2019ー20シーズンのチャンピオンズリーグ(CL)が17日に開幕する。第1節からドルトムントとバルセロナ、ナポリとリヴァプールが激突するなど、好カードも目白押しだ。
そんな中で、今回フォーカスするのがブンデスリーガの4クラブ。昨シーズンはバイエルン、ドルトムント、シャルケ、ホッフェンハイムが参戦したが、いずれもラウンド16までに敗退となった。今季はシャルケ、ホッフェンハイムに代わってライプツィヒ、レヴァークーゼンが参加するが、どのような戦いを見せるのだろうか。
『Goal』では、CLを独占中継する『DAZN(ダゾーン)』でも実況を務め、ブンデスリーガに関して造詣が深い下田恒幸氏に話を聞いた。前編では、CLに参加する4クラブや注目クラブについて語ってもらった。
■4クラブの補強に関しての評価
(C)Getty Images――CLに参加する4クラブ、バイエルン、ドルトムント、レヴァークーゼン、RBライプツィヒの今夏の補強についてうかがいます。フランク・リベリ、アリエン・ロッベンが去ったバイエルンはバンジャマン・パヴァールやリュカ・エルナンデス、フィリペ・コウチーニョ、イヴァン・ペリシッチらを加えましたね。
さすがバイエルンのフロントの補強だなと感じました。ドイツ・スーパーカップ(vsドルトムント 0-2●)で浮き彫りになった〝足りない部分〟をちゃんと埋めましたから。ディフェンスラインは若返りを意識して補強しましたし、編成としては上々だと思います。
ただ、(マッツ)フンメルスがドルトムントへ去りました。これは思っている以上に穴になる可能性はあると思っています。それ以外は依然として(ロベルト)レヴァンドフスキの控えがいない、ということを除けばそれなりにやっていける陣容だと感じます。
――スーパーカップでそのバイエルンを下したドルトムントはいかがでしょう? フンメルスやトルガン・アザール、ユリアン・ブラント、ニコ・シュルツといったブンデスリーガで実績のある選手たちを獲得しました。
リーグ優勝を目指す、というクラブの野心が見える補強ではないでしょうか。獲得した選手はワールドクラスではないですが、ブンデスリーガで結果を出した旬の選手たちを獲りました。アザール、ブラント、シュルツ、ドメスティックな選手ですが優良株です。昨シーズンのドルトムントに足りなかったのは二の矢、三の矢というか、手を打つ時に足し算できる選手がいなかったことだと思っています。それが昨季終盤のネックになりました。その点で、ブラントやアザールを獲ったというのは、人繰り的にはちょっと幅を持たせられそうですね。左サイドバックも(ニコ)シュルツという本職の選手を獲りましたし、厚みを持てていると思います。
あとは、フンメルスが帰って来たのが大きいかなと思います。結局、ドルトムントが一番足りなかったのは要所で踏ん張れないメンタリティで、フンメルスはそれを補えますよね。彼はプレシーズンマッチを見ても良く声が出ていたし、人も動かせて、彼のところから球出しでメッセージも出せますよね。そういう点で言うとフンメルスを獲ったのも大きい。ベースを継続しながら陣容の厚みを付けた、という点ではドルトムントは国内という観点で言えば十二分な補強をしたと言えるのではないでしょうか。
――RBライプツィヒはユリアン・ナーゲルスマン監督が就任しましたが、クリストファー・ヌクンク、アデラモ・ルックマンといった若手を獲得したように補強の路線は変わっていません。
監督が替わったので、昨シーズンまでの考え方がそのまま持ち越せるかちょっと分からないですけど、かなり期待感がありますね。補強した選手はわりと地味ですが、能力の高い選手を獲っています。タイプ的にもチームに合っていて若手という、ライプツィヒらしい補強ですね。今までよりも各ポジションに厚みは出せているはずなので、地味ですけどうまくCLも見据えた編成になってると思います。
――レヴァークーゼンはケレム・デミルバイやナディエム・アミリなどを獲得しましたが、4クラブの中では補強が最も進まなかったかもしれません。
そうですね。前線は少し獲りましたが、バックラインが弱いという印象です。あとはブラントの移籍の穴が埋まるかどうか。デミルバイ、アミリはそれを踏まえた補強だと思いますが、デミルバイだとどうですかね。アミリの方がスタイルに合う気はしますけど、ブラントと同じ仕事を求めるのは無理がある。彼らによって別の足し算が必要なのかな。一方で、ウィングの破壊力はすでに相当レベルが高いと思います。獲得した(ムサ)ディアビは初速が速く縦の突破力は良いものを持っていますので、(ピーター)ボス監督のスタイルに合った選手を足したなって感じです。ただ、昨シーズンに失点が多かった中(※52失点)、バックラインの個人能力を底上げするという手は打っていないので、守備に関して不安定さはあるかもしれません。
■ブンデス4クラブのCL展望は…
(C)Goal――CLはグループステージの組み合わせが決まりましたが、注目しているグループはありますか?
