かつてマインツの監督を務めたマルティン・シュミット氏が、現地紙『アルゲマイネ・ツァイトゥング』のインタビューに応じ、その中で佐野海舟についても語った。
現在58歳のシュミット氏は、2015年2月にマインツのセカンドチームからトップチームの監督に昇格。2017年5月まで指揮を執り、当時は元日本代表の武藤嘉紀(現ヴィッセル神戸)もチームに所属していた。その後、ヴォルフスブルクやアウクスブルクでも監督を務め、2020年12月にはスポーツディレクターとしてマインツに復帰。2024年夏から今年2月の退任までは、プライベートな理由による辞任までアドバイザーとしてクラブを支えた。現在は主に故郷スイスで生活しているという。
そんなシュミット氏は、先月27日に久しぶりに古巣の試合をスタジアムで観戦。インタビューでは、その日行われたブンデスリーガ第5節ボルシア・ドルトムント戦(0-2)での印象を語る中で、記者から「今季のマインツでこれまで最も際立った選手」として佐野への評価を求められた。
シュミット氏は、昨年のスカウティングを振り返りながらこう語っている。
「彼をスカウトしたときのことはよく覚えている。中盤、6番、8番の位置でプレーできるポテンシャルがあるとすぐに分かった。ピッチ全体をカバーできるし、実際にはゴールも狙える“ボックス・トゥ・ボックス”タイプの選手で、守備でもボールを奪える選手なんだ」
続けて、昨季の成長についてもこう話した。
「シーズン序盤は少し不安定だったけど、そこから調子をつかんでまさに我々が期待していたようなプレーを見せ、試合を重ねるごとに力をつけていった。昨季最も過小評価されていた選手のひとりだと思う。長い間彼の記事を読むことはほとんどなかったけど、実際にはあらゆるスタッツで上位にいた。最後には“チームで最も走った選手”だと分かったし、ヨズア・キミッヒよりも多く走っていた」
さらに、ドルトムント戦での印象についてもこう続けた。
「土曜の試合を思い返すと、途中でクリスティアン(・ハイデル取締役)や周りの人たちに言ったんだ。『すごいな、どれだけボールを奪うんだ。まるで中盤の掃除機みたいだ!』ってね。しかもボールを持ったあとも上手く扱えるし、ボックスに走り込んで中央にパスを出すこともできる。本当に絵に描いたような“ボックス・トゥ・ボックス・プレーヤー”だよ」
一方、シュミット氏は、佐野の活躍ぶりから、今後マインツに長くとどまるのは難しいと見ているようだ。
「彼の成長はまだ終わっていない。まさに“ポテンシャル・プレーヤー”であり、そのために獲得した選手だ。1~2年後には、別のリーグでテレビ越しに見ることになるだろう。もちろん、できるだけ長くマインツにいてほしいけど、いまは彼に注目が集まっていて、もう誰も彼を過小評価しないと思う」
記者が、佐野の移籍金がどの程度になるかにも触れると、シュミット氏は慎重にこう答えた。
「具体的な数字は言いたくないけど、みんなクリスティアン・ハイデルをよく知っているだろう。彼なら水面下で、もしオファーが来たときにどのくらいの価値があるかをちゃんと把握しているはずだ。それに彼は優れた交渉人であり販売のプロだから、移籍市場では簡単に妥協しない。もし佐野が健康を保ち、今のように成長を続ければ、マインツにとって非常に良い取引になると確信している」



