氷点下のミラントア・シュタディオン。23日のブンデスリーガ第19節で、ザンクト・パウリとハンブルガーSVが相対した「ハンブルク・ダービー」は、両サポーターの熱狂とは裏腹に、どこか淡々と時間が過ぎていくような一戦となった。
もちろん、局面ではダービー特有の激しい肉弾戦が勃発した。だが、どちらもボールを繋ぐことに苦心し、90分を通して決定機は数えるほど。互いのゴールネットが揺れる気配のないまま、ただ時計の針だけが進んでいった。
「少し後ろ向きな選手が多かった。勝負に対しても、ボールをもらうことに対しても、どこか消極的だった」
試合後、藤田は冷静にそう振り返った。試合前の両者勝ち点はザンクト・パウリが「12」で、ハンブルガーSVが「17」。ザンクト・パウリが敗れれば、ライバルとの勝ち点差が「8」に開く。
その重圧ゆえか、リスクを冒すことよりも失点を恐れる比重が上回ってしまった。ザンクト・パウリの中核を担う藤田は、無失点の収穫を認めつつも、「ダービーである以上、もうちょっと面白い試合にしたかった」と唇を噛んだ。
藤田自身、停滞する攻撃を活性化させようと苦悩していた。
「自分が後ろに下がってボールを引き出しに行ってもいいが、そうすると前線の枚数が足りなくなる。時と場合によるかなと思うんですけど、今はそのバランスを考えながらやっています」
チームの規律を守りつつ、いかにして閉塞感を打破するか。そのジレンマこそが、今の藤田が直面している壁そのものだ。
勝ち点1を積み上げても「状況はあまり変わらない。次の試合で勝てるように準備できたらいい」。ダービーの喧騒が引いたスタジアムを後にする藤田の言葉には、安堵の色は微塵も感じられなかった。