皆さんと同じではないでしょうか? アトレティコ・マドリー、ユヴェントス、レヴァークーゼンが同居しているグループDやバルセロナ、ドルトムント、インテルが入ったグループFはやはり注目ですよね。
――グループFでは、バルセロナとドルトムントが第1節で激突します。
バルサはマーケットの終盤でネイマールの移籍を巡って揺れすぎたのと、ルイス・スアレスのケガ、(リオネル)メッシも万全ではないというところが不安ですね。開幕戦でビルバオに敗れて、オサスナとのアウェー戦でも引き分けるなど序盤戦で躓いていますし、代表ウィーク明けでスアレスは戻ってきましたがメッシは微妙。ドルトムントとしては最初に当たるのは流れ的には良かったという気はします。しかもホームでバルサと戦えるので、ここで勝ち点が取れれば先の展望はちょっと描きやすいかなと思います。
――では、ドイツの4クラブの中で、決勝トーナメント進出を目標にできる、できそうなクラブはどこでしょうか?
バイエルンはもう目標じゃなくて、これはマストです。グループステージ突破どころか優勝も視野にいれないとダメなクラブですから。レヴァークーゼンは守備面を考えると正直厳しい。ドルトムントは同じグループにインテルもいてバルサも読みにくい状況なので予想そのものが困難。ただ突破の可能性はあると思います。ライプツィヒも突破の可能性がありますが、このグループはどこが抜けてもおかしくくらい拮抗してるんじゃないかな。グループ自体が相当難しいグループだなという感じがします。ベンフィカやリヨンなど、どのチームも昨季から陣容は少し変わっていますが、個々のタレントのレベルは高いですから。
■注目は新生ライプツィヒ
Getty Images――4クラブで個人的に注目しているクラブはどこでしょうか?
それはライプツィヒですね。ナーゲルスマン監督は色々な引き出しを持っていて1つのやり方に固執しない。戦力レベルが明らかに劣るホッフェンハイムで継続して結果を出したのは彼の引き出しの多さがあってこそです。ライプツィヒはホッフェンハイムと比べて選手のレベルが高いので、そういう点で言うとすごく期待感はありますね。
――32歳のナーゲルスマン監督の手腕は注目されていますよね。
ホッフェンハイムではCLで毎試合際どい戦いをしました。特に大幅に戦力差のあるマンチェスター・シティ(※昨季CLで対戦し、2試合とも1-2で敗戦)を慌てさせたのは見事だったなと。昨シーズンはリーグで9位でしたけど、その前は4位と3位になっていて、あの戦力であそこまでいくのは相当に凄い事です。
この監督は若いけど、シーズン通して結果に波がないんですよ。(2015-16シーズンに)途中就任して残留させた時もそうですけど、そこがすごく興味深いです。形とかやり方で入る監督って結果に波が出る事が多いと思うんですね、印象論ですが。(ドメニコ)テデスコ(※2017年にシャルケ監督に就任も、2019年3月に解任)や(フロリアン)コーフェルト(※ブレーメン現指揮官)も非常に優秀な監督ですが、良い時は良いけど、守備のやり方から入りすぎて自滅することも少なくない。ナーゲルスマンの場合はそれが意外と少ないと思います。実際、ライプツィヒで人も変わって自分の目指すものをチームに100%まだ落とし込めていない中で、今季も3連勝でスタートしました。グループ的にも難しいですが、逆に言うと突破できるグループに入っているので、彼らが一番注目ですね。
――昨季は4バックで戦っていたライプツィヒですが、今季は3バックが基本布陣となりました。また、相手によって並びも細かく変わっています。
昨季も(ラルフ)ラングニック監督が終盤にかけて恐らく今季を見据えて3-5-2を導入して布石を打ちました。今のところは、今季のベースは3-5-2なんだろうなという印象ですが、相手の特徴によって柔軟に別のシステムも使うはずです。彼は相手のシステム、出方、特徴に沿ってたくさんの引き出しを持っていますから。加えてナーゲルスマンは守備のやり方だけでなく、どう攻めるかの構築も具体的でうまい。そこが他のラップトップ系若手監督との差なのかなと思います。
――システムが複雑になる中でも下田さんの実況ではパッと選手の名前が出てきますよね。あらかじめ選手の並びを頭に入れ、意識しているのでしょうか?
各チームの戦い方は遡ってチェックはします。例えばナーゲルスマンのチームの試合であれば、一つ前はこのシステムを使っていて、「このシステムだったらこう動く」というのは当然頭に入れます。特に地味なチームほど、直近の試合を丁寧に見て色々なものを把握しておきます。
ただそれ以上にポイントになるのは、「目の瞬発力」じゃないかな。サッカー選手と同じでアスリートとしての瞬発力というか。目で見て脳を通ってから口にするのでは遅い。目と口が繋がってるくらいのレスポンスがないと。どんなに事前に勉強しても、その要素を持っていないとズレるし遅れますから。なので、そういう実況の特徴を評価してもらえるのは嬉しいですね。
――ナーゲルスマンやジョゼップ・グアルディオラは驚くような選手配置をすることもありますが、そこでも特別に意識することはないのでしょうか?
ベースでこういうことをやるというのが事前に分かっていれば、その前提で見ますからね。ただ初めて採用するやり方の時は、確かにビックリはします。「あれ、おかしいな、何でこの選手がこんなところにいるんだ?」というような…。ただ、その監督がどんな事をする人かを理解していれば何とか対応はできます。
例えばマンチェスター・シティであれば、基本はこういう立ち方をするというのは結構決まってると思うんですね。ナーゲルスマンもそうですが、いくつかの前提を頭に入れて対応してくという感じです。
(後編に続く)
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「※」は提携サイト『 Sporting News 』の提供記事です

