハーランドとサンチョがいなかったら、ブンデスリーガはまたしても予想しやすい退屈なタイトルレースをすることになるだろう。