一強維持か戦国時代突入か、注目集まるデア・クラシカー。絶対王者バイエルンの死角は?

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(C)Getty Images

ドイツ・ブンデスリーガは第6節までを消化し、ディフェンディングチャンピオンのバイエルン・ミュンヘンが5勝1敗の勝ち点15で首位に立ち、同じく5勝1敗の同勝ち点ながらも得失点差でボルシア・ドルトムントが2位に付けた。近年のブンデスリーガを牽引する両クラブがトップグループへ躍り出たことで、今週末の第7節では絶好のシチュエーションでの『デア・クラシカー』が実現する。

■死角はあるが攻撃陣は万全

Leroy Sane Bayern Salzburg 2020

王者・バイエルンに死角があるとすれば、それは前シーズンからのインターバル不足と過密日程だ。昨季のバイエルンはUEFAチャンピオンズリーグ決勝でパリ・サンジェルマン(フランス)を下して2012−2013シーズン以来7年ぶりのCL制覇を果たしたが、ポルトガル・リスボンでの同決勝はコロナ禍の影響で8月23日に開催。そして今季のバイエルンの公式戦初戦は9月18日のブンデスリーガ第1節・シャルケ戦で、その間隔は1か月にも満たなかった。その影響は1週間後の同第2節・ホッフェンハイム戦で早くも露呈。バイエルンは敵地で相手カウンターに晒されて大敗し、昨季から続いていた公式戦32戦無敗記録がストップした。

今季のバイエルンは中盤の要だったチアゴ・アルカンタラがリヴァプール(イングランド)へ移籍した戦力的ダメージをレオン・ゴレツカとヨシュア・キミッヒの両大黒柱が補完したが、そのセントラルミッドフィルダーのバックアップがコランタン・トリッソしか見当たらない点が懸念材料になっている。

また盤石と称されるバックラインも、最近は右サイドバックを務めるバンジャミン・パヴァールの不安定なプレーパフォーマンスが取り沙汰されている。ただ、こちらはパヴァールと同じくフランス人プレーヤーのブナ・サール、もしくはリュカ・エルナンデスというバックアッパーが下支えしていて、2人は足首の靭帯損傷で戦線離脱している左サイドバック、アルフォンス・デイヴィスに代わる役割も担っているため、ターンオーバーを余儀なくされる中でもひとまず陣容は整えられている。

一方で、今季のバイエルンは攻撃陣が凄まじい破壊力を見せつけている。4-2-3-1の布陣は不動で、マンチェスター・シティから加入したレロイ・サネがセルジュ・ニャブリと共にアタックの一翼として早くも貢献し、トップ下のトーマス・ミュラーが全幅の信頼を寄せられるハンジ・フリック監督の下で再生を果たした。

Robert Lewandowski, Bayern Munich, Bundesliga 2020-21

そして大エースのロベルト・レヴァンドフスキは自身のキャリアでも最高のスタートを切ったと言える。ブンデスリーガ5試合10得点は驚異的な数字で、特に第3節のヘルタ・ベルリン戦で繰り広げられたシーソーゲームでの4ゴール(◯4-3)は圧巻だった。もしバイエルンがこの試合を落としていればホッフェンハイム戦に続いて連敗を喫していたわけで、レヴァンドフスキが果たした成果はチーム全体の不沈を左右する重要事項でもあった。

ホッフェンハイム戦での不覚は王者の慢心を払拭させる動機付けにもなったはず。その後のバイエルンは立て続けに得点を奪取して対戦相手の戦意を喪失させ、どんな対戦相手でもその優劣を示す気概に溢れている。

