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C・ロナウドの代役候補筆頭アセンシオが躍動…マドリーの将来が光り輝いた夜

この日の戦いは、レアル・マドリーにとってバナナの皮のようにスリップを誘発させるものだった。今月上旬にカンプ・ノウでのクラシコでレフェリーを押したことでクリスティアーノ・ロナウドはいまだ出場停止処分中であり、セルヒオ・ラモスもサスペンションで欠場と、ロス・ブランコスは攻守の大黒柱をピッチから欠いていた。

復帰が期待されたラファエル・ヴァランも間に合わず、ヘスス・バジェホも負傷中ということで、指揮を執るジネディーヌ・ジダンはカゼミーロをセンターバックに起用せざるを得なかった。

ここ数シーズン苦難のときが続いているバレンシアではあるが、マドリーとの試合に向けては常に士気を高めており、ラ・リーガのサンティアゴ・ベルナベウで行われた過去6戦中4試合は引き分けに持ち込んでいる。今夏、新たにマルセリーノ・ガルシア・トラルが指揮官に就任して以降、チーム状況は好転し、この日もレアルにタフな戦いを余儀なくさせたのだった。

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しかし、バレンシアが復調ぶりを見せつけるより先に、ロナウド欠場のマドリーで存在感を増すアセンシオが輝いた。21歳のレフティーはバレンシア守備陣の間をすり抜けるようにドリブルで持ち上がり、素晴らしくコントロールされたシュートを得意の左足でゴール左に沈める。その正確なシュートに、バレンシアのGKネトは一歩も動くことができなかった。

Madrid Valencia graphicGoal

マジョルカでも以前プレーしたアセンシオはピッチ全体を動き回り守備でも高く貢献し、彼の前半のプレーエリアを示すヒートマップでは、バレンシアがマドリーをしばしトラブルに陥れた右サイドバックの位置でプレーする時間が長かったことが示されていた。

試合終盤には、彼が放った素晴らしい直接フリーキックから2−2の同点に追いつく。マドリーが1ポイント拾うことができたのも彼のおかげである。そしてさらに終盤、相手にブロックされたシュートが決まっていれば彼が勝利さえもたらすところであったのだ。

バレンシアは前後半1点ずつ決め、前半はカルロス・ソレール、後半はこの日がバレンシアでのデビュー戦となったジェフリー・コンドグビアが決めたのだった。またバレンシアには3点目のチャンスがあったが、ダニ・パレホのプレーはアピールも及ばずPKが与えられることはなかった。トータルで、バレンシアは9本のシュートを放ち、2本がゴールへと繋がった。

一方マドリーは何試合も勝ち星を上げることができるほどのチャンスを作ったが、イスコ、ガレス・ベイル、そしてカリム・ベンゼマは軒並みゴール前でシュートをふかしたり、大きく横に外したりと決定機を無駄にし、22本のシュートを放ちながらゴールとなったのはそのうち2本のみであった。

Marco Asensio Real MadridCurto de la Torre Kondogbia Real Madrid ValenciaGetty Images

試合開始前、5月に昨シーズンのリーガ制覇を達成してから98日後のこの日、マドリーはリーガ・トロフィーのプレゼンテーションをスタジアムで行い、そこにはチームメートとともにクリスティアーノ・ロナウドも登場したが、試合に出場することはできなかった。

ロナウドは、火曜日に行われたチャンピオンズリーグのドローの会場で、UEFAによるベストプレーヤー賞を受賞した際に、未来のスター選手についての質問を受けた。

「最高のポテンシャルを持った選手が何人か思い浮かぶよ。アセンシオ、(キリアン・)ムバッペ、ネイマール、(ウスマン・)デンベレ、(エデン・)アザール、(マーカス・)ラッシュフォード…他にもね。次の世代には少なくとも10人はとても、とてもポテンシャルの高い選手がいる」

ロナウドはそう答えたのだった。

アセンシオは日曜夜の活躍で彼がその中の一人であることを改めて示し、一方ベイルとベンゼマは輝きを放つことができずファンからのブーイングを浴びたが、アセンシオはその素晴らしいプレーぶりで直近のロナウドの代役には彼がふさわしいこと、そしておそらく将来的な後継者としての価値があることも証明して見せたのだ。

文=ベン・ヘイワード/Ben Hayward

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