かつてボルシア・ドルトムントで“神童”として脚光を浴びた元ドイツ代表FWユスファ・ムココが、先日デンマーク王者・FCコペンハーゲンで再起を目指すことが決まった。現地放送局『TV2』のインタビューでは、ここ数年間の苦悩を率直に語っている。
ムココは2020年、ドルトムントでブンデスリーガ史上最年少となる16歳1日でプロデビューを果たし、チャンピオンズリーグでも史上最年少出場を記録するなど、大きな期待を集めた。出場機会を求めて昨夏にニースへレンタル移籍したものの、公式戦通算22試合の出場で2ゴール3アシストと結果を残せず。得点は昨年9月のホームデビュー戦で記録した2ゴールのみで、今年2月以降は起用されていなかった。
そんなムココだが、移籍金500万ユーロ程度でコペンハーゲンへ完全移籍。テストマッチ後に『TV2』の取材に応じ、ここ数年のキャリアを振り返った。
「頂点に立つというのがどういうことかを味わった。そして、それと同じように、どん底にいるのがどういう気持ちかも感じた」
「本当に辛かった。正直に言うと、悩み続けて眠れない夜もあった。でも、それが僕に教えてくれたんだ。謙虚であること、地に足をつけていること、そして傲慢にならないことを」
「批判的な記事もたくさん書かれた。ニースでは“コンディションが悪い”とも言われた。でも僕は、これまでで一番ハードにトレーニングしていた。1日3回ひとりで練習して、新たなモチベーションを自分の中に見つけたんだ」
コペンハーゲンでは、再びサッカーを楽しむ気持ちを取り戻すことを目指す。「人が僕について何を言おうと、何を書こうと、気にしないよ。何であれ、僕は笑って受け流すつもりだ。自分と自分の身体を信じている。プレーしたいという大きな気持ちを、いま確かに感じている」と、ムココは前を向いた。
コペンハーゲン移籍の決め手となったのは、ヤコブ・ネーストルップ監督の存在だったという。ムココは「話し合いの中で、監督は僕に自信を与えてくれた。辛い時期を経た今の僕には、まさにそれが必要だったんだ」と明かした。
まだ20歳ながら、すでに公式戦121試合に出場し、ドイツA代表としてワールドカップ出場も経験しているムココ。今月9日に湘南ベルマーレから加入したDF鈴木淳之介もチームメイトとなるFCコペンハーゲンでの再スタートに、注目が集まっている。


