元リヴァプールDFで、『スカイスポーツ』のコメンテーターでもあるジェイミー・キャラガー氏は、8月にマンチェスター・ユナイテッドがブレントフォードで0-4と屈辱を味わった後、リサンドロ・マルティネスについて「彼はたった5フィート9のサイズ。4バックでプレーするならば、うまくいかないと確信している。プレミアリーグでは、彼はそこでプレーすることができない。ユナイテッドと対戦するすべてのチームが彼を狙うはずだ」と糾弾した。
しかし、その後マルティネスはこの元イングランド代表DFの言葉を覆し、エリック・テン・ハーグ監督の下、ラファエル・ヴァランと共に後方で素晴らしいプレーを連発し、ユナイテッドの復活を鼓舞している。
ユナイテッドは今夏、アヤックスから4650万ポンド(約79億8000万円)を支払って獲得。マルティネスはすぐにその大金の理由をピッチ上で示し、テン・ハーグ監督も公式サイトを通じてこう評価している。
「彼は戦士であり、ファンも彼を称賛すると思う。彼は闘争心を持っているんだ」
だが、マルティネスはユナイテッドのシャツを着て以来、今後オールド・トラッフォードでのキャリアを左右するような厳しいテストに直面している。最高のパートナーであったヴァランが負傷で離脱し、アルゼンチン人選手が同じように活躍できるのかという疑念を向けられている。
クラブOBであるリオ・ファーディナンド氏は試合後、自身のYouTubeチャンネル「FIVE」を通じて、その懸念を表明している。
「マルティネスは今シーズン最高の選手だが、ヴァランはスピード、経験、フィジカルなど、何か違うものを与えてくれていた。彼は大きな損失となるだろう。ヴァランとマルティネスのコンビは必要だ。この2人が一緒になれば、別のチームになることはすぐにわかったからね」
Getty/GOALチェルシー戦ではヴァランに代わってヴィクトル・リンデロフが入っていたが、主将のハリー・マグワイアがハムストリングの問題から復帰。これまでテン・ハーグはブレントフォードでの敗北以来、2人を一緒にプレーさせるリスクを冒さなかったが、14日間で5試合の過密日程に向かうため、2人のパートナーシップを再びテストする以外の選択肢はないだろう。
開幕戦でブライトンに1-2と敗れたとき、マグワイアはマルティネスと「波長」が合わなかったと認めている。実際、マグワイアのペース不足とポゼッションにおける基本的なミスは、マルティネスを無防備な状態にしてしまった。
マルティネスはその小柄な体格がプレミアリーグで活躍する妨げにならないことを証明しているが、調子を崩したマグワイアを担ぐのは無理があるのかもしれない。
マグワイアはここ数か月、フィットしているときでさえも機能せず、ベストフォームを取り戻すために初心に戻る必要がある。
一方、マルティネスは、ポスト・アレックス・ファーガソン時代にはほとんどいなかったサポーターとのつながりを形成し、できる限りの援助を受けるべきだろう。
マルティネスはチェルシー戦でのカゼミーロの同点弾を、スタンドに飛び込んで見知らぬ人と抱き合いながら祝い、試合後にソーシャルメディアにこう書き込んだ。
「仲間よ、僕はあなたを知らないが、僕らは一緒にいる。最後まで戦うよ」
トッテナムに2-0で勝利した際、ユナイテッド信者の間で「アルゼンチン、アルゼンチン」というチャントが起こり、マルティネスは謙虚に、そして圧倒された。
「正直なところ、とても感慨深い。正直、とても感慨深い。世界最高のクラブのひとつにいるんだからね。このスタジアム、雰囲気は素晴らしい。ファンの歌声を聞いたときは、泣きそうになったよ」
24歳の情熱と勝利への意志はチームメイトにも伝わり、その結果、10年近くも分裂が続いていたチームをファンが全面的にバックアップすることになった。
Getty/GOALマグワイアは、マルティネスが設定した基準と同じでなければならず、そうでなければ、この2か月間のユナイテッドの努力の多くが水の泡となる。
かくして迎えた30日のウェストハム戦。ホームで迎えた一戦でマルティネスの相棒に選ばれたのはマグワイアだった。
これまでネット上で散々批判の矛先を向けられていたマグワイアだったが、この試合では安定した守備を披露。クリア数はチーム最多、『BBC』のファン評価でも「6.48」と一定の評価を得ており、復調の兆しを見せた。
隣にいたマルティネスもいつも通り最終ラインからゲームを作り、パス成功率はチーム最高。パートナーが誰であってもパフォーマンスを発揮できることを証明した。
マルティネスは自分と同じ価値観を持ち、集団のために戦う覚悟のあるセンターバックを求めている。今後、マグワイアは自身がその存在としてふさわしいことを証明する戦いに挑むことになるだろう。
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