イングランド代表のレジェンドであるウェイン・ルーニー氏が、壮絶な過去を告白したデレ・アリについて言及した。
2016年から2年連続でPFA年間最優秀若手選手賞を受賞し、2018年ワールドカップではイングランド代表として準決勝進出を達成。翌年にはトッテナムでチャンピオンズリーグ決勝の舞台に立つなど、若くしてその才能を開花させたデレ・アリ。しかしその後はエヴァートン、ベシクタシュで苦しいシーズンを過ごしてきた。
そんな27歳MFは先日、『スカイスポーツ』のインタビューで衝撃的な過去を告白。先日まで睡眠薬中毒とメンタルヘルスの問題で6週間のリハビリ生活を送ったこと、また6歳で母親の友人から性的虐待を受けたこと、7歳でタバコを吸って8歳でドラッグの売買に手を染めたことなど、涙ながらに語った。このインタビューは世界中で大きな話題となり、現役選手やOBなどから続々とサポートの声が上がっている。
そして現在DCユナイテッドの監督を務めるルーニー氏も反応。『The Times』のインタビューで以下のように語った。
「最近では、メンタルヘルス上のストレスや問題を抱えていた場合のサポートがあると思う。恥をかく必要もないし、自分の問題を隠す必要もない。サポートや助けになるものがあるんだ」
「最初の一歩を踏み出すことはいつも難しいけど、一度踏み出してしまえばサポートが得られるんだ。それがデレにも当てはまると思う。彼は今、胸の内をすべて明かした。ただただ自分のプレーに集中し、必要なサポートが得られることを願っているよ」
■批判の前に当事者を理解すべき
そして、ルーニー氏自身も近年のデレ・アリを批判的に見ていたことを認めつつ、当事者をよく理解しないで判断してはいけないと警鐘を鳴らした。
「インタビューは見たけど、(誰かが苦しんでいるのを)見るのは良いものではない。そしてこれは、人々が時としてあまりにも早く結論を下してしまう例の1つだ。人々は、人間としての彼らを知らない。何を経験しているのかを知らないんだ。(ダービーを指揮していた時代、重度の鬱病と戦っていた)ジョーダン・アイブにも起こったことだった」
「(アリが)カミングアウトしてくれたことは嬉しい。私でさえ、おそらくこの1年間は彼を批判し、プレーが悪いと考えていた。彼は何をしているんだ? どうして自分のキャリアをこうするんだ? とね。真っ先に私が手を差し伸べたい」
最後に「メディアが彼をそっとしておいてくれることを願っている。本当に優れた選手であることは誰もが知っているし、サポートを求めるには最高のクラブにいるんだ。うまくいけば、それを乗り越えることもできはずさ」と締めくくった。