■システム変更がプラスに

MATS HUMMELS BORUSSIA DORTMUND BUNDESLIGA 31102020

そんな中、『デア・クラシカー』のもう一方の主役である今季のドルトムントには新たな萌芽が見られる。ブンデスリーガ6節消化時点での失点数はわずかに2で、これはリーグトップの堅守だ。マッツ・フンメルスとマヌエル・アカンジの両センターバックのプレーは確かに安定しているが、ドルトムントの守備は特定個人に依存しているようには見えない。彼らはバックライン、中盤、そして前線の各ユニットが良好に絡み合い、そのタスクを各選手が担うことで適切にチームバランスを整えている。

ルシアン・ファブレ監督が決断したシステム変更もチーム力を向上させる要因を生んだ。今季開幕当初は3-4-3が基本システムだったが、第2節のアウクスブルク戦で意外な敗戦を喫して改善の余地が生まれる。そして、第5節のシャルケとの『レヴィアダービー』で用いた4-2-3-1が抜群に機能したことでチーム戦術がブラッシュアップされた。先述したフンメルスとアカンジが後方センターに並び、トーマス・ムニエとラファエル・ゲレイロが両脇を固める。その前方のアクセル・ヴィツェル、トーマス・デラネイ、もしくはマフムド・ダフードやジュード・ベリンガムは高い局面強度を誇る中盤で、センターラインが安定すれば攻撃面が促進されるのも自明の理だ。

そしてトップ下+3トップの新攻撃布陣は各選手の個性を光らせる要因を生んだ。トップ下の適正値が高いマルコ・ロイスがスイッチを入れ、若く躍動感のあるジェイドン・サンチョとジョバンニ・レイナがフレキシブルにエリアを跨ぎながら相手ゴールを強襲する様は壮麗で、その仕上げは今やエースストライカーとして最前線に君臨する”モンスター”、アーリング・ハーランドが果たす。トルガン・アザール、ユリアン・ブラントといった実力者たちも控えるドルトムント攻撃陣は硬軟織り交ぜた特徴を有していて、対戦相手によってその持ち味を変化させることができる。

Erling Haaland Borussia Dortmund 2020

筆者は第6節のビーレフェルトvsドルトムントを現地で取材したが、そのときにドルトムントの選手たちの試合前ウォーミングアップを観て驚いたことがある。それは彼らの凄まじいパススピードで、ショート、ミドル、ロングの如何に関わらず、彼らは常にフルパワーで味方選手の足元にボールを”ぶつけていた”。その挙動は試合が開始されてからも貫かれ、速くて強いドルトムントのパスワークにホーム・ビーレフェルトの選手たちが戦慄している印象を受けた。

また、今季のドルトムントはハーランド、レイナ、ベリンガム、ヘイニエルらの10代、そして20歳のサンチョ、マテウ・モレイといった若手選手たちの台頭が目覚ましい。15歳の神童FWユスファ・ムココがブンデスリーガの規定で16歳の誕生日を迎える11月20日までトップデビューがお預けで、今回の『デア・クラシカー』への出場が叶わないのは残念だが、それでも”新生”ドルトムントはヤングプレーヤーたちの外連味のないプレーを前面に押し出して”常勝”バイエルンを打ち破る可能性を十分に秘めている。

一方で、ドルトムントの今節の懸念は前節のビーレフェルト戦で負傷交代したキャプテン・フンメルスの出場可否だ。11月4日のCLグループステージ第2節クラブ・ブルージュ(ベルギー)戦では本来ボランチのヴィツェルがその代役を担って出色のパフォーマンスを披露したが、それが解決策になるかは分からない。今回対峙するのはポジショニング、フィジカル、足元技術と三拍子揃った能力を有するレヴァンドフスキだけに、さすがのドルトムント守備網も容易に防御はできないだろう。

バイエルンとドルトムントの今季ファーストコンタクトは今シーズンのブンデスリーガの様相を定める重要な一戦となる。『一強体制』の維持か、それとも『戦国時代』の始まりか。2020-2021シーズンの『デア・クラシカー』第1戦はドイツ国内の新型コロナウイルス感染者数増加によって残念ながら無観客試合での開催となるが、現地での注目度は日を追うごとに高まっている。

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